放課後
第一印象は真面目で大人
隣のあの子は 02
よく考えたら、このあとは昼休みで昼食をとったら今日は学校はおわりだった。昼食を済ませ、帰りの準備をする。となりの席を見ると、準備を済ませた御手洗さんはうつ伏せで眠っている様だ。
あと数分もすれば先生がやって来てHRが始まるだろう。起こした方が良いのだろうか?
さっきまで彼女のすぐ隣にいた何かは今は居ない。
さっきのハッとした顔は偶然だったのかもしれない
はじめて隣の席になった男にまじまじと見られて気持ち悪がられたかな。新しい席、それも1番後ろのいい席になったというのに全く良くない最悪のスタートになってしまった。
結局彼女は起きないまま、放課後になってしまい、起こすか、起こさないかを迷っていると西村と北本に置いていかれてしまった。
気がつけばクラスに俺と彼女だけになってしまっていた
「・・・御手洗さん起きて。もう放課後だよ」
んん、と身動いだが起きる様子もない。顔がこちらへ向いて、スヤスヤと寝入っている顔が見えるだけだ。
「御手洗さん、御手洗さ」
「たーいーしょーおきなよー!隣の男の子困ってるよー」
え?
突然降りかかって来た少し高めの少年の声にビクッとして声の主を探す
おそるおそる彼女の顔から少し上へと視線をあげると彼女の黒い髪に混ざる赤毛がさらりと揺れる
あれだけにゃんこ先生に妖とは目を合わせるなと言われているのについ視線は赤をなぞって上へと登る
ひゅっと喉が鳴るのが分かる
そこには目を疑う様な美少年が彼女の背中にピタリとくっつき頭の上に額を擦り付けているではないか
「え!?はぁ!?」
ついうっかり大声を出してしまったが許してほしい。普段出ないくらいの音量が弾みで出てしまうくらいには驚いているのだ。
この美少年もまたビクッとしてこちらを見据える
「うるさっ・・・しなのうるさい・・・」
「大変大変!大将!やっぱりこいつ見えてるよ!」
「え!?」
「うわっ!・・・えと、おは、よう?」
ばっと起き上がった拍子に椅子は倒れ、机は傾き、美少年の彼も額を強打した様だが、彼女には気にかからなかったのか、ずいっとこちらへ身を乗り出して近づいてきた。
ちょ、近い。
膝の上に手を置かないで!
顔の位置も密着度も急激に縮まったのだ
「ひぅっ」と情けない声が出てしまった。よかった先生が居なくて。初心だ初心だとからかわれるところだ
「ちょっと大将ひどい!痛かった!」
「ご、ごめんね信濃。後でパフェ食べよ?ね?ね!」
なんだか、美少年の彼と彼女は仲睦まじいようでそのやりとりが微笑ましい。微笑ましいのだけれど
「いいから早く退いてくれないか!」
思春期の男子を舐めないでほしい
舐めないでほしい。
決してやましい気持ちはない断じてないけれど無理です。
大人びた印象の妖怪を連れた女の子。
さっきまでどんよりとした気持ちが渦巻いて居たのに、俺が見えると聞いた時の彼女のキラリと光る目や、興奮したのかほんの少しだけ明るくなった頬
愉快そうに細められた瞳にはきらきらとした月が輝いているのが見えた。
俺の疑問も何も解決はして居ないけれど、彼女は、彼は、悪いものではないのかもしれない。
「ごめんね。ごめん。ちょっと年頃の子との距離感が掴めなくって・・・悪いわね夏目くん」
「いや、いいんだ。大きな声出して悪い」
すすすと自分の席を元に戻し、ストンと座ってこちらへ向き直した。
流れるような動作に、きっと彼女は普段からこういった行動をするのだろうと思った。
どうなのかは、わからないが。
へへっと笑った彼女は、拗ねた美少年が求めるがままに膝に乗せて向かい合うように抱き合っている。いや、抱き合っているというよりかは、少年がコアラのごとく巻きついていると言った方が正しい。
いや、なんでだよ
「あ、気にしないで。いつもこうだから」
いつもなのかよ!
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