傘
ああ、傘を忘れた。げた箱で靴をはきかえた時のことだった。もっと早く、教室にいるときに気づいたら誰かに頼んで途中まで入れてもらってもらうこともできただろうに。しかも私は教室をでてトイレに寄ってしまったので玄関には知り合いの顔は見あたらなかった。
校舎の外、屋根があるぎりぎりの場所で腕だけだしてどのぐらい降っているのか確認する。幸い、今は小雨で傘をささずともそこまで濡れることはなさそうだった。
まあ仕方ない。急いで帰ることにするか。そう考えて私は急ぎ足で校舎を後にした。
5分もすると雨足が強くなってきた。出たときは小さい雨粒が少しづつ大きくなってきているのが分かる。
制服のシャツは雨によって所々薄暗く色が変わってきてしまっていた。まずいな。どこかで雨宿りした方がいいだろうか。少し悩んだ後、このまま急ぐことにする。もし雨宿りしたとしても強くなって雨足が収まらなかったら長くそこで待たなければいけないことになる。ならば濡れてもいいから急いで帰るべきだ。足をさらに早める。
3分後、その判断は間違っているようで正しかった事に気づかされた。雨の勢いはさらに強くなっており、シャツは雨で濡れている部分が濡れていない部分より大きくなってしまってきていた。その意味では間違ってはいた。だが道を曲がった所で前方に見覚えのある傘を差している人物が歩いていた。
ふつう、傘と言えばビニールか防水加工の布でできたいわゆる洋傘なのだが、前の人がさしている傘は違った。竹の骨組みと油紙で作られた、番傘をさしていた。そしてそんな傘を差しているのは私が知る限り一人しかいなかった。
小走りで彼の元に近づいて声をかける。
「ん?」そういって振り向いた顔は同じクラスである
ほたるであった。なぜか傘を持っていない方の手にはクレープを持っていた。
「あれ、どうしたの?傘忘れたの?」
「ああ、忘れた。ほたるの家の前まででいいから入れてくれないか?」
「んー。どうしよっかな?」とほたるは少し意地悪そうな笑みを浮かべた。この笑みが女子にはかわいいと人気らしいがこの状況も相まって私は少し苛ついた。
「……学校から帰宅時食べ歩きしていいのか?」そういったとたん笑みが固まった。
「……いいよ、入って。そのかわり傘持ってくれる?」
「ありがとう」私は傘を受け取った。番傘は大きくほたると私がぎりぎり入ることができた。まあほたるが小柄なのもあるのだが。
「ふう。片手だと傘重いんだよね」と傘を持ってた手を軽くぶらぶらとふった。
「じゃあなんでクレープかった……」
「そりゃ食べたいからにきまってるじゃん」なに言ってるの、みたいな表情を浮かべる。
「あ、一口いる?おいしいよ」そういって私の口元にクレープを差し出してきた。断るのもあれなので一口かじらせてもらった。生クリームにキャラメルソースがかかったシンプルなものだった。ほたるの言うとおりに味はおいしかった。
「あ、先生には黙っててよ。君も一口食べたんだし」もとより言うつもりはなかったが。
ほたるは少し不思議な人物だった。変人、というほどではないのだが、普通の学生というにはちょっと違う。持ち物から見えるようにセンスが独特であり、また性格もいささか特殊なように見えた。私が知っている限りではほたるは固定の友達がいないように見えた。クラスにとけ込めないで浮いている存在というわけではない。むしろ一番とけ込めているのかもしれない。クラス、学年には派閥、というほど面倒なものではないが、軽く区切られたグループというものが存在する。ちょっと不良じみたグループや、ゲームが好きなグループ、同じ部活で集まっているグループ。気が合う人同士が集まっている、そんな感じだ。別にグループで敵対しあってる訳でもないので、複数のグループに所属している人もいる。でもそれでも多くて三つ程度だ。だがほたるはおそらくほぼ全てのグループに所属しているようなのだ。日毎に違うグループにいるのを見かけるのだ。ゲームをしているときもあるし、不良じみたグループでたばこを無理して吸おうとしている時もあった。女子のグループで一人混じって昼ご飯を食べている事もみかけた。グループの方も「まあいてもいいかな」というような感じで彼を受け入れているようだった。おそらくとても人付き合いが得意なのだろう。
