オブシディアンを指でなぞって(BBB/スティーブン)


スティーブン・A・スターフェイズ
魔法混合
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オフなんて無く、毎日毎日戦闘、書類処理に追われる日々。馬車馬のごとく働き詰めで、ここ最近オフの日に友人や恋人と過ごす、なんて言うのは一切無くなってしまった。
仕方がない。仕方がないのだけれども。

公園でテイクアウトしたコーヒーを片手に大きくため息をつくと、隣に座っていた女性がくすっと笑った
ゆっくりと隣を見ると、小さなポーチだけぶら下げた若い女性が自分と同じように公園のベンチでコーヒーを片手にクスクスと笑っていた

ハッとしたように姿勢を正すと、「ご、ごめんなさい。貴方みたいなハンサムな人が大きなため息をついてくたびれてるなんて、何だか似合わなくって、つい」

すいません、と頭を下げられてしまった。
見た所観光中のアジアンだろう
チャイニーズかジャパニーズか・・
「いや、構わないさ。若い女性に褒められるなんて、僕もまだまだ捨てたもんじゃないな。君は旅行者かな」

「若い女性って。貴方もそんなに歳をとってるわけじゃないでしょう。そうです観光で、ここを見て見たくって。
死ぬ前に一回は見ておかないとって先輩にも言われたんです」
イキイキと輝く瞳がなんと眩しいことか。
若いって素晴らしい

「なるほどな。」

「別にすぐ死ぬわけじゃないですけどね。人間いつ何があるかわからないですし」

「そうだね」

「貴方はここのひと?」

「ああ。しがないサラリーマンだよ」

「へぇ。すっごく疲れた顔。忙しいんですね」
蛙チョコ食べます?なんて聞かれたが、あいにくそんな気分ではない
はて、蛙チョコとは?

「まぁね。休みなしさ。君はどれくらいここに滞在するんだい?」

「2、3ヶ月くらいかな。長期休暇をもらったんですけど、ここでの仕事も任されちゃって・・・はぁ。もうそれ休暇じゃないですよね・・・」

!なんだって
「君はティーンじゃないのかい?」
「ティーンが1人でこんなとこくるか!って・・・まぁ、そうですよね。アジア人は若く見られがちですもんねぇ」

20ですよこれでも

そう言って彼女はコーヒーの縁をなぞるように空中でで指をぐるぐる回した

僕の視線を感じて、ハッとしたように指を引っ込めた

「ははは、これ母に教わったおまじないでして。コーヒーが美味しくなるんですって」

「へぇ僕も今度やってみるよ」
はは、と乾いた笑いを浮かべて彼女は立ち上がった
思ったよりも背は高かったが、その黒い髪も瞳もちいさな輪郭がやはり幼くみせた。

不意に彼女が霧がかった空を見上げて、腕をふわりとあげた

彼女の視線をたどっても空は霧となんだかわからない生物が徘徊しているようにしか見えない

が、次の瞬間大きな美しい白い梟が彼女の腕にまるで吸いつけられたように降り立ったではないか
唖然とする僕に対して彼女はさも当たり前かのようにその梟の足にくくりつけられた手紙を外した。

「な、君、その梟は君のペットか何かなのかい?」

「へ?ああ」
そうか。忘れてたな。マグルは梟は使わないんだったか。と、そう言った


マグル?

ボソボソと独り言のようだったが、ライブラで日々鍛えられた読唇術が役に立ったようだった

難しい顔をしたままヨシヨシと梟のくちばしの下を撫でてごそごそと小さなポーチを漁ったかと思えば何の肉だかわからない、そう。肉の塊が出て来た。

おい
なんだそれは
明らかにサイズがおかしい
いや、まず何故ポーチにそんなものを

普段は顔に出さない事が普通であり仕事であるのだが、不覚にも開いた口が塞がらなかった

おそらくその日1番の間抜け面だったはずだ。

梟にそれを与え、空へ飛び立ったのを確認してから、手をハンカチで拭い始める。
どうやらこの一連の流れは彼女にとって日常であり、普通のことらしい。

ぽかんとした表情のままだったらしい僕を見てにっこりと微笑んだ彼女は、すっと立ち上がり「では。私は急用ができたのでこれで。良い1日を」
そう言ってスタスタと立ち去ってしまった

何とも不思議な体験をしてしまったものだと思った。
この街ではあまりにも普通でないものが多いと言うのに、それでも毛色の違う不可思議な感覚がぶわりと僕を包み込む。

スタスタとまっすぐ進む彼女を見ていると、すっと溶けるように消えた。彼女が。
決して人通りの多い時間ではないし、人がごった返す場所でもない。人混みに紛れて見えなくなってしまった、などでは決してないのだ。

そんなはずはない。なのに何故か、まるで彼女が消えたように、そう思えた。







名前変換ないです。多分続く。



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