出張版!密着捜査官24時
前回までのあらすじ(幻覚)番組企画で新たな人材を発掘するため、"テレビ映え"を求め相沢詩紋は途方に暮れていた。自身の母親を出すべきか、それとも顔も名声もある堅物イケメン検事、はたまた、顔はいいがちょっと要領の悪い母親の知り合いを出すべきか__。そんなとき、詩紋に声をかけたのは意外な人物だった。
♢♢♢
「姉ちゃんってさ」
「ん?」
「中々のトラブル体質だよね」
「そうかなあ」
「じゃなかったら番組の収録中に殺人事件なんて起きないと思うよ」
「うーん、確かに…。トラブルを起こしがちなのは私の親戚だと思ってたんだけどね…水鏡さんには連絡した?」
「うん。でも忙しいのか出なかった。メールだけしといたけど」
「弓彦くんもぶっ飛んで来そうで怖いなあ」
「………」
「……」
「…あのさ、姉ちゃん」
「ん?なあに、シモンくん」
「事件、調べたいんじゃないの?」
「い、いやあ、関係者はここで待ってろって言われたら……大人しく待つしかないよね」
「ふーん」
「大人しく待ってろって言われたやつは、番組の出演者名簿と台本広げて、ひとりひとりのこと調べたりしないよ」
「……そうだね。うん、そうだ。たしかにそんなことしないや」
「変に探偵気取りしちゃうのよくないね。ごめんね詩紋くん」
「いいよ。オレも母さん見てるとなんとなくそういうの分かるし」
「良くして貰ってる俳優なら多分、話聞けるんじゃないかな。オレが間に入るよ」
「うっひゃー、詩紋くんさすが!かっこいい!名俳優だね!」
「う、うん…べ、べつに、そんなことないよ」
「ふふ、もしかしたら探偵役としていつか大バズりしちゃうかもね!よし、それじゃあこっそり人物を洗っていこうか」
その頃、裁判所の廊下では物凄い形相で小走りする水鏡と半泣きで爆裂ダッシュする弓彦が同じタクシーに乗り込んだ姿が目撃された。