私も彼と月一回程度、昼ご飯を一緒に食べる時があったが話していて嫌な感情が沸いた記憶はなかった。
あと、性別は確かに男なのだろうが、話しているとちょっと違和感を生じるときがあった。男ではない、けれど女性のような雰囲気でもない。男と女の中間、そんな感じがしたのだ。
「でも僕に追いつけてよかったねー。後少し遅かったらびしょびしょになってたかもよ?」 雨足は更に強くなり、彼の言うとおり一分遅かったらシャツの雨で濡れていない部分はなくなっていたかもしれなかった。
私はほたるが傘からはみ出さないように注意を払いながら歩く。そのせいで少し自分の肩が濡れてしまっているがまあそれは仕方ない。
「でも教室でいってくれれば一緒に帰ってあげられたのに」
「……雨降ってるのに気づいてなかったんだ」
「そっか、あのときは小雨だったしね。まあそれに学校から相々傘してたら変な噂たつかもだしねー」
「……男同士なのに何の心配してんだ……」
「冗談、冗談」とほたるは軽く笑った。
「でも海外だと男同士で相々傘すると結構そういうカップルだとおもわれるらしいよ?」それは初耳だった。
「ま、ひとりで傘さすこと自体もホモっぽいらしいし」
「そうなのか……」
そんなことを話してるとほたるの家に到着した。一軒家なので門を開け玄関の屋根があるところまで行き、そこで傘を畳んで返す。
「んー。しばらくやみそうにないねぇ」とほたるは空を見上げながらつぶやく。
「どうせだから家で雨宿りしていく?」
「……いいのか?」
「別にかまわないよー。どうせ家に誰もいないし。まあ君が急いで家に帰らなきゃってんなら傘かしてもいいけど」
「じゃあ、お言葉に甘えて」別に急ぎの用事はなかった。それにこの傘を借りて扱いに困る。
「じゃあ入ってーどうぞどうぞ」そういってほたるは玄関をあけた。
「おじゃましまーす」と一応一言述べておく。
「ちょっとそこで待っててね」とほたるはいって奥に消えた。戻ってきたときにはタオルと足ふきマット、そしてビニール袋をもっていた。マットを目の前に敷き、「これに靴下を入れてね」とビニール袋を渡した。お礼をいって受け取って言われた通りにする。「髪もふきなー」とタオルも渡してきた。「シャツは……僕の部屋で脱げばいいか」
ほたるの部屋は二階の階段から一番離れた場所にあった。その部屋は一人で使うにはいささか大きいようにみえた。
「昨日片づけたから散らかってないはずだけど……」そういって入った部屋は言うとおりほとんど散らかってなかった。勉強机に薄型の小さいテレビ、そしていささか大きいベッド、本棚がある程度だった。
「はい、これにシャツを掛けてね」とクローゼットからハンガーを取り出し渡してきた。
「僕も着替えなきゃ」そういってほたるはズボンを脱ぎだした。
シャツをハンガーに掛けると彼がそれを受け取ろうとしてこちらを向いた。ピンクのパジャマに着替えている途中だったようで上のボタンの部分が止まっておらず、少し胸元が見えていた。
「んー。下はそこまで濡れてないかな?」とほたるはかがんで私のズボンを触って確かめ始めた。
「ま、ちょっと湿ってるけど脱ぐほどじゃないかな?少しすれば乾くよ」かがんだせいで彼の胸元はほとんど見えてしまっていた。男であるのは分かっているのに何故か私はそれを見てしまっていた。彼の肌はずいぶんと白く、妙につるつるとしているように見えた。毛はもちろん一つもない。
