■ 7月20日

「なあー財前ーぜんざい食べに行かん?」

「なんでぜんざい」

「あんた白玉ぜんざい好きやろ?」

「好きやけど」

「ならいいやん。行こ」

「2人で?やだ」

「え、待って…そんな傷付けること普通言う…?」

「お前と2人で出かけたこと謙也さんとか白石部長に知られるとめんどいから。なんで誘わんかったんかって絶対しつこいし」

「バレんように行けばいいやん。ごめんねえ私が部員にモテモテマネージャーなばっかりに…」

「うざ」

「ねえ二文字で終わらせるのやめて」

「なんにしても行かんて」

「いやだー!行こうよー!てかそもそもバレるの嫌だってんならなんで家には呼んでくれるのよー!この時点で2人きりやんかー!」

「家ならバレんしええやろ。別に2人きりになるのが嫌って言ってるわけちゃうんやし」

「一緒に行ってくれんかったら財前に家に呼ばれて2人きりで遊んだって明日謙也さんたちにバラす」

「…まじでめんどいからやめろや」

「いーやーやー!ぜんざいの口になってしもたんやってー!」

「はぁ…うるさいわ。そんな食いたいなら1人で行けや」

「財前と行かんと意味ない!財前の喜ぶ顔がみたい!」

「なんで」

「だって今日あんた誕生日やん!お祝いしたいんやって!」

「…あー、そういえば今日か」

「めっちゃオススメのぜんざい屋さんあんねん!そこで誕プレもあげる計画なんよ!」

「バラしていいんかそれ」

「もうええわ!ここまで聞いたなら行かんわけにはいかんやろ!」

「祝いたいんなら」

「おん?」

「俺の誕生日祝いたいんなら俺のいうこときけや」

「なに!なに望んどんの!」

「俺出かけるよりも、家でお前と2人きりでいたいんやけど」

「バレるんめんどいからやろ?」

「それもあるけど、普通に誰にも邪魔されずお前といたい」

「…は?」

「家ん中ならどんなことしてもええやろ?誰かにバレる心配もないし」

「待ってくれ、どんなことしてもってなんやねん」

「例えば俺がお前に好きって言うたり、抱きしめたり、チューしたり」

「は、はあ!?あんた何言うとんの!頭打ったなう!?」

「打ってへんよ。動いてないやろさっきから」

「あ!?もしかして動画でも撮っとるんか!?私にドッキリしかけてブログネタにしよう思とるんやろ!」

「そんな悪趣味なことするか」

「じゃあなんで…」

「お前そんな鈍い女なんか?」

「いやだって財前に限ってそんなこと…」

「俺だって男やし。好きなやつくらいできるし」

「それが私だとでもいうのか」

「そう」

「だから二文字で終わらせるなと…」

「好き」

「!」

「二文字で終わらせたけど、これなら文句ないやろ?」

「いや待ってそんな私のこと財前が」

「うっさいな。俺は好きって言ったやろ。お前はどうなんや」

「え!いや、そんな急に!?」

「俺告ったんやし。そりゃ答えききたいやろ」

「…好きでもない人の家に1人で行かんくない?」

「ふうん。んじゃOKってことやな」

「おおい!何急に近づいて来とんねん!」

「好きって言うたり抱きしめたりチューしたりするって言ったやろさっき」

「あれ予告やったん!?」

「そのつもり」

「待って待って流石に心臓もたんてあんた近くで見たらめっちゃ綺麗な顔しとんな!」

「うるさ…」

「ひい!き、急に抱きしめんなや!」

「あったかー。なんや、お前めっちゃ細いやんちゃんと飯食えや」

「食っとるわ!ぜんざい食べに行こうて誘うくらいには食欲あるわ!」

「よし、じゃあ抱きしめるまでは完了したので次にいきますかー」

「つ、次って!もうそれチューするやつ!これ今からチューするやつやん!」

「なあ黙れって。少しくらいムード作ろうとか思わんのか」

「思うわけないやろ!そもそも脳がこの状況を理解してへんねん!私はただ誕生日祝いたくてここに……ん!」

「……ちなみに俺、こう見えてファーストキス」

「わ、私もだわボケェ…こんな不意打ちでするなんて…」

「思ったより気持ちいいもんやな。不意打ちがダメってんなら、ちゃんと許可とるわ。もっかいやってもいい?」

「…ええけど…誕生日やし、私からしたるわ」

「名前にしちゃええプレゼントくれるやん」

「うっせ…」



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7月10日
財前誕生日おめでとう!