■ 12月4日
「やあ仁王くん。ご機嫌麗しゅう」
「……なんのつもりじゃ?」
「なんのって…ただ挨拶しただけじゃあありませんか」
「……キモいんじゃけど」
「し、失礼ですね!それが乙女に言うセリフですか!」
「あ、わかった。それ柳生の真似やな」
「おーせいかーい!柳生の口真似疲れる。でも自然と背筋伸びるわこの口調」
「名前猫背だもんな」
「仁王もわりと猫背だよ。姿勢正しくはない」
「まあ、そうじゃな。ところで何の用だ」
「なに?用がないと来ちゃいけないわけ!?」
「…めんどくさい奴じゃのう。隣のクラスのお前が訪ねて来たってことは何かあるのかと思うじゃろ。現れるなり柳生の物真似してるし、ほんに意味わからん奴ぜよ」
「意味わからんなんて、1番仁王に言われたくない言葉ですね!」
「あーはいはい。で?」
「冷た…やる気失せた…」
「だからなんのやる気じゃ」
「……内緒」
「…はー、じゃあ自分の教室に帰りんしゃい。俺は今忙しいの」
「なーにが忙しいだ!寝たいだけだろ!せっかくの昼休みなのに!」
「せっかくの昼休みだからこそだ。休みの時間なんだから休むに越したことはないじゃろ」
「つまんないつまんないー!構ってくれー!」
「なんなんじゃ…」
「お、名前じゃねーか!どうしたー?」
「ブン太ー!仁王が私を邪魔者扱いするのー!」
「なんだと!仁王、そりゃいけねーな。なんといっても名前は立海テニス部のたった1人のマネジだぜ?大切にしてやんなきゃな」
「え、なにブン太。何企んでんの。いつもならブン太も一緒になって私を邪険にする流れなんじゃないの?」
「ンだよ!たまには助け舟出してやろうと思っただけだろィ!お前その後ろ手に持ってるプレゼント仁王に渡したいんだろ!」
「ぐ、ぐぇー!バレてた!」
「バレるわそんなもん!お前昨日散々俺を連れ回してプレゼント探したじゃねーか!なにあげれば仁王喜ぶだろうって」
「や、やめてブン太!恥ずかしいでしょ!仁王を前にして言うな!」
「…ほーう。なるほど、だからいつにも増して名前の挙動が怪しかったのか。プレゼント隠してたんじゃな」
「いつにも増してってなんだ!」
「言葉の通りじゃ」
「…」
「…」
「あーもう!いいから渡せよ!」
「イダッ!ブン太!なにもどつくことはないでしょ!」
「ほら、昨日俺と練習しただろィ。何て言って渡すんだった?」
「……仁王誕生日おめでとうございます」
「ありがとうございます」
「名前」
「わかってるよブン太……その、仁王…えっと…」
「なんじゃ」
「……生まれてきてくれてありがとう。……あの、実は私仁王のこと大好きなんです。だからその、私のこと嫌いじゃなければ、えっとですね…」
「プハッ!なんだ名前!らしくねー告白してんじゃねーよ!」
「うううううううるさいブン太!こんなの初めてなんだから緊張するに決まってるでしょ!」
「俺も好き」
「「え」」
「だから、俺も好きじゃって。名前、俺と付き合わんか?」
「……え?ブン太、え?なにこれ。仁王がなんかすごい嬉しいこと言ってるけど、え?幻聴?」
「いや……俺にも聞こえた。名前、お前告られたぞ」
「ぎ、ぎゃーーーー!!!どうせ馬鹿にされるだけだと思ってたー!!!」
「うるさ」
「それは俺も同意」
「あれ…?結局うるさい奴扱いなの…?」
「事実なんじゃから仕方ないじゃろ。まあでも、名前。俺一応告った。返事は?」
「…お、お願いします」
「ん、こちらこそじゃ」
「おー、2人ともおめでとさん!」
「ブン太ー!うえーん!ありがとー!」
「泣くなよ名前ー。ほら、ちゃんとプレゼント渡しな!」
「おお、そう言えば受け取っとらんかったな」
「……一生懸命選びました。手袋です。たくさん使ってください」
「仁王、俺も選んだんだぜー」
「サンキュー。……でも名前の前ではそんな使うことないかものう」
「え!?なんで!?好みじゃなかった?」
「ん?いや。名前と居るときは手繋ぎたいし。せっかくなら素手がいいじゃろ」
「は、やば。ブン太。仁王がなんかやばいこと言ってる。語彙の限界でなんとも言い表せないけどやばくない?」
「いややばい。俺まで照れたわ。なんだこいつ、最強かよ」
「とりあえずこんなこと言われましたってメモるわ。ブン太なんか紙ちょうだい紙」
「待って俺も参考にしたいからメモるわ」
「……おもろい奴らぜよ」
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12月4日 仁王雅治誕!
お誕生日おめでとう!