TAXi

※24時空



「(捜査、思いの外伸びたな…)」
「(まぁ、これだけの証拠が揃えば明日の裁判は大丈夫だな)」
「(今日の捜査はコイツも居てくれたしな)」

長い長い薄暗いトンネルの道中、ライトの小さい灯りだけが、すぐ隣で寄りかかって眠っているあどけない顔を映してくれる。
今日の仕事ぶりからじゃ誰も想像できないだろうな。コイツがこんな可愛い顔して眠るなんて。

職業柄、同職の女は気が強いから辞めておけなんてよく周りから言われるけど、オレは絶対そんなことないと思うんだけどなあ。
頼りになるし、一緒に考えてくれるし、互いに無理せず歯止めを掛け合えるし。

「(もしかして、オレが幸せすぎるだけ……?)」

ちら、ともう一回あどけない寝顔にそうかもなあ、なんて納得してしまう。
学生気分かもしれないけれど、同じ職場なら帰りだって一緒に帰れるし、休みだって全部把握できるのにな。同級生には少し重いよって言われたけど。
今日だってバイクで一緒に帰ればいいなんて言ってたけど、多忙であまり眠れていないのか瞼が重そうだったから半ば無理やりタクシーに乗りこんで正解だった。
起こさないように目に掛かりそうな髪を耳にかけると、機嫌良さそうにもぞもぞと身体を動かす。

「(腹減ったなあ)」

今日は面倒くさいし、カップ麺でいいかなんて考えながら家までの少しの間、身体を隣に預け瞼を閉じた。