雨に沈めば



『放課後名探偵(仮)』
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 坂崎艶子が死んだ。享年17歳。一、二度言葉を交わしたことのある程度のクラスメイトだった。目立たない存在だが、暗く疎まれるわけでもなく、無色透明の声が美しい少女、が彼女の印象だ。その彼女が跨線橋から電車の線路に飛び込んだ、と聞いた時は、何かの間違いではないかと思った。失礼ながらそんな勇気のいる死に方を選ぶようには見えなかったからだ。
 雨の降る斎場の駐車場、泣きじゃくるクラスメイトの中で私は現実感の湧かない感情を持て余し、ぼんやりとするだけだった。



 家に帰ると、雨の日にはいつも気分の優れない母がまたコタツでうつ伏せている。
「お母さん、また頭痛いの?」
「うーん、それより……またずっと聞こえるのよ」
「例の音? わかった、今度私が屋根裏上がって見ておくから」
 例の音とは半年ほど前からずっと母が気にしている屋根からの音。雨の日になると『トトト』といった音が聞こえるのだという。きっと雨漏りして、その滴が反響させているのだと思うのだけど、母はやたら気にしている。きっと低気圧に弱いせいで神経まで過敏になっているのだ。




 こんな冒頭で始まり、翌日は告別式中に泣かなかったことを責めてくるクラスメイトと、庇う親友(腐女子)、当然のように再開する日常の生活、授業に戸惑う主人公の説明が続きます。
 主人公は池田琴音、長身のモデルタイプの美人。かといって特別モテるわけでもなく、成績も中くらい。ここではないどこかに常に憧れているような、ちょっとぼーっとした娘。
 放課後、学校を出ると怪しい男に捕まる琴音。相手は弱小出版社の記者だという。
「この高校の子が殺されたって話を聞いたんだが、何か知らないか?」
 記者の怪しさから相手にしなかったが、坂崎艶子は殺された、という彼の主張が琴音は気になる。艶子は電車に飛び込んだ自殺だったはず……。
 翌日からさり気なく、学校内で坂崎艶子の話を聞き込みます。すると出てくる出てくる、琴音の知らなかった艶子の濃いキャラクター。まさに艷やかな人物だったのです。

1、写真部部長と付き合っていた
2、生徒会長の子を堕胎した噂
3、新人教師と夜中に歩いているところを、何人かの生徒に見られている
4、化粧っ気もないのにブランド物のポーチ、キーケース等の高校生らしくない持ち物

「女子の間じゃ目立たなかったけど、男子の間じゃ有名だったみたい。『アイツはヤバイ』って。そういう子って珍しいよね。男子にブリッ子して女子には性格悪いとかなら分かるけど」
 一緒に話を集めていた親友はそう呟きます。
 男からの恨みを買っていた?本当に殺されたの?
 じわじわと湧く疑念を持ったまま、琴音は街で例の記者に偶然再会してしまうのでした。


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