模擬捜査〜家宝編〜



「うわ、ツボとその破片が落ちてるな。これが凶器だな!」

「血がついてるけど、多分これではないと思う」

「へ?違うのか?」

「うーんと、犯人が殴った衝撃でツボが割れるとその場に破片が散らばるから血はもっとツボ自体にも破片にもべっとりついてると思うんだよね」
「でも、血は破片に少量と落ちた側面だけ。カーペットの血のシミから見て、だいぶ時間が経った後から誰かが落としたんじゃないかなぁ」

「ということは凶器は別のもので、犯人は被害者と直前まで話していた秘書の可能性が高いわけだ!」

「その可能性はもの凄くあるかな。ツボは発見時から割れてたって言ってたから、死亡と発見の間に誰か現場に来てるってのもあるかもね」
「にしてもこの写真のツボ、うちにあるのによく似てるなぁ。懐かしー」

「そんなの家にあるのか」

「家宝でね。とてつもない力を持つ霊の魂が閉じ込められてるんだって。私、昔それが本当に霊の魂が出てくるのか試したくて割ってみたの」

「じゃ、じゃあ、その魂出てっちゃったじゃんか!大変じゃないかそれ!」

「ううん、私が生まれたばっかぐらいのときに親戚の子もそれ割っちゃってたんだよね。ツボを直すのにもうお姉さんと大惨事だったって!」
「ついでについこの前、別の親戚の子も割っちゃったって大泣きしながら電話が掛かってきたよ」

「……割りすぎてその魂も二度と帰ってこないだろうな」

「きっとその霊も喜んでるって。あんな狭くて暗い壺よりも絶対もっといい場所あるはずだもん」



何度も割られる一般家宝ニキ