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「えっ、ワルキューレメンバーを増やすんですか?」

「そう。美雲が入ってから2年も経つしチームワークも良くなったでしょう?そろそろ増やそうかと思っているの。ほら、ヴァールシンドロームの報告も徐々に増えてきているみたいだし」

カナメさんに呼び出されたかと思えば、なんと人員増員作戦についてだった。
ふふふ、と笑う彼女はとても楽しそうで、普段バリバリのキャリアウーマンプラスで戦場に出ているとは思えない。
セクシーでキュートというのは彼女の事でしょうか・・・

「もう入る人って決まってるんですか?」
「いいえ。これからよ。オーディションするの!」

ばちん、と放たれたウィンクにキョトンとしてしまう。
今までは美雲さんが入ってきた時しか知らないので、こう、するっといつのまにか加入、みたいなシステムかと思った。
普通のアイドルみたいなこともするんだなぁ。

「これ、まだ内緒よ?トップシークレットなんだから。知ってるのはアラド隊長とアーネスト艦長、ワルキューレメンバーにだって貴方が1番最初なのよ」

「えっ!いいんですかっそんな大事な事私なんかが最初で」

「ふふ、何言ってるのよ。貴方も大事なワルキューレの秘蔵っ子でしょ!」

「ひ、秘蔵・・・ひ弱なコーラス補充要員くらいかと思いますけど・・どちらかといえば足引っ張ってるとしか・・・ど、どうなんでしょうか・・・はは」

思わず引きつった笑みを浮かべてしまった
もはやヘラヘラ笑うしかできない

「そんなことないじゃない。貴方ともう2年以上も一緒に頑張ってきたのに寂しいわ。」

少し困ったような表情のカナメさんは、寂しそうに微笑んだ。苦笑したと言った方が正しいのかもしれない
そっと手をとってぎゅっと握られた手のひらに熱がこもる。

「戦場でのワルキューレの安全が保たれてるのはデルタ小隊のおかげ。そして、相性のいい貴方の歌声でメッサー君はヴァールシンドロームに影響されることなく安心して任務に当たれる。デルタ小隊の約4割にもなる戦力を占めるメッサー君が調子がいいのは貴方のおかげでしょう?」

それってすごいことじゃ無いかしら?
にっこり笑うカナメさんにつられて、うっかり頷いてしまったが、多分そんなにすごい事なんて無いはずだ。
メッサー君は何も言わないが、私が助けられているばかりで役に立った事なんて果たしてあっただろうか?
ワルキューレにだって大した功績を残したとも思えない。

コーラスを受け持つことでほんの少しフォールド波というものが増幅されるとかされないとか。わたくしアラドさんに難しいことは覚えなくていいって甘やかされてきたんで・・・専門用語はちょっと・・・・
ここ1、2年ほど雑用とお手伝いとほんの少しのコーラスと寮の清掃しかしてないもんで。
もちろんメッサー君の実験活動は続行中だ。実戦に行ってないだけで。

ものすごーくカナメさんとメッサー君に止められるので、うさ耳コスプレ予言事件、そう、あれ以来メッサー君の機体には乗り込んでいないのあります。助かります。私あのGがかかる感じ無理・・・

じゃあね!

と爽やかに去って行ったカナメさんは朝から素敵でした。とてもアラドさんとお酒を飲みながらクラゲを摘んでいるなんて絵は想像できない。カナメさんのイメージ的にカシオレとかさ、フルーツ摘みながらなイメージじゃんか。知ってる?ロックなんだぜ。昨晩も2人で飲んでるの見たよ。ファンには見せられないよ・・・。




日がいく日か過ぎて、街のあちこち、そしてケイオス本部の中、テレビやラジオでも一日中ワルキューレ新メンバーオーディションの話題で持ちきりだ。
すごい。こんな有名なんだな。なんだか私の場違い感すごい・・・私はここに居ていいの?


と言うことはデルタ小隊も有名なのか・・・ちょうど近くにいたメッサー君を拝んでみたらジロリと見られた後無言でチョップされた。

「もちこさんの考えてることなんてお見通しです」

「そうでしたか」

お見通しらしい

メッサー君てば自分の腕力アップしてるの忘れてるのかな?全体的にマッチョになってるし背なんて190cm越えなんだからね。

う、羨ましいなんて思ってない
そのくびれいいなとか背が高くていいなとか思ってない・・・

「・・・無言で下半身見ないでもらえますか」
「え゛っ!かっ下半身って言わないでよ・・・腰見てましたすいません」

「間違ってないでしょう。」

「やめてー!そのセクハラ親父を見るような目をやめて〜目でセクハラって言ってる」

「言ってませんよ」

「目で語るタイプだね」

「口で言った方がいいですか?」

「メッサー様はそのままで良いでございます」

「・・・」

「いだー!!!チョップやめてよ」






「うんうん。やっぱり2人揃ってないとダメね。」
「そうだなぁ。メッサーも最初に比べたら随分いい顔できるようになったしな。カナメさんもそう思いませんか」

「そうですね。・・・アラド隊長ももちこさんと話してる時いい顔してますよ?」

「そうですね。・・・そうかもしれません。流石に今回は肝が冷えましたから。」

「はい。本当に・・・。オーディションで新しい風が吹いて全部いい方向に進む事が出来ればいいんですけど・・・」

「・・・そうなるように尽力しよう。」
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