鈴の音虚しく

※コミカライズ版ネタ


「……なぁー」
「今日の裁判、よく分かんねえんだよな」

「んえー、なにがー?」

「だっておっさんはお祭りの中で刺されたんだろ?」
「しかも犯人の女は後ろから刺したその瞬間に、自分が刺したって言ったくせになんでおっさんはその時、警察に言わなかったんだろうな」

「うーん、そうだね」

「確かに結婚してるくせに犯人の女と遊んでたおっさんが悪いけど、刺されたんだぜ?」
「サウナまで歩いて、くたばった意味がわかんねえよ!」

「……あのサウナは男性用サウナ」
「女の人は入ってこれない。犯人の女の人を容疑者から外そうとしたんじゃないかなあ」
「結局、その頑張り虚しく、決め手はあの女の人のアリバイ工作なわけだったけど」

「自分のこと刺したのにかよ!」

「被害者から別れ話を切り出したって言ってたけど……まだ愛してたんじゃないかなあ、その人のこと」
「ちゃんとした形で、幸せになって欲しいから刺されてもそういうことが出来たんじゃない?」

「………ふーん」
「オレにはよくわかんねえや」

「ね、私も……そういうのよくわかんないや」



裁判、検事ともに漫画版も面白いので読まれたことのない方はぜひ!