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この絡みつく指と視線から解放されたのはすぐだった。
目があったままもう何秒、何十秒、何分もこうしている気がしたが、実際には数秒間の出来事だったようだ。
他から見れば仲睦まじいカップルのじゃれあい程度で、気に留める人は誰もいない。
「っ、君は・・・・」
「え?え?」
さぁ、と突然目の前の青年は顔を青ざめ、ギュッと私の手を両手でギュッと包み込んだ。
暖かかったはずの青年手はひやりと冷たくなっている
目を瞑り、深い深呼吸をして重そうに瞼をゆっくりと押し上げる。
「はぁ・・・ルールを破った。この国の第10条の規約違反だ。」
「え?なに?どういう事ですか?」
「いや、気にしないでくれ。君は別の星の人間だね」
びくり、と体が跳ねるのが自分でもわかった。手を握られていなくても気づかれてしまうほどには顔にも出ていたと思う。
「警戒しなくていい。今は特に戦争もしていないし、そんな風な話は聞いてはいない。緊張状態ではないから何故こんな事をしているのかは問わない。安心してくれ」
なんだかわからないが、大丈夫そうだ
助かった
イケメンで寛大な心を持っている
素敵なうさ耳です・・・
「あ、ありがとうございます。ごめんなさい。悪いことする為にしてるんじゃないです・・でも、怪しいです、よね、すいません・・・」
「いいさ。気にするな」
にこやかに笑う青年は青ざめていた顔に血の気も戻り元どおりの爽やかさを取り戻している。
「・・・・あの、なんで私がここの星の、ここの人じゃないってわかったんですか?」
問題はこれだ。特に捕まったりする事は無いようだがどうしてバレてしまったのだろうか。カナメさんやレイナさんの調査もマキナさんの服も完璧なはずだとメッサー君も言っていた。いったいどうして
「ああそれか・・・ここの星の事は調べているかい?大まかな事はもちろんなんだが、この星の人々の“能力”についてだ」
「能力・・?」
「ああ。君が手を握られても抵抗しなかったから知らないだろうとは思っていたさ。これはきっとあまり知られていない事だが、機密事項と言うほどでも無い。ヴォルドール人が嗅覚に長けていたり、ウィンダミア人が身体能力に長けているように我が星の人種にも長けたものがある。特に発言の制限はないから言うが、触れて目を合わせ、見たいと思った人の分岐点が見える。つまり未来が見える」
「え!?み、未来って・・」
まさか私の未来?
もしかしたら、私が元の世界に戻れてる未来が見えたってこと?
「未来といっても・・・・」
考えるように押し黙ってしまった彼の言葉を待つ
じっと私を見つめる目が少し曇ったように見えた。
聞きたい?と聞かれて、反射的にコクコクとうなづいた。未来と言われて聞きたく無い人がいるのだろうか。いないと思う。
「・・・俺に見えるのは、最後の分岐点・・・視た人間の死ぬ瞬間だ」
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