鶴の一流恩返し
「うはは、弓彦くん下手っぴ〜」
「ば、馬鹿にすんなよなぁ!」
「一流のオレだって折り紙はあんまりやったことないんだよ!」
「ふふふー、しょうがないなぁ」
「この折り紙マスターの相棒が弓彦くんに折り鶴を伝授してあげましょう!」
「まずは角っこと角っこをしっかり合わせて三角に折って___」
「それで、ここを開く……」
「………お、おおー、おー!!」
「ふふ、まだ少し歪だけど、たくさん折るんだしこれで弓彦くんも折り鶴マスターだね!」
「それにしても……なんだっけ飯田くん?」
「井上だぜ。部活中に足の骨折ったからって入院中…だったっけか?」
「そうそう、井上くん。こんな折り鶴1000匹よりも絶対お菓子の箱詰めとかの方が嬉しいと思うんだけどなあー」
「うーん、確かにオレもどっちかと言えばそっちの方が嬉しいかも……」
「まあ、時間の分だけ気持ちが篭ってれば嬉しいのかなあ」
「うーむ、そんなもんか……?」
「それにしても、相棒が折り紙得意なんて意外だなぁ」
「私の家、ゲーム機器とかないし電波すらほぼ通ってないからさ」
「子どもはみんな、折り紙とか鞠つきとか、すごろくとか…コマ回したりして遊ぶんだよ」
「弓彦くんもいつかおいでよ。遊ぶだけならきっと楽しいよ」
「相棒が生まれた地なら足を運ばんわけにはいかないな!」
「やったー。約束ね、絶対」
「おう!絶対だぞ!」
♢♢♢♢
「……相変わらず、下手っぴー」
「涙で折り紙もぐしゃぐしゃ」
「私が寝てる間に、これぜーんぶ弓彦くんが折ったのかあ……」
「……すごいね、ゆみひこくん、すごい。ほんとうにすごい。ありがとう、うれしい、だいすき」