■ この指が這う白い首筋に
私の彼氏は何を考えているのかまったくわからない。
何回夜を共にしても、何回深く愛し合っても、彼の心が本当に私だけのものなのかさえわかりはしない。
普段は不思議なメイクをしてて、頬に涙と星を描いている。
しゃべり方もいつもおどけたような感じで、なかなか本心がわからない。
まるでピエロかなにかみたい。
でも今、2人でベッドに寝そべっている今は、流石にそのメイクは落としている。
さっきシャワーを2人で浴びたとき、私が落としてあげたんだ。
「ヒソカ、私のこと好き?」
裸のまま、薄いシーツだけをかぶっている私たち。ヒソカはそのたくましい腕で、私に腕まくらをしてくれている。誰にもじゃまされない、至福のひととき。
明かりはわずかにカーテンの隙間から入ってくる月の光だけ。
ワザと肌が触れ合うように、ヒソカの身体にぎゅっと強く抱きつき、甘えたような声で聞いてみた。
「もちろん好きだよ◇」
私の問いにそう答え、身体ごと私の方を向き深く深くキスをしてきた。
私も応えるように首に腕を回し、舌を使ったキスをする。
「名前、まだ物足りなかった?」
クククと喉をならして笑うヒソカが憎たらしい程美しくて、私は否定する事もできなかった。
「ヒソ、カ…はぁ…好き…大好きだよ」
ヒソカが絶えずキスをしてくるから、息が乱れてうまく喋れない。
その言葉を聞いたヒソカは、私の上に覆い被さるような体勢になり、流れてくる前髪を手で後ろにかきあげると、私の肩に顔をうずめてきた。
ヒソカが私の耳を甘噛みする。
激しく、でも優しく。
ヒソカのいい香りとそのなんともいえない感触に、頭がクラクラしてしまう。
さっき愛し合ったのに、全然足りないなんてことを思ってしまった。
私の口元には、ちょうどヒソカの真っ白な首筋がきていた。
そして私は躊躇うこともなく、彼の首筋にキスをおとす。
「…名前はいけない子だね◆」
ヒソカの首に、真っ赤な痣が1つ。
ヒソカはそれがスイッチになったのか、また私の身体を深く深く求めてきた。
ベッドの軋む音が徐々に大きくなる。
ヒソカの息遣いが耳元で聞こえた。
「名前、愛しているよ」
いつものおどけたようなしゃべり方ではない、真っ直ぐな言葉。
彼の本心が、ようやくわかったと思った。
私は思わず微笑み、彼の白い首筋にできた赤い痣に指を這わせる。
ヒソカの動きは激しさを増し、私の理性も最早残っていなかった。
この指が這う白い首筋に
このままずっと夜ならばいいのにと、目の隅で輝く月に願ってみたの