「ん?」と私の視線に気づいたほたるがこちらを向く。「……ああ」と何故か先ほど見せた意地悪っぽい笑みをみせ、「僕の胸になんかついてた?」と自分の胸元をのぞき込んだ。
「いや、ただずいぶんと白いなって」
「そうかなぁ?」とほたるは私の肌着を軽くめくって確かめる。「あー確かに君と比べたら白いねぇ」とそんな感想をもらした。
ほたるは私からハンガーを受け取り、エアコンの近くのカーテンレールに掛けた。そしてコントローラーを操作してドライにした。
「これなら十分もしたら乾くとおもうよ」やっとボタンを止めつつほたるは言う。
「まあ座って座って」と丸い座布団を私に渡してきた。私は少し戸惑いつつもそれを引いて座る。
「飲み物とってくるねー。温かいものの方がいいよね?」うなずくと「わかった。ちょっと待っててねー」といって部屋から出ていった。階段を降りる音がする。
私は部屋を改めて見回してみる。とりたてて奇抜な部屋ではないのだが、よく見るとちょこちょこ面白い小物があることが分かる。本棚の横に番傘が二本ほど立てかけてあったり、ベッドの端、でかい枕の横に背丈が30センチ程度のデディベアがおいてあったり。勉強机には赤と白の横縞がはいったボウリングのピンのようなものがおいてあった。ベッドの下に段ボールが二つあるのも見えたがそれは見ていないことにする。本棚にはマンガと小説、それに参考書が高さと背表紙の色合いを近いものにして丁寧に並べてあった。結構いろいろなジャンルのものを読むようで、誰もが知っている有名な物から聞いたこともないタイトルの物も混じっていた。少女向けのタイトルの物もそれなりにある。
しばらくすると、階段を上がる音がしてほたるが戻ってきた。
「おまたせ!紅茶飲めるよね?」
彼は持っていたお盆を一度勉強机の上に置き、机の下から折りたたみのテーブルと引き出しから携帯用ウェットティッシュを取り出した。組み立てて軽くウェットティッシュで拭いてからお盆をその上に置いた。
「ミルクと砂糖はご自由にどうぞー」と私の前に湯気が立った紅茶を置く。私はミルクポーションを一ついれた。
ほたるは自分のアイスティーにスティックシュガーを入れていた。サッー、と音がする。
「……溶けなくないか、それ」という私の言葉にほたるは固まる。
「間違えたね、」とちょっと舌を出しながらストローを差し込みかき混ぜる。「がんばって混ぜれば溶けるかも?」いや無理だと思うが。
「ああそうだ、なんか食べる?」といってベッドの下から段ボール箱を取り出した。そして蓋を開けてはい、と私に見せてきた。そこには様々な種類の駄菓子が入っていた。
私は礼を言って、三つほど取った。
「駄菓子っていいよね。小さいから食べ過ぎないし、友達に勧めやすいし」といいながらほたるもスティック状のスナックを開けて食べ始めた。
ほたるは飲み終わるとベッドに寝転がり始めた。
「そういえばさー」とほたるは話しかけてきた。「彼女とかいるん?あ、べつに答えたくないなら答えなくてもいいよー」
「三ヶ月ほど前までいたけどもう別れたよ」別に隠すことでもないのでそう答える。
「あ、ごめん……」
「いや別にかまわないよ。そういや君は?」と聞き返してみる。
「僕?僕はいたことないよー」意外だった。他の男子より遙かに女子と仲良くしている筈なのに。
「ねえ、もうちょっと深い質問していい?」とほたるはベッドから起きあがり私の方を向いた。いつの間にかデディベアを抱えている。
「恋愛のこと?答えられる範囲なら別にかまわないけど」誰とつきあってたかは言うつもりはなかった。
「その、さ……前につきあってた人とさ……したこととかってある?」
「セックスのこと?数回ぐらいはあるよ」と私は答える。
「そっかぁ……気持ちいいの?」
「え、まあうん」
「どんなかんじなん?」
「うーん、表現しずらいよ」
「じゃ、じゃあひとりでするよりは」
