噂のご夫婦
「はぁー…イチヤナギさん夫婦ってどうしてあんなに仲がいいんだろ……私も結婚するならあんなふうになりたいなあー………」
「希月さん、この前の事件以来、もうイチヤナギ捜査官にメロメロだね」
「ふふ、だってイチヤナギさんって他の刑事さんと違うじゃないですか!すごく優秀でみんなから慕われてるし、捜査権もあるおかげでみぬきたちを現場に入れてくれますし!」
「綺麗でカッコよくて強くて優しい!女性なら誰でも憧れちゃいますよ!」
「へー彼女、君たちからはそう見えてるんだね」
「キャァ!こんにちは、ガリュウさん!」
「やぁ、オデコくんにお嬢さんたち。今回の担当検事くんに捜査資料の引き継ぎをと思って、気晴らしに現場に出向いてみたら…楽しそうな話が聞こえてね」
「人員不足のくせにそんなに出歩いてていいのか…」
「そう見えるとは?!ガリュウ検事さんはそう見えないんですか?あんなに素敵な人なのに!」
「彼女はぼくの学生時代の同期なんだけど、あんなふうに現場の真ん中で指揮を取るような子じゃなかったよ」
「彼女、ずっとイチリュウくんの後ろにひっついてたし、全部彼に合わせて動いていたから。久々に会ったときには驚いたものさ」
「イチヤナギさん、大人しい方だったんですね!恋して変わったとか?ふふ、素敵ですねぇ……」
「勝手な妄想で花咲かせちゃダメだろ……」
「あながち間違ってないんじゃないかな。授業中は常に眠り姫で誰とも話そうとしないけど、彼の前だといつも楽しそうだったからね」
「それはもう…完ッ全に恋ですね!ココネさん!」
「完っっっっ全に恋だよね!みぬきちゃん!」
「ははっ、楽しそうだね。話がいがあるよ」
「若かったからなのかは本人たちに聞いてほしいけど、距離はもっと近かったよ。資料見るときもぴったりだったね」
「あ、あれでもっと距離が近いって、もうぴったりくっついちゃってるじゃないですか!」
「よく背におぶられてたからね。イチリュウくんの」
「じゃあじゃあ、イチヤナギさんとイチヤナギ検事さんはずっと学生の頃から一緒なんですね!いいなあ、みぬきもそんな幼馴染欲しいなぁ」
「そうだね……ぼくらの頃から学園は風変わりしてたから、色々苦難はあったけどね」
「確かに二人の間にはたまーに変なノイズが入ったりしますね」
「色んな辛いことを乗り越えた仲だから、立場的にも夫婦間的にも心配になっちゃうんですかね」
「そうかもね。……だから、俺たちにも色々尽してくれるのかな」
「あはは、オデコくん!明らかにぼくと違って、って顔に書いてるね!」
「(イチヤナギさんは少なくとも、風に聞いてくれよ!なんて言わないからだよ!!)」