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恐怖のファミレス事件、そう、3つの黒子女子捜索部隊なるものが存在している事を知ってしまってから早2週間が過ぎた。
過ぎてしまっていた。
毎日顔を合わせているというのに、悲しいことに未だ兄には話せていない。
何故なら。
うっかりすっかり忘れていたからだ。
ファミレスでパフェってたのが4月。そして2週間後の今はゴールデンウィークという名のウキウキパーフェクトスペシャルホリデイ。
おいおい馬鹿野郎が。
お兄様に夢の国へ誘われたんだから行くっきゃない!
相談しようとしたその日、つまり2週間前に誘われたんだからそりゃ忘れるよね。もちこちゃんうっかり。
女子高生って夢の国って言われたら全部吹っ飛ぶよね。ほんとに一瞬たりとも思い出せなかったわ。
と、まぁ、夢の国から帰ってきたわけですけど。現実の世界に気がついちゃったわけですけど。
「あれ、どうしたの?こんなところでネズミ耳なんてつけて。まだ夢から帰ってこれてないの?
ていうか駄目だよ!年頃の女の子が廊下でゴロゴロしてちゃ!」
お腹冷えるよ!と言いながらたたみ終えた自分の服と私の服を部屋まで持ってきてくれる国広兄様女子力しゅごい
部屋は狭い廊下を挟んでお向かいさんなんだけどね。
我が堀川家の第二の主婦でござる
せっせせっせと私と自分の部屋に洗濯物を運んで行くお兄様を見ながら、ついため息が出る。うーん
言うべきなのか言わないべきなのか
なんせ最近まですっかり夢のことなんて忘れていたし、ほとんど口に出してもいない。一度兄に相談した後はほとんど見なくなった前世の記憶。
たまーに見ても、ああまたかーくらいでそんなに覚えてもいない。
うんうん唸っていると、兄が私の顔を覗き込むようにしゃがみ込んできた。
なにそれあざと可愛いね。
「まだゴロゴロ中なの?風邪ひいちゃう。なぁに?どうしたの?僕でよかったら聞くよ?」
「兄ちゃん、また夢の話なんだけどさ、今いい?」
「・・・・もちろんだよ。もちこの部屋にいこっか。僕の部屋のがいい?今は父さんも母さんも出かけてるしリビングでもいいよ。何か温かい物を用意しようか」
「ん。ありがとう。飲み物は大丈夫。私の部屋きて」
兄ちゃんは優しく微笑むと、「もちろん」と言って手を握ってくれた。優しい兄はいつでも私の不安な気持ちを取り除くように、はたまた寄り添うようにそっと近づいてくれるのだ。
2人してベッドに座り込む
向かい合って三角座り
兄はいつも正座だ。いつもはピシリと正された姿勢だけれど、2人で話すときは少し猫背になる。
「あのね。夢の話は覚えてるよね。2週間くらい前なんだけど、夢の中に良く出てきた名前とか話し方をした人達がいたんだ。」
「へ!?」
お兄様、お顔が・・・
「ああでも顔・・は見てないし、見られてもないんだけどね。「いち兄」とか「ごこた」?とか言ってた。そこまではいいんだけどね、どうやら人を探してるみたいでさ。なんかさ、ここまで夢とかぶることがあると怖くって。しかも探してる女が私ぽいんだよね〜、黒子が3つうなじに・・って兄ちゃんこわい!顔怖い!!」
お顔が!!!!
般若がおる!
「・・・・」
「まだ私を探してるって決まってないよ。だって黒子が3つの女子を探してるって言ってたらしいし。SS高校の人達みたいだし、結構遠くの学校でしょ?絶対会うことなさそうだし」
「もちこ、怖かったでしょう。大丈夫。万が一って事もあるし、僕が毎日一緒に帰ってあげよう」
にっこり。
花のような笑顔とはこの事か。
「大丈夫!僕は強いんだよ!闇討ち、暗殺、お手の物てね」
こわい
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