吉原炎上編


「そっちは子供の方に回れ!」 
「私達は侵入者の方に当たる!!」

そんな、百華達の会話を背後に、上層の客室にて神威・ 阿伏兎・プリンセスがいた。

「侵入者?たいした騒ぎだね。」

のんびりとくつろぎながら言う神威に

「アンタが起こしてくれた騒ぎよりマシだろう。」

と、そんな阿伏兎は左腕を失ったそこに包帯を巻いていた。

「…阿伏兎。あたしがやるから、包帯貸して」

プリンセスは申し訳なさそうに呟いた。

「あぁ…大丈夫だ」

と言う阿伏兎を気にせず、 阿伏兎の手から包帯を奪い取り黙って巻き始めた。

「あぁ…すまねぇ。」

と2人の会話を聞いていた神威が

「なんだよ、まだ怒ってんの?過ぎた事は忘れないと、長生きできないよ」

「いや、死んじゃったからね一人。商売なんざ興味もねーくせに、元老(うえ)の話しに珍しくくいつくからおかしいと思ったんだ。アンタ、最初から鳳仙とやり合うつもりだったな。」


「へへ、バレた?」

「バレたじゃねーよ、すっとこどっこい。おかげで取引も何もメチャクチャだ。駆け引きの道具も騒ぎの最中に逃げちまう始末。」

(…晴太、日輪に会えたかな…)

「あー、あの子供のことか。スッカリ忘れてた。たいしたもんじゃないか。あの中を逃げ出すなんて…逃げ出したんじゃなかった。プリンセス?何で逃がしたの?」

神威と阿伏兎は目線をプリンセスに目を向けた。

「だって、日輪の子供なんでしょ?…なら、会わせたいじゃん。」

はい。できた。と阿伏兎の失った左腕の包帯でおおった部分をさすった。

「ぉお〜…」

「感心してる場合か。」

「まぁ、駆け引きなんか必要ないよ。吉原がほしいなら、鳳仙の旦那を殺してココを春雨のモノにしてしまえばいいんだ。」

「バカ…。」

プリンセスの発言に神威と阿伏兎はまたプリンセスに目を向けた。

「あの化け物ジジイにそう簡単に勝てるか。止めなきゃヤバかったぜ。大体、俺達のせいで春雨と夜王でドンパチ始めることになれば、元老(うえ)にやられるのは俺達だぜ。」

「その時は…元老(うえ)も俺が皆殺しにするよ」

こともなげに言う神威に阿伏兎は呆れたように睨み、プリンセスは本当にバカと呟いた。

「…で、その後あなた様は海賊王にでもなられるんですか。」

「それもいいかもね。上にいけば、それだけ強い奴にも出会える。」

2人の息の合った会話に小さく笑うプリンセス。
この時、少し神威と阿伏兎は安心した。

「ハイハイ。志の高い立派な団長をもって、部下(わたくし)どもは幸せですよコンチキショー。」

投げやりな言葉を吐き捨ててから、プリンセスに御礼を言ってから外套を羽織り踵を返した。

「どこ行くの?」

と問いかけるプリンセス。

「そうだよ、どこ行くんだよ、 阿伏兎、もう帰ろうヨ。つまんないよ、もうこんなトコ。 」

「帰れ帰れ。怖いジーさんに殺される前にな。」

阿伏兎はぶっきらぼうに応えた。

「で、どこ行くの??2回目。」

「このまま、鳳仙に貸しつくったまんま帰れねェよ。我々下々の者は、団長様の尻拭い…いや、海賊王への道を切り拓きにでも行くとしまさァ。ククク。」

「頑張ってね〜。」

神威は他人事のようにヒラヒラと手を振った。

「まって…!!あたしも行くっ!!!」

立ち上がり外套を羽織ろうとするプリンセスに

「プリンセスは、まって、話をしよう」

プリンセスは阿伏兎に目を向けて助け舟を求めたが無理だという表情にわかった。と

「後から行く。」

それを聞いてから阿伏兎は、おそらく侵入者のところへ行ったのだろう。


「…で、何??」

座敷に座り直し、
神威に問いかけるプリンセス。

すると、外を見ていた神威が立ち上がりプリンセスの元へ歩み寄った。

…一瞬の間だった。
今、プリンセスの目には天井と神威の顔がうつっている。

「なんなの?…どうゆうつもり??」

腕を頭の上でまとめられ、上におい被さる神威、動くことの出来ないプリンセスは睨むことしかできなかった。

「…ヤりたくなったヨ」

「はぁ!?」

その発言にプリンセスはハァと呆れた。

「オレ、プリンセスに言ったよね?オレの子を産んでくれって」

プリンセスはそれを覚えていた。

「だからって今?‥自分の性欲ぐらい抑えなさいよ。」

ひきつった笑顔できっぱりと言うプリンセスに

「ん〜。そうか…」

そう言い納得したのかあっさりと腕を離してくれた。隙に、プリンセスは神威から離れ外套を羽織りその場から立ち去った。
一人になった神威は

「ん〜…あの顔は傑作だね」

とポツリと呟いた。

(なんなの!?…バカだ、アホだ!!)

おそらく赤いだろう頬を両手で包み、足早に阿伏兎を探した。
……

(それにしても阿伏兎…どこ行った…??)

すると、どこからか凄まじい音が聞こえた。
プリンセスはその音がしたところへ走り出した。
ー目の前の光景にプリンセスは唖然とした。そこには血だからけの阿伏兎が、神威の妹神楽に投げ出されていたからだ。

「阿伏兎!!!!!」

その叫び声に神楽は目を向けた。その目を見て、プリンセスはこの前会った時と違う気を感じた。

(こいつ…ヤバイ。)

考えてる暇もなく、神楽はプリンセスに向かって蹴りをかましてきた。
しかし、それを瞬時によけ傘を取り出し容赦なく叩き飛ばした。

「神楽ちゃん!!!!!」


神楽はすぐに反撃しにプリンセスを向い壁に容赦なく蹴り飛ばした。 プリンセスは、神楽を睨みつけながら口に感じた血の固まりを吐き捨てた。その時、プリンセスの中の血が騒いだ。瞬間に2人は動いた。
神楽の蹴りを交わし、その足を取り容赦なく眼鏡の、新八に投げ飛ばした。

「プリンセス!!!!」

と呼ぶ阿伏兎の声にプリンセスは我に返った。

「阿伏兎!!!」

プリンセスは阿伏兎の元へ走り出した。

「…あの子なんなの!?…さっき会った時と違う!!!…すごく神威に似てる…!」


背後に何かを感じプリンセスは振り返った。神楽がプリンセスに飛びかかってきた。


その時、屋根に亀裂が入った。


屋根は神楽の与えた衝撃に耐えられず崩壊し、その場にいた阿伏兎、プリンセス神楽を巻き込んで崩れた。落ちる…そう思った時、誰かに腕を掴まれ、思いっきし中へと飛ばされた。

「阿伏兎!!!」

そう、プリンセスと神楽の代わりに闇へと落ちていったのだ。プリンセスは、その場で足から崩れ落ちた。

(あたしのせいだ…あたