ブラック審神者はじめます。(男主人公です。)








ちょっと聞いて欲しい。
俺ってば審神者就任一年目のペーペーなんだけどさ。気がついたことがあるんだけど聞いて欲しい。

まずは審神者について。
こいつはまぁ説明いらないよな。
美男子刀剣を率いて歴史修正主義者どもから歴史を守るわけだ。

まぁいい。そこはね。
そして同じような組織を知っているか君達は。
そう。艦隊。艦娘だよ。
俺はどう間違ったのか思い出すのも難しいが、そっちと勘違いしてたわけよね。
クソアホ
俺のクソアホ

一回就職しちゃうと止めるのって難しいじゃんか。
適正っていうのも必要でそういった人材って結構貴重なのよ。俺ってば提督能力はさっぱりだったが審神者能力だけは突然変異で良かったわけ。
美男子かぁ
美少女が良かったなぁ
女がいいよ
ラブラブしたいよ
俺はノーマルなんだよ
何が悲しくて24時間男と過ごし運命共同体にならんといかんのだよ。


そこでだ。
俺は考えた
じゃあ俺から辞めるんじゃなくて、政府から辞めさせられてばいいんじゃん。ってな。




ブラック本丸始めました。



まず手始めに、俺の初期刀の歌仙をいじめてみたんだよ。

心が・・・痛んだ・・・

「な、主・・たしかに軽傷ではあるが限りなく中傷なんだ・・あまり言いたくはないが、まだ刀剣男子が多くいる本丸じゃない。手当をしてもらわないともし僕が折れた時君が襲われたらどうするんだい」

「ふん、気にするなよ。新しい仲間をまた鍛刀すりゃいいさ」
ごめん
痛いよね
ごめんほんと

「・・・ああ、そうかい。いいよ。ゾクゾクするじゃないか。僕がどこまでやれるか、期待しておくといいよ。」

ふふ、と歌仙は口の端から溢れる血をペロリと舐めると、ニヤリと妖艶に微笑み、各自に与えている自室の戸へ手をかける。
一歩踏み入れたかと思うと、ピタリと体が止まり、不意にこちらを振り向いた

「ふふ、ああ、いいね。気持ちがいい。君の、主人のための傷が体についていると思うと・・・ふふ、出陣の際誉を取ったらご褒美に傷を舐めてもらおうかな。ああ、良いだろうね。とても」


そう、うっとりとした表情でスススと部屋の中に消えて行った


え!?
えええ!?


_________________________

僕の本丸には、刀剣が5振りいる。
まだ僕の主は新人で、鍛刀するにも要領が悪い。
そこが可愛いもので、実に愛で甲斐がある

可愛い可愛い僕の主は最初こそ2人きりで頑張っていたものだが、今は仲間も増え生傷が絶えなかったあの頃がなつかしい。
数日軽傷、中傷でいたこともあった。
新人故の資材不足。よくある話だ。

そんなことは気にはならない。

ここ最近ときたら僕の主は初心に戻ったように傷を手当しないことが増えてきた。

緩やかな日々を過ごしていたはずが急速に慌ただしく賑やかになって行く。

しかしながらこの本丸にはこういった日々を嫌う者など居なかった。誰もが自分を使ってもらう喜びに震え、萎える者などいなかった。

なに、人の子から見た傷と元々物だった我々から見る傷、そもそもの認識が違う。

ふふ、泳ぐ目の可愛らしいこと
傷を見て浮き上がる冷や汗のなんと芳しい香りだこと。

傷を、血を舐め取られ、じくじくと生きていると感じるあの痛み

我々物が唯一人の子と同じ時を生きれる時間

ああ、良い
酷使され、傷だらけだが、なんと生きる事とは楽しい事か。

こうも楽しみをくれる主はなんて良い主君なのだろう

自室で戦場に出るにふさわしい服を纏うと、実に興奮し、気分が高ぶってくる


ああ、ああ、

とても楽しみだ


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