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「もちこ。今日はちょっと生徒会で遅くなるから学校で待っててくれる?」

「んー・・・いやぁそれなら私今日は1人で帰る「グシャッ」わ・・・・」

「・・・」

た、卵が闇討ちにあった
そんな殺生な
その卵は無抵抗だったのに・・・

朝、テーブルに私、キッチンに兄ちゃん。
いやいや逆でしょって思うじゃん?
天下の国広様の飯を食ってごらんよ
私の飯なんざ泥団子のごとしよ
あ、兄ちゃんのみたらしが食べたい

そんなお兄様はパンをくわえて出ていったあの日を境に得意のメニューが急に和食になり、ツッコミ担当だと思って居たのがボケに変わったりと非常にわかりにくいイメチェンをキメて来たわけなのである。
無言の抗議が増え、ツッコミは物理になって来ました。今卵が死にましたよね。見ましたか奥さん。

「あ、ごめんごめん。ちょっといろいろ考えちゃって。それなら僕の高校に来てもらおうかな・・・僕の通ってる高校ともちこの高校近いでしょ」

「まぁ、いいけど・・・」

「それじゃあ、放課後。ちゃんとうちの高校まで来てね。あ、出たらメールしてよ」

「わかったわかった。私の彼氏かよー兄ちゃんは」

あっ
また卵がっ
なんでそこでブチ切れるんだよこわいな

「そ、な、なに言ってるんだよっ!兄妹は付き合えないだろ!」

馬鹿め馬鹿めっとプリプリ怒る兄ちゃんは少し顔が赤い。なんで赤くなるんだよ。こわいな

プリプリと怒っている兄ちゃんは美形なだけにそれはそれは可愛いんだけど、兄がそんな可愛くてもちょっと・・・ね。引くよね。

早く用意しろと促され、学校に登校するわけだが、兄ちゃんと登校ってなー
同じ学校ならいいんだけどなーブラコンだと思われちゃう。恥ずかしいことこの上ないので、学校が近づくとさっさと別れるようにしている。

兄ちゃんも特に気にしていないのか「じゃあね気をつけて」と言ってびしりとした姿勢のまま自身の高校へと向かうのだ。

過保護な兄つらいわ

トボトボと下駄箱に向かって歩いていたら、腰のあたりにドンっと衝撃を受けた。
うっ
朝ごはん出る

「せーんぱい、おはよう」
「・・・朝早いね清光くん」

まぁね、とにっこり微笑む黒髪の少年。名前を加州清光くんというらしい。

今まで出会った人の中で群を抜く不思議ちゃんである。そして力が強い。馬鹿力だ。

「今日早いね。授業始まるまで一緒にお話ししよ?」
「いいけど・・・」

「ちょっと!なんでそんなに不服そうなの!?俺、結構可愛い後輩じゃないの!?ほらっ見た目とか!」

「・・・」

「くそっ先輩のくせに!先輩のくせに!」

馬鹿ー!と叫んで自分の教室に走って行った。なんだよ。めんどくさいな。

はぁ、とため息をついて教室の扉を開ける。まだ朝早い時間のため、まだチラホラとしか生徒はいない。

なんか朝から疲れた・・・

「ンフフフフ、やぁ。お早い到着だね」

「・・・おはよう亀甲くん」

「フフっ隣の席なんだから貞宗で良いのに・・・いや、でも君に名字を呼ばれるのは気分がいいよ。そのままで結構」

フフフと笑う儚げな美貌をもつメガネ男子は亀甲変態貞宗である

口に出すと喜ぶので基本的にあまり会話したくない。
無視しても喜ぶのでどうしようもない。
本当どうしようもない。

「そういえば」
「え?・・・!ちょっ」

窓際の自分の席について、彼と反対側を見ると正面の門から生徒がポツポツと入ってくるのが見える。あと10分もしたら倍もの人がこの道を通って校舎に入ってくるのか。
そうボウっと考えていると、ふと近くから亀甲くんの声がして、振り向くと、鼻が触れ合うかという程近くに彼の顔があった

驚いて距離を取ろうとするも、いつの間にか彼に肩を抱かれるように体を固定されていた

「やめてよ。近いんだけど。なに?」
「ふふ。嫌そうな顔。いや。なんだか嬉しくてね。」
「?何が?」
彼は目を細めて美しい顔を歪める
「朝、この窓から懐かしい顔を見たんだよ。」

「へぇ・・・」

で?
え?
続きはないの?

至近距離でニヤニヤニヤニヤして、結局それ以上何も言わないまま元の位置に戻って行った。

えっこわ

ちょっと私の周りどうなってんの?



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