「先に死ぬくらいなら、一緒にまとめて死んでしまおう」珍しく、部屋の前で待ち構えていた生前からの知人であり、悪友でもある太宰という男は、開口一番にそう言った。
アホ、何言うてんの君、などと笑って返せばそれで終いな筈なのに、口はからから、何も言えずに彼を見つめるだけになってしまった。
「織田君」昔のように、彼がこちらの名を呼ぶ。太宰クンは武器は鎌で、今の世間が想像する死神とやらの武器とお揃いだ。
「君が一緒に逝くんやなくて、ワシが君のお供で逝くみたいやん」
誘われてしまった。
死神に、どうやら自分は誘われてしまった。
「ええよ、太宰クン。一緒に三途の川でも渡ろか。六文銭でも握り締めて、川の向こうまで一緒しよ。でも、途中で引き返すのはナシやで」
彼は二度も引き返した経験を持っているのを知っていて、だから茶化すように言ってやる。
「大丈夫だ。だって、お前と逝くんだから」
真っ直ぐにそう言った、死神のようなその男の手が伸ばされる。心中しよう、一緒に逝こう。そんな誘いの手のひらに、そっと手を伸ばした。