静かに嵐2(RiA様連載if)








俺はもちこさんの事をこの10年大事にして来たし、大事にされて来たと言う自覚も自信もある。時に幼馴染という距離感を憎々しく思ったこともあるが、慣れてしまえば得しかない。


中学校に上がり、ほんの少しの幼さを残しつつも綺麗になって行く彼女との年齢差を何度も辛く思った。
もちこさんが高校に上がった時は、急に大人びて見えて、余計に苦しかった
いつどこかの誰かに言い寄られて取られてしまうのではないかと気が気ではなかった
ついに同じ高校に進学して、男の影はない事を確認し、安堵していた時にこれだ。


キースエアロウィンダミア
あいつだ。

ウィンダミアの白騎士、今世でも出会うとはよほど因縁があるとしか思えない

あと数分で放課後を迎えるチャイムがなる。
まだカバンも用意していないクラスメイト達の中、すぐに部屋を出れるように教科書を仕舞った


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キースエアロウィンダミア・・・先生と学校でまさかの再会を果たしたわけだけれど、向こうのテンションとこっちのテンションのレベルが合ってなくてなんとも言えない気持ちになった。
もはや名前も白騎士先生でいいんじゃないかな。そっちのが馴染みあるある

よーーーく考えて見たら、学校のど真ん中、教室前の廊下で過度なスキンシップ図る先生ってなんだ。どんな状況なの?えろ本?
完全にメッサー君はドン引きしてたから周りから見たら結構やばい奴だと思われたのでは・・・・ドンマイ白騎士ティーチャー

そのせいあってか、メッサー君はやたら過保護になりました。
わざわざ教室までお迎えに来てくれるし、腕まで引っ張ってくれています。私は迷子か。

しかしメッサー君はイケメン高身長なので目立つ。
高校1年にして170とかデカイね。
どこまで行くの?19歳になったらやっぱり190超えるの?
3年の教室に来てめちゃくちゃ目立ってたもんね。女子がざわついていたぞ。モッテモテだな。

そんな事を考えていたら、ピタリ、とメッサー君の足が止まる。

「・・・もちこは、もちこは年上の方が好き?」
「・・・へ?」
「あ、いや・・さっきも先生が・・・」
「ああ!違う違う!違うよ。キース先生は、あーその・・ちょっと知り合い?かな?ははは・・・う、メ、メッサー君は年上はどうなの?お姉さんの方が好き?」
「っっ!な、な、、」
「ふっふっふ。3年のクラスに来た時にざわざわされてたじゃーん。好みの子、いた?」
「・・・・いえ。とくに。」

急に塩対応だな。なんだ。慌てふためいた可愛いメンズメッサーはどこ行ったんだよ


「俺は、年上のお姉さん好みの顔してるって事でいいのか?」

「まぁ、そういう事かな?高身長だし、男前だし・・・」

指折り数えていると、視界に影が落とされる。見上げるとすぐ真上にメッサー君の顔

「じゃあ、もちこも好きになってくれる?もちこの好みを教えてくれ」

真面目な顔に、真剣な目とほんの少し赤らんだ頬、いつも冷静で余裕そうなメッサー君の実に少年らしい姿に私まで顔が赤くなっている気がする。

「俺の事、ほんの少しでも好きなら・・・付き合ってほしい」

返事は、今欲しい

そう耳元で囁く彼は本当に私の幼馴染なのだろうか。

こんな事をされては、首肯かないわけには行かないではないか。
そっとメッサー君の胸に収まってみる。今はのぼせて話せそうにない。

返事はこれで。

どうか気づいて
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