オブシディアンを指でなぞって2
スティーブン・A・スターフェイズ
魔法混合
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あれは、
あれは一体なんだ
あれは
まるで
身体が氷のように冷たい
冷たいのに熱く身体中に鋭い痛みが走り、鈍く骨の軋む音が頭の中で木霊する
大失態だ。
このヘルサレムズ・ロッドにおいて超常現象を伴った事件は多数発生している。否、起こりうるすべてが超常と言っていいほどに異常を期した街なのだ。端々で起こる犯罪は想像を遥かに超えた次元で起こっているといってもいい。
我らは人界と異界の境界を守るため日々その脅威から世界を守るため万全な備えをしてきたというのに
なんだって言うんだ
これは、この生き物は、人間でも異界の民とも、何者とも違いすぎるではないか
時が止まる
エスメラルダ式血凍道も効かない
まるで、まるで身体全体の血が凍りつくようだ
何もかも素晴らしかった物が、凍りつく
なんて、寒い
「はは、皮肉な話だ・・」
牙狩りの中でも氷を扱うと言うのにこの体たらく。情けのない話だ。笑い話にしては手厳しい。
黒いボロ布のようなそれは滑るように近寄ってくると言うのに、その奥に居るフードを深々とかぶった痩せ細ったパーカーの男が棒切れを振るだけで体は吹き飛ばされてしまう。
万事休す
正しく絶体絶命とはこの事だ
ああ、おかしい
目の前に居るはずもないホワイトタイガーがするりと現れたではないか。
ついには白昼夢を見るほどに脳にダメージを食らったらしい
「妨害せよ!」
「守護霊よきたれ!」
しゅるり、とそのしなやかな体躯が形を変え、人の形に変わったではないか。なんという都合のいい夢だ
まさかそんな言葉一つでフードの男は吹き飛び、ゴミ袋のゴーストのようなものは身を翻し同じように吹き飛んでいった。
「インカーセラス!縛れ!縛れ!あー・・・しまった。逃げられたー・・・失敗失敗」
その、姿は
「あれ、あなたは・・・派手にやられましたね。間に合わなくてすいません。」
「君は・・・なっ!!」
彼女のバックには信じられないことに、自分自身以上にボロボロだった路地裏が大崩落を思い出させるように浮き上がり、ブロックのように積み上がり綺麗さっぱり元どおりだった。
ふむ。今度こそ蛙チョコの出番ですね!
そう言って微笑んだ彼女の顔ほど今は信じられないものはなかった。
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