27






ワルキューレオーディション。
それだけ聞いてもやはり私にはピンとこないけれど、どうやら本当にとても有名で、とてもすごい人達なのだ。
恐ろしい事に、最終オーディションに来た子達も相当可愛いです。
いやほんと。

チラーっとチャックさんと一緒にワルキューレオーディションに集まってる女の子達を見に行ったけど、真面目に全員合格でいいよ。
以心伝心イェーイとチャックさんとハイタッチをしていると、先に来ていたミラージュちゃんが据わった目でこっちを見ていた。
美人怖い

「はぁ、違いますよ。別にもちこさんを軽蔑するとか、そういうのでは無いです」

「け、軽蔑・・・」

ひえ、と声を漏らしてしまった。いやほんと美人の真顔は怖いんだから。

「ひゅー辛辣〜」

全然こっち見ないチャックさんはほんとひどいと思う。裏切り者め。

「だから違いますって!あの子達です!本当に・・・分かっているのかと思ったんです!戦場で歌う意味を・・・」

戦場で歌う、意味
とても危険で死ぬかもしれない任務
戦場で歌うという任務

彼女を、彼女達を命がけで守るデルタ小隊の意味

デルタ小隊・・・

はっ!

「わ、私先に裸喰娘娘に帰ってますー!新しいお部屋お掃除しなくちゃなんで!」

「ウーラサ〜」

「えっ、あ、ちょっもちこさん、」

もうちょっとだけチャックさんとミラージュちゃんとお喋りしたかったけどお仕事なんで仕方ない。働かざるもの食うべからずだ。
とりあえずオーディションの日に合わせて掃除しとけーなんて・・・もしかして女子寮の空きがなくてワルキューレ新メンバーが裸喰娘娘男子寮に・・・?た、たのしみすぎる

とにかく急いでお部屋の準備をせねば。

_________________

「彼女、もう大丈夫なんですか?」

「へ?もちこちゃんか?前に比べれば元気になったと思うけど・・・」

「・・・私は、不思議と彼女の歌がしっくりくる気がするんです。何故かはわからないんですが・・・このオーディションで新しいワルキューレメンバーが入れば、もう彼女との任務は無くなるんでしょうか」

「なんっか意外だなー・・・・まぁ、なんとなくわかる気もする。ここのところ店も手伝ってくれるから、俺は今のままで充分助かるし、楽しいけどねぇ」


______________

ダッシュで裸喰娘娘に帰り、部屋の整理と清掃、シーツの交換を行う。
正直シーツを女性ぽく可愛い色にするかスタンダードに白にするかでものすごく迷ったけれど、ここは無難に白にしておこう。下手に可愛くしてしまった後に好みじゃなかった場合とてもよろしくない。

そうこうしているうちに、もう外は暗くなり始め、裸喰娘娘が賑やかになる時間が迫ってきていた。マリアンヌさん達をを手伝いに行かねば。

寮を抜けて通路を進むと裸喰娘娘での食器同士がぶつかる音やガヤガヤと楽しそうな声が聞こえ始めた。もう随分と賑やかになっているようだ。

「マリアンヌさーん手伝いま」

「もちこー!兄ちゃん帰ってきたよー」
「お迎えいこー!」
「はやくはやく」
「わわわっ引っ張ったら転ぶ!転ぶ!」

マリアンヌさんを探そうとお店の扉を開くと同時にいつも元気なチャックさんの兄妹達に捕まりバタバタとテーブルの間をすり抜けて出口へ向かって行く。
やめて!
私ってばこの時代、いや世界か?まぁとりあえず現段階では自分で思ってる以上に超虚弱体質にメタモルフォーゼしたんであんま引っ張るな。すぐこけるから。下手したらこけて気絶だから。虚弱だから。
ていうかここの人が怪力すぎるのか?美雲さんも私の事軽々持ち上げるというまさかの怪力を見せつけられた。
目ん玉飛び出るかと思ったわ。

まとめると子供のこの子達でさえかなりの力持ち。カイリキッズなのだ。
私に抗う術はない

「兄ちゃんおっかえりぃ」
「チャックさんお帰りなさい、あれ?カナメさん?と、えっと・・・」

んん?
おや。
いや、そこの可愛いハートつけた女の子は分かるわ。合格だわ。
ワルキューレオーディションって男の子も?うけれるの?え?だからアラドさん男子寮の掃除って?超時空ビーナスなのに??女神なのに?
いや、合格だわ。美少年・・・美青年かな。
こっちの人見た目で年齢わからないよ・・・いくつなの?日本人的には19くらいでもおかしくないよ。

「あら。今夜はもちこもお店に出ているのね。こんばんはもちこ」
ひらひらと手を振るカナメさんはやっぱり女神ですね。こんな薄暗い中でも後光が射して見える!
やっぱ違うわ。ワルキューレ違うわ。

ヘラヘラと小さく手を振っていたら、バターンという大きな音が聞こえ、宙に魚と海猫が舞った
またもやあのヤクザ海猫が食い逃げしにきたようだ。すまない・・・私には猫にも魚にも勝てる気がしないんだよ。
そこで餌食になった少年よ・・ご愁傷様・・南無
目を閉じて南無南無やってたらいつの間にやらメッサー君に絡まれとるがな。
どんまい
マジどんまい
弱り目に祟り目だね。
踏んだり蹴ったりともいうのか

マリアンヌさんが声をかけたあたりでものすごい目があった。やべえ。またもや脳内ジャックされた気がする。おおお。首でクイってやつ。クイってやつやった。よくヤンキーがやる「あとで裏庭」ってやつだ。ひぇぇ
メッサー君がやると怖さ3割増し黒い服着てるし闇に紛れ率が本物感出してる

私は行かないからな
おっと部屋が隣だったわ
詰んだ

詰んだわ・・・

ひぃぃ、と身が凍える思いで怯えて居たらマリアンヌさんに「え?なに?え?」とドン引きされました。
急に妄想した私が悪いのはわかっているので大丈夫。美人に嫌そうな顔で一歩距離を取られたって泣かないから・・・ごめんうそ。凹むからやめてよ・・・・やめてぇ

半泣きでよろよろとゾンビよろしくマリアンヌさんに近づいたらギョッとして「ちょ、大丈夫?あーもうっ」とヨシヨシしてもらえました。

ALICE+