お義父さん




「お義父さん、こんにちは」

「君にそう呼ばれる筋合いないんだけど。何しに来たの?」

「いい年こいたハゲ面を見に来ました」
「どうです?監獄の中は」

「……ハハッ、不愉快極まりないよ!特にガラス越しに見るこの景色!」
「出来るなら隣で眺めていたかったものだね、君みたいなよくできた子はさァ」

「つい先日からおやつの時間も無くなっちゃいましたからねぇ、そんな鬱屈になるのも無理はないですかね?」

「クックックッ……色々施してあげたのによくもまあ、大事な恩師にそんな馬鹿げた言えるね」
「無駄話しに来たなら、帰ってもいいかな?一応、僕は君だから面会してあげただけなんだよ」

「ぶっはははっ!お義父さんって呼ばれる筋合い無いって言いますけど、弓彦くんからもう聞いてるんじゃないですか?手紙くらい読んでるでしょう」
「だいたい、私の権限が無ければ人と面会することすら許されない貴方がそんなことを言える立場なのですか?」

「……」
「僕はね、自分をこんなとこにぶち込んだ出来の悪いバカ息子に構ってる暇ないの。意外と忙しいんだよ囚人ってさァ」

「そうですか」
「元上司兼義理とはいえ、父親になるのだから挨拶ぐらいはと思ってたんですけどね」
「私には父親というのがよく分かりませんから」

「こんなとこに入ってなければ、いっぱい教えてあげられたかもね。父親ってやつをさァ」

「結構です。貴方から教わる父親なんてたかが知れてますから」
「ふふ、まあご心配なく。可愛い可愛い孫の一人や二人作ってやりますよ!死んでなければ、顔ぐらいは拝めるんじゃないですか?」

「何なの?」