「ああ、まあオナニーよりはセックスの方が気持ちいいんじゃない」
「ふーん……」と言ったほたるの顔は少し赤らんでいるように見えた。
「まあ聞くより実際にしてみた方が早いとおもうけどね。ほたるなら彼女作れるでしょ。女子とかなりなかいいんだしさ」
「そうかなぁ……。でもするために付き合うってのも……」といってデディベアに顔を埋める。
「気になってる人はいないの?」
「うーん。恋愛という意味で好きってのはないかなぁ……」なんとなくそんな気はしていた。おそらくほたるは女性に下心的な物を抱かないのだろう。だからこそ女子のグループにとけ込めるのかもしれない。
「別に付き合うなら女の子じゃなくてもいいし」
「……え?」とつい私は聞き返してしまう。
「女子でも男子でも僕は付き合えるような気がするんだ。まあ付き合ったことないからわからないけどね」
「……バイセクシャル、だったっけ」
「うーん、そうなのかなぁ。いやでも男子にも好きって人はいないんだけどねぇ……。よくわからないや」そういいながらこてん、とほたるは横に倒れた。
「でもセックスには興味あるんよね?」
「セックスっていうか……一人でするのを他の人としてみたらどうなんだろうなぁって思って」そういいながらベッドの上をごろごろし始めた。何故か少しかわいいように見えた。
「そうだ!僕とちょっとしてみない?」とほたるは起きあがってそんなことを言い出した。
「……え?」と私は固まった。
「あ、ごめん……君はそうだよね……男子とはふつうしようとは思わないよね」
「……どこまで?」いままで同性と性的行為なんて考えたことはなかったが、ちょっと好奇心的な物が芽生えていた。あとやはりほたるは完璧な同性、ではないような気がした。
「うーんと手とか?」
「まあそれならいいよ」と私は答える。
「ほんと?」とほたるは笑顔になった。ああ、こうしてみると女性として見えないこともないな、と変な感想を抱いた。
雨足は更に強くなって窓にたたきつけるようになっていた。一応電気を消したものの、お互いの顔が認識できる程度には明るかった。
「……どうすればいいんだ?」ほたると私はベッドの上でお互い正座して向かい合っていた。
「え、えっと」ほたるも混乱しているようだった。
「とりあえず抱きついていい?」
「いいけど」
「じゃあ遠慮なく」と少し勢いをつけて私に抱きついてきた。私は少しよろけて後ろに手を突いてしまう。思ったより軽く、そして柔らかかった。ほたるの顔が私の横にきている。興奮しているのか緊張しているのかわからないが、息があがっているのがわかる。体温も私より高くなってるようだ。ほたるは私の背中に手を回しているので私も彼の背中に手を回す。
五分程度そうしていただろうか、私の足がしびれてきていた。いくら軽いとはいえ正座で一人を長時間抱いているのはつらい。
「ちょっと足が……」というとほたるはあわてて「ごめんごめん!」といって離れた。
私は足をのばそうとした弾みによろけてほたるの方に倒れかかってしまった。そのまま二人とも横に寝っころがる形になってしまった。目があう。ほたるの表情は蕩けてきていた。こうなるともう女性に見えてくる。ほたるはゆっくりと私の肩に手を回してきた。はあ、はあと息をしている。
「キスしても……いい?」と彼女はたずねる。
「かまわないけど……ほたるはファーストキスじゃ……」
「きみとなら別に……いいよ」といって顔を近づけてきた。おそるおそる唇を重ね合わせる。ほたるはびくっと体をふるわせた。舌は入れていない。彼女の唇は柔らかすぎた。正直な所、元彼女より柔らかい。五秒程度して唇をはなす。「あっ……」ほたるは寂しそうな声を漏らした。
「舌も入れてみる?」私は提案した。ほたるはこくん、とうなずいた。
