病室〜安楽椅子編〜




「ひぃ〜〜〜〜ん、相棒〜〜〜〜!!!!!」

「あんまり大っきい声出すと他の患者さんに迷惑だよ。あと、あんまり勢いよく扉を開けない。今日はどうしたの?」

「ぐす、ぅ、ひぐ、うう、狩魔検事がぁ……!狩魔検事がぁ〜〜〜!!」

「うんうん、引っぱたかれたんだね。よしよし、急がなくていいからゆっくり話して?」

「ぅ、ひぐ、えぐ、強盗殺人を狩魔検事が取り扱うからってぇ、資料見せてもらったんだ……オ、オレ、犯人は家の夫人だと思ったからそれを指摘したんだよ〜!!そしたらぁ、そしたらぁ゙〜〜〜!!」

「う、うん」
「(相当キテるなあ…………)」

「そんなことは私も想定してるわよ、そう思うならちゃんとした根拠を提示しなさいってぇ……!!!ぅ、うっ、オレ、事件が起こる日の昼間、夫人と一緒にいたオバさんが撮ったって写真を見てなんとなく違和感があったから指摘しただけなのにぃ!!」

「うーん、確かになんとなくの違和感じゃあ冥さんも納得しないよね。どんな写真なの?」

「う、う、これ…相棒なら、分かると思って、ぐす、見せるためにこっそり携帯に撮っておいたんだ!」

「(バレたら確実にしばかれそうだな……)」
「…いっぱいあるね。連写しかしてないのを見るとカメラ機能を使い慣れてない感じ…かな?」
「弓彦くんはどの写真のどの辺に違和感を覚えるの?なんとなくでいいよ」

「これだ!この写真は夫人が友達にダイヤを見せびらかすためのお茶会の写真らしいぜ。でもなんか夫人が……なんか、こう、アレだキョドーフシンな顔してないか?」

「うーん…」
「これ、まだ現場は捜査中なの?」

「おう、被害者は夫人の旦那で、盗まれたのはその見せびらかしてたダイヤとその他宝石ばっかだな!」

「じゃあ夫人で決まりなんじゃないかなあ、この人が撮った夫人の部屋の写真に、保険と株の本飾ってあるし」

「ほ、保険と株……?」

「その夫人ってあれでしょ、1ヶ月くらい前にテレビに出てた金持ち夫人」
「その人のとこの株ってつい先日、大暴落したんだよ。だから、旦那さんの保険金とダイヤの盗難保険のお金でどうにか賄おうとしたんじゃない?このままじゃ、こんなキレイな大豪邸にも住んでられないだろうし」
「冥さんもそれを分かってるから夫人が怪しいけど、そのダイヤが見つかんなくて困ってるんじゃないかなあ」

「じゃ、じゃあオレの感じた夫人のキョドーフシンな違和感は?」

「今現場捜査中なんでしょ?そろそろ、見つかるんじゃない?その挙動不審な夫人の視線の先にあるソファの隙間から大量の宝石がさ」

「………」
「お、おお?………お、おおおー!!!」
「さすが相棒だな!オレ、今から狩魔検事のとこ行ってくるぜ!!」

「うん、いってらっしゃい」
「(これは確実にしばかれるなあ……)」




しばかれました。