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じゃあ。くれぐれも気をつけて。
いいか?絶対1人にはなるな。
危ないところに行ってしまった時は自分の事だけ考えるんだ。
あと、君・・・戦闘機に乗るの?その時も気をつけた方がいい。女の子がそんな物騒なもの乗らない方が良いけどね。

え?なんでそんなに言ってくれるのかって?
うーん・・俺、結構お嬢さんのこと好きだからかな、そうとしかいえないなぁ

今度この星に来たら、その時はもう一度、また会えたらいいな。


そう言って店先で別れ、ぼんやりと彼の後ろ姿が通行人に紛れて消えていくのを見送る。


別れる間際、彼が言ったのは決してメッサー君が私に手を下すという事ではない、安心しろという事と、その時はすぐは来ないこと。
今すぐじゃない、でもいつかはわからないという事らしい。
当たってしまう確率は50%
細かな事1つで未来は変わっていくという事。
他の人とは違って、決定的な事、つまり絶命したところは見ていないという事だった。
なんだかどこかの自称エリートの副作用のようである。
この世界はまるで漫画か映画の世界のようなので、そんな能力があったとしても不思議じゃない気もする。

まてよ。これもしかして死んだら自分の元の世界に帰れるってパターン・・・?
夢オチ的な?
ドラマで見たことあるそれ!

・・・・
ないない。あったとしても博打すぎて無理。
考えただけでも恐ろしい。
プラスに考えようとしても不安ばかりが次から次に襲いかかる。
死んだら帰れる?
帰れなかったら?
帰れずまた別のところで怖い目にあったら?
残された人たちは?
ラグナの、ワルキューレのみんなは悲しむ?


「・・・もちこさん」
「メッサー、君」

メッサー君は

「百面相してましたよ」

彼はどうなるの?

「うまくやり過ごしたみたいですね。大丈夫でしたか?・・・?何かあったんですか?」

メッサー君の家族に、お姉さんになってって。そばに居てって言われた私が死ぬかもって?貴方の目の前で死ぬんだって言うの?

「?もちこ、さん?」

この純粋で、親切で、優しい青年に

「ううん。なんでもない」

「?本当ですか?まさかさっきの男に何かされたんですか」

ぐっと眉間にシワが刻まれ、メッサー君の顔が私のすぐ前まで近づく。わざわざかがんでくれたらしい。

思わず、へへ、と笑ってしまう。

「大丈夫。迷子だと思われたみたい。美味しい名物教えてもらってたんだ・・・他にも美味しそうなの色々あったんだけど、、食べとけば良かったなぁって思って。それ考えてた。ごめんねぼけっとしちゃって」

あながち嘘でもない。本当に可愛いお店も可愛い料理やデザートもたくさんあったのだ。

「しょうがない人ですね。まだ合流まで少し時間がありますし、色々見て見ましょう、一緒に」

「やった」

眉の下がった困ったような、表情が嫌に眩しく懐かしい。
さっきまでの冷え切った身体が嘘のようにポカポカとしてくる。

こんな優しい青年に言うべきではないのだ。
悲しく苦しい孤独を、私の分まで背負わす必要なんて何もない。

今だけは、さっきの予言は忘れよう。


2人で選んで食べた、可愛い夕陽色のアイスクリームの味はなんの味もしなかった。
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