■ 2月14日


「俺さ、バレンタインが近付くといつも複雑でね」

「え、どうして?」

「俺誕生日が2月14日なんだ。だからその日もしチョコを貰ったとしても誕生日プレゼントなのかなんなのかよくわからなくてさ」

「あーなるほど」

「好きな人にチョコ貰えても、素直に喜べないというか…」

「そんなもんかねえ」

「名前が今からくれるチョコはどっち?」

「…き、君はなにを言い出すの」

「毎年くれてるでしょ、チョコ」

「まあマネージャーだし、友達だし…」

「てことは誕生日プレゼントとしてのチョコだったの?」

「ぎ、義理チョコ…かな?」

「義理チョコか…うん。でもちゃんとバレンタインチョコとしてもらえてたなら嬉しいや」

「喜んでくれてるならよかった、うんうん」

「あれ?でも名前さ、俺にくれるチョコと他の部員にあげてるチョコいつも違うよね?俺のは心なしか豪華というか…。だからてっきり誕生日プレゼントも兼ねてるのかと思ってた」

「……長太郎、もしかして私に意地悪してる?」

「え!意地悪だなんて!ただ疑問に思ったことを言っただけだよ」

「…なにその顔、なんでちょっと笑ってんの。もー!!なに!なにが言いたいの!」

「わずかな可能性にかけて、本命チョコなのかなって」

「ぐっ…ちょ、直球できたね」

「でも違ったみたい。あはは、なんだか恥ずかしいね。ごめん名前、忘れて」

「……ん、これ」

「あ、チョコだ。今年もありがとう名前」

「それさ」

「なに?」

「別に本命チョコって思ってくれてもかまわないといいますか、その…」

「え…ホント?」

「あわわわ!覗くな!人の顔を!見られないようにしてるのに!」

「だって俺嬉しくて…ねえ名前、本当に本命として受け取っていいの?」

「……はい」

「ここ4年くらいずっとチョコくれてたけど、もしかして全部本命だった?」

「……どーでしょうか」

「顔赤くなってるよ」

「う……そう、本命でした」

「名前…気付かなくてごめん。はーバカだな俺」

「いや、私が言わなかったんだし…」

「名前」

「え、なに?」

「俺さ、名前からこの日にチョコもらうたび嬉しかった。でも、同時にとても複雑だったんだ」

「?」

「さっき言ったでしょ。好きな人にもらえても素直に喜べなかったって」

「……長太郎、そんなこと言うと私勘違いしちゃうよ」

「勘違いじゃないよ。名前、俺キミのことずっと……」




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2月14日 鳳長太郎誕!

お誕生日おめでとう!