事件file〜鯉の金時雨〜
「まいにち、まいにち、僕らは鉄板の〜」
「上で焼かれてやになっちゃうよ〜」
「こんなとこでサボってたのかよ相棒!」
「だってあの先生の講義、無駄な話が多いんだもん」
「もぐもぐ、たい焼きもこの池で鯉と泳いでみたいって言ってたからさ」
「だからってサボっていい理由にならないだろ?」
「一流の相棒の内申が低いとオレも先生から文句を言われてしまうじゃないか」
「大丈夫だよ。あの先生、弓彦くんにも私にも文句言わないから」
「オレたちが一流すぎるからか」
「んー、まあそんな感じ?」
「……む?むむむ?なんかこの池の鯉、前と比べて随分と少なくなってないか?」
「そー、よくお茶とかおやつくれる事務員さんもそれ言ってたから見てたんだよね。さっきもこのたい焼きくれたんだー」
「…ここの鯉って確か、弓彦くんのお父さんが寄付したんだっけ」
「そうだぜ、この美しい池にぴったりの一流の錦鯉を親父が1年ほど前に寄付したんだ」
「ふーん……」
「死んじゃったのかなぁ…それとも共食いとかしちまったのか……?」
「うーん、鯉は20年くらい生きるとか言うけど…実家の鯉も私がちっちゃい頃からいるし、丸々太った凶暴なのでも、ちゃんとエサやれば他の鯉に攻撃もしないし、共食いはしないんだけどなあ」
「ここ数日見てる限り、弱ってる様子もないし」
「じゃあ盗まれたんだ!」
「親父を恨んでるどっかのやつが鯉を盗んだんだよ!」
「恨みというより、金銭目的かなあ」
「鯉って高いのだと高い新車が余裕で買えるって聞いたことあるし」
「そういえば講義の時間にあの先生、一昨日すげぇ高い新車買ったとか言ってたな…………」
「…………アイツが犯人じゃねえか!!」
「あの先生よくここ来てたし、目が合うとなんか逃げられたこともあったし、だいぶ怪しいかもね。お父さんに相談してみたらー?」
「おう、今日親父に相談してみるよ!」
夢主は授業をサボる代わりによく学校周りの掃き掃除とかを手伝ってあげてます。そっちの方が慣れっこなので。