山積みのガマズミ2(ボールルーム:清春)


転生清春姉2




ダンスレッスンに訪れた生徒たちも帰り支度を済まし、帰ろうかという時間。


「もちこちゃ〜ん、見て〜これ。このドレス素敵じゃない?あ、こっちのが良いかな」

「えー?お母さんが着るの?だったらもうちょっと露出控えた方が可愛いけど」

「やだ〜可愛いなんて嬉しいっ!50くらいのおじさまには受けると思う?どう?」

「50か・・じゃあこんな感じ?その年なら見えそうで見えないのが好きだよきっと。あー・・・これとかは?ふっふっふ私の経験上これいいよ」

「ひゅ〜さぁっすが私の娘」

ガタンっ

何か重いものが床を叩きつけるような音が響き、広々としたスタジオに静寂が訪れた。

えっなにこれ
清春さんこわい真顔じゃん
お母様もキョトンとしておりますわよ

「え?は?なに?経験上ってなんのこと?俺の知らないところで何をしてるの?見えそうで見えない服を着たの?いつ?どこで?」

「うわ・・・こわぁ・・・お、落ち着きなよ清春。ち、近いから顔が・・・いだだっ肩掴まないでください」

こわいー
真顔で競歩キメてきて顔面近づけてくるのやめてほしいです〜
鼻がぶつかるくらい近いってこういう事を言うんだな・・・恐ろしい状況じゃないか。
少女漫画の嘘つき
掴まれた両肩もギリギリ言ってます。
なにこれDV?痛い痛い

「早く答えろよ」
「こっわ!私がどこで何しようといいでしょうが」
「50歳の男と何したの」
「聞けよ」
「もちこは枯れ専なの?おっさんがタイプなの?」
「いやいや別におじ様がタイプってわけじゃないですしおすし」
「年下はどうなの」
「年下かぁ〜ないわ」
「は?」
「痛いっつってるだろアホっどちらかといえば年上が良いわ!」

肩を掴む手が震え、さらに力が強まったかと思うと、小さな声で「・・・やっぱり仙石さんが良いの?」と聞こえてきた



え?仙石さん?
あのピンパブ大好きデリカシーのかけらもない(当社比)あの仙石さん?
ないわ
清春お前今まで何を見てきたんだよ
今まで一度でも仙石さん素敵なんて私が言ったか?答えはNoだ。
あの人海外のお土産は色々くれるけど、私を見つけるやいなや、やれストレッチだ、やれダンスの練習見てやるだ言ってくるが正直おちょくってるようにしか見えないし思えない。
ストレッチに至っては体の硬い私に対する嫌がらせかとも思える。
いくら男前でも。いくらイケメンでも無理だわ。
人間中身やぞ。

「清春・・・」
私が名前を呼ぶと、俯いていた清春の綺麗な顔がこちらを向く。

「仙石さんは絶対ない。私の好みにひとかけらも掠ってない。私の好みは釘宮さんだから」
「は?」
「え?」

清春の首がぎこちなく後方を向く
うわぁギギギって音が出そう
長い首にちょこんとついた小顔がやたらと重そうだ。

清春が向いた方を私も覗き込むように見ると、そこにはクールダウンしている釘宮方美、その人がいた。
いいですね。冷めた目、気だるげな表情が今日もグッドです。滴る汗がカッコイーひゅーう
口にはもちろん出してない。平凡顔が調子乗んなよクソがって思われたら嫌だし。
心の中で盛大に盛り上がっていると、清春が突然ゴチン、とおでこをぶつけてきた
お前・・・
器用かよ
よくもそんなに屈めたな。


「なんで釘宮さん?もちこ接点あった?見た目?え、見た目?」
「今日の清春さんはよく喋りますね。」
「さん付けやめろよ」

ごちーんごちーんと軽く頭でこついてくる
痛いよ
それが許される時期はもう過ぎたよ
年齢的にも体型的にもアウトでしょうよ

うう、と涙目になってると、我らが母親のマリアちゃんが「あ、そういえば!」
とすり寄ってきた

すり寄ってきたって変な表現だが見たままだ。
すり寄ってきたのだ。こいつも大変器用である。

「もちこちゃん軽井沢行きましょう軽井沢」
「は?嫌」
「え〜温泉よ?かわいい子達も入ったし紹介するから行きましょうよ〜。あなたもここで働くつもりあるなら少しはレッスンしなさいな」
「ぐぬぅ・・・」

そうだった。
結局私は大学へ進み、経済を学ぶ傍ら、バイトという形でここのスタジオで働いている。
別に事務ならダンスのスキル要らなくない?知らなくて良くない?ってすごく思うのだが、社長様が言うのだから仕方がない。
古ーい古ーい記憶を掘り起こして踊ったりストレッチしたり筋トレをしている。泣きそうだわ。
見ろよあのスレンダー美人たちをよ。
事務をさせろ事務を。
肝心な事を忘れていたが弟の清春は留学を1年伸ばすことにしたらしい。

私が原因じゃないはず。絶対。もめたけど違うハズだ。




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