「ねぇ、お姉様。いつになったらあなたは目を覚ましてくださるの? 」
青い月明かりが差し込む部屋の中。小さな子供の声が聞こえる。黒いアリスワンピースを着た少女はベッドに横たわる女性に話しかけていた。
しかし、女性は返事をするどころか、ぴくりとも動かない。
「どうして、私と遊ばずにいつまでも寝ているの……」
「もっと、"魂"が必要? なら喜んで私は……」
少女が両手をバッと広げると黒い靄が現れ、それはすぐに形を変えた。きらりと鋭く光る刃。ジャラりと音を立てる鎖。そう、少女が手に持つものは双鎌だ。女性に向かって彼女はオッドアイの瞳を細めて笑った。
部屋を出て、廊下を歩きながら少女は考えるポーズをする。
「どうしたらここにもっと人が集まるかしら? 」
「そうね……怖い噂とか、好きかしら? 」
「私も大好きよ。怖い話。そうね!怖い噂を流せば、みんな興味をもつに決まっているわ! 」
「レクイエム」
「なぁに、お嬢」
レクイエム、と呟くと彼女の背後にふわりと人影が現れた。それは彼女と同じ背丈の少年だった。地面に足をつくことなく、ふわふわと浮いている。
「あなた、今度街に行くのよね? 」
「そうだけど、何かしてほしいの? 」
「ついででいいわ。子供にここが怖い屋敷ということを吹き込んできてちょうだいな」
少女の企みを察するとレクイエムという少年はニヤリと笑った。
「お嬢の大好きなハーブティーも買ってくるね」
「ええ、頼んだわよ。今度一緒にお茶会をしましょう」
「そうね、来客用のティーカップも出しておいてもらおうかしらね」
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