唇を重ね、ほたるの中へ、そっと唇を差し込む。「んんっ」とほたるは体を震わす。ほたるの舌に自分の舌を絡ませる。最初はなすがままにされていたが五秒もすると自分でも舌を動かしてきた。私は彼女の頭をそうっとなでてあげた。するとほたるは私に体を密着させてきた。私の足に自分の股間を押しつけてくる。彼女のは勃起しているのが服の上からでもわかった。私は少し足を動かして刺激してあげる。そのたびに彼女の舌は少し跳ね上がった。やがてほたるの方から口を離した。
「触って……欲しいな……」とおねだりをしてきた。息は荒く、犬のように舌を出していた。
パジャマの上から優しくほたるのものをなでる。「あっ」と艶やかな声を漏れる。相当固くなっているのが布越しに伝わってくる。指先で根本から先へ向かってなでていき、また先から根本へ向かってなでていく。それを数回繰り返してみる。「気持ちいい?」と聞くと「うん。なんか頭がぼうっとしてきてる」と答えた。ものは段々と固くなってきているように感じた。
「脱がしていいかな」と聞いてみる。彼のものがどんなものか見てみたかった。
「うん。お願い……」
ほたるを起こし壁によりかからせ、ズボンとパンツ両方に手を掛け、ゆっくりと降ろす。
彼女の彼がパンツからぴょこんと飛び出す。
「は……ずかし……」とほたるは自身の顔を手で隠していた。足も少し内股になっていた。だがそれに反して勃起は収まる気配はない。
いつの間にか私も興奮してきていたようでパンツに少し引っかかっているのがわかる。
私はほたるの手を引きはがし、口をふさいだ。「んんっ!?」と一瞬彼女は目を開いたが、直ぐに目を閉じされるがままになる。今度は舌を自ら絡めてきた。
口をふさいだまま左手で太股の外側を触る。男とは思えないぐらいつるつるしていて、柔らかい。ゆっくりと太股に向かって指を這わせていく。内股だった足が少しずつ開いていく。太股の付け根に到着し、股関節に触れる。
口を離し、股関節の部分を上下に撫でる。
「あ……ああっ」と喘ぎ声が漏れる。
「どうして欲しい?」と少し意地悪な笑みを浮かべながら聞いてみる。
「ぼ、僕の……あれを……」
「あれ?」ちょっと酷いなと思ったが口にでてしまった。
「僕のち……ちん……を触っ……くだ……い」正直よく聞き取れなかったがじらし過ぎるのも可哀想なので触ってあげることにした。
それを包み込むように優しく握る。そのとたんほたるの体は「あんっ!」という嬌声と共に激しく跳ねた。
「いっちゃった?」
「う、ううん……すごいきもひいいはらつい……」言葉も蕩けてきていた。
彼のは握ってみると意外と大きい。長さは私と同じかそれ以下だが、太さは私以上にあると感じた。
ゆっくりと包んだ手を上下に動かす。それに反応して彼の体も小刻みに跳ねる。「……っ!……っ!」声も抑えてるつもりなのだろうがでてしまっている。先っぽからカウパーが漏れでてきていているのがわかる。一度上下に動かすたび、ちょっとずつ漏れているようだ。
どこが一番感じるのだろうか。しごくのをやめ、指でそれぞれの部位を触っていく。根本より下、精を作り出す袋の部分をふにふにと揉んでみる。自分のもそうだが、ここきもちいというよりは指の方の感触がいいのでつい触りたくなってしまう。ましてや自分より柔らかいものならなおさらだ。
「……あー。けっこういい」とほたるは言う。感度はそこまでないものの、満更でもないらしい。
次は根本から三分の一の部分までを人差し指と親指だけで包んでしごいてみる。
「はー。気持ちいいよー」と私の肩に手を回してきた。しゃべれる程度の余裕はあるらしい。
真ん中はさっきやったのでとばして、次は傘の部分の裏、筋がある部分を親指の腹でくりくりといじってみる。
「んほぉっ!?」跳ね上がるようにして腰が浮く。カウパーもとろとろと親指に掛かるぐらい垂れてきている。その愛液を使って傘全体を手の平で包み刺激する。
「んにゃぁぁっ!?」とまるで猫かなにかのような嬌声を上げる。腰は浮きっぱなしだ。その反応がとても可愛いので再び口をふさいで傘と筋を交互にいじめてあげる。「んうっ、んうっ」といいながら必死に舌を絡めてくる。もっとして、もっとしてというように。その反応もまた可愛くて、愛液も更に垂れてくるので私は更に手を動かした。おそらくこの二つが感度が高く気持ちいい筈だ。だがどうやら気持ちよすぎていくことはできないらしく段々涙目になってきた。私は口を離してほたるの耳元でそうっとささやく。「いきたい?」ほたるはこくんこくんと首を縦に振る。
「お願いとか、できる?」とまた意地悪っぽくきいてみる「ぼ、僕のおちんぽをいかせてくださいっ」と今度ははっきりと言った。恥より快楽が上回ったらしい。よく言えました、という意味として軽くキスで返す。
左手は傘を包んだまま、右手で竿の部分を握り、両方を今までより少し強めに、でも決して痛くはならないように動かす。彼女のものがさらに大きく、固く膨張するのがわかる。ああ、後少しで射精に至るんだなとわかる。少し寂しくもあった。もっといじめたい、という感情が沸いてきていた。
「ああ、ああうっ、もっもうだめ」ほたるの顔は蕩けきっていて涎やら涙やらでぐちゃぐちゃになっていた。その表情がとても愛おしい。手を動かすスピードが更に早くする。私は思わずつぶやいてしまった。
「いっ、いっ、いっちゃうっ」その言葉を放ったとたんに彼女の腰が今までいちばん大きく跳ね上がり私の手のひらの中に溜まりに溜まった数億の生命の源を放出した。私は無数の彼らをすべて受け止めようとした。だがその努力もむなしく、手からとろりとこぼれ落ち、彼の白いお腹に精溜まりをつくっていった。せめて敷き布団にこぼれないようにはした。ほたるは息を整えようとしていた。
「す、すごい気持ちいいんだね……人にしてもらうのって……。ありがとうね……してくれて……」
「途中からいじめるの楽しかったし、ぜんぜんかまわないよ」
私は自分の手に顔を近づけて、彼の魂の匂いをかいでみる。自分と同じく、生臭い匂いであった。ちょっと舌をつけて、味も確かめてみる。心なしか、甘い気がした。
「!?なにしてるの!?汚いよ」とあわててほたるはデディベアの背中からティッシュペーパーを取り出した。ティッシュケースだとは知らなかった。
まあのみたいとまでは思わなかったので自分の手をティッシュでふき取った。手を拭き終わったとき、ほたるはまだ自分の腹を拭いていたので彼のものを拭いてあげることにする。だが、全部ティッシュで拭き取ると粘着性が高い精子のであるから貼り付いて残ってしまう場合がある。だから途中までティッシュで拭いて細かいところはウエットティッシュでふき取ってあげることにする。
「んっ」とウェットティッシュで傘の部分をふくと体が少し反応した。射精したばかりだから敏感なのだろう。ちょっと意地悪したくなって感度が高いところを重点的にふいてあげる。「んんっ、ちょ、ちょっと優しく」「優しくしたら拭ききれないよー」と棒読み気味に返す。
「わ、わかった、じゃあ我慢する」いって我慢しようとする。それをみて私はまた少し強めに拭いてあげる。
「ひ、ひゃっ、あっ、んあっ」と我慢しているけど声がでてしまっているほたるをみると面白い。たぶん、これ以上やると射精前みたいに喘ぎ始めるだろうけどやめておく。
「はい、おわり」といって私は手を離した。
「……ありがとう」と少し残念そうな顔でほたるは体を起こしてパンツとズボンをはいた。
「……あれ?」とほたるは何かに気づいた。視線は私の下半身、ちょうど股間の部分を凝視していた。私のそれは未だ固く身をもたげ、ズボンを押し上げていた。
つづく
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