超大切り大トロ祭り




「へぇー、じゃあ結局漁船には乗らなかったんだな」

「乗りませんよ!」

「みぬきちゃんもごめんね。タイミング悪いときにこっちにいなくて…そんな悪質プロデューサー、事務所に乗り込んできてたならすぐにでも向かって助けてあげられたのに……」

「いいんですよ!イチヤナギさんも、パパを守ってくれてありがとうございます!」

「わたし的には、イチヤナギさんご夫婦とご飯に来れたので良しです!」
「あ、オドロキ先輩!その大トロ、わたしのです!」

「希月さんが良くてどうすんだよ…っつうか、ピザといい、寿司といいなんかすいません。奢ってもらっちゃって……」

「いいんだよ。後輩って今や希少種だし、満足いくまで食べてけって」

「テミスから出てきた後輩は9割くらい辞めたしさ、私たち部活なんてやってなかったからなんか新鮮なんだよね。後輩って」

「…検事、大変ですね……」
「(絶対なりたくねえ…)」

「カメラって言えば、オレたちもあったよな。嫌な意味でカメラに映ったこと」

「えっ!イチヤナギ検事さんもですか?」

「……そんなのあったっけ?あ、みぬきちゃん。はい、いくら」

「ありがとうございます!」

「あったよ、オレのオヤジが捕まった数日後。どっから情報が漏れたのかテレビ局が病院だの検事局にまでついてきたろ」

「あ、あー……そんなことも、あったかなあ」

「イチヤナギ検事さんのお父さんって元検事局長だったんですよね」

「ええ!そうなんですか?!そ、それって…」

「まあ、オヤジが局長やってたのって、希月が生まれるよりずっと前だからなあ」
「そん時から色々ウチは真っ黒だったんだよ。相棒がカメラバキバキにブッ壊して、イチャモンつけて追い返してなかったら今頃オレ、外歩けてないしな」

「イ、イチヤナギ捜査官ってその頃から…その凄いんですね色々」

「すごいっていうか今にも殺しそうな勢いだったけどな」
「オレの手掴んできた記者に公務執行妨害だーって思いっきり膝が顔面にめり込んでったの、流石に同情するし忘れられねえよ」

「ふふ…もう、愛ですね!素敵です!」

「でもそういうのってしつこいですよね?どうやって対処したんですか?みぬきたちも数日はちょっと面倒くさかったですし」

「普通、膝がめり込んでく人見たら取材も諦めると思うけど……」

「あはは、それはねー…ちょっとー…」

「テレビ局全土に海外サーバーから謎のウイルスがハッキングされて今までの記録や個人データが山のように流出したらしいぜ。世間的にもそれでいっぱいになっちまって、テレビ局は大バッシング。検事局の話題なんて誰も知らなかったかのように過ぎ去ったよ」
「誰のせいだか知らねえけど」

「私じゃないよ!流石にそこまでやらない…っていうかできないよ」
「あれは、私の知り合いが勝手にやったの。今、テレビ局に追われてて電話できないんだ、ごめんなさいって謝ったら怒っちゃったってだけの結果だよ」

「(怒って個人データ流出させるってどんな人だよ!)」

「まあ、ほら!所詮は数カ月もすれば世間なんて大きな事件も忘れるし、無関心になっちゃうんだからさ。良かったと思わない?」

「うーん、確かに。そうかもしれませんね!せっかくだから、みぬきは忘れられないように頑張らなきゃ!」

「そこは頑張るなよ」



成歩堂法律事務所の夢女子なもんで……へへへ……