「春美さま。今日のおやつはパンケーキです」

とてもカッコつけたものの、あまりうまくかき混ぜられていない気がする。
あれ、でもパンケーキってホットケーキと一緒でもしかしてあんまりかき混ぜちゃいけないのだろうか。どうなんだろ。分量は間違えてないから不味くはないと思うけど、大丈夫かな。

「ぱんけーき、ですか?ぱんとけーき…?」

「この前、真宵さまから写真が送られてきてペっ平らはホットケーキの上に果物やクリームが乗ってたんだ。それがパンケーキ」

「?、それはほっとけーきとなにか違うのでしょうか……?」

台の上に乗って、フライパンの中を覗く小さくて愛らしい天女様。
いつもは恐ろしいくらいアマいおば様お手製の大福や里の方たちが焼いてくれた焼き立てせんべいがここのおやつの主流だ。
ホットケーキが出るのは珍しい方で、パンケーキなんてまぁまず出ない。私はちょっと前に里を出て真宵さまと人生初のタピオカを決めてきたばかりだ。

「材料は殆ど同じなのですが、ほんの少しだけ違うみたいですね」
「なんとそのほんの少しだけでふわっふわのぽよっぽよのホットケーキが出来上がります!」

「ふわっふわのぽよっぽよですか!すごいです!」
「そんなふわっふわのぽよっぽよに果物やくりーむが乗るのですね!はわわわ……美味しそうです」

キラキラと輝いたおめめにこちらも思わずニッコリしてしまう。今日は、おば様が客人のお相手をしてて良かった。真宵さまからメールでなるほどくんとやらと写り混んだ超盛り盛り映え映えのパンケーキの写真が送られてきてから、絶対これを春美様に食べさせてあげようと誓った。春美さまはおば様の宝物故、あまり里の外には出させてもらえないし、都会に出たとなったら一体どんな仕打ちを受けるか分かったものではない。
それでもせめて、俗世の楽しみくらいは教えてあげなければ、美味しいものは知ってて損はないのだ。

「へへへ、楽しみだね!うまく出来たら真宵さまにも作ってあげましょう」

「はい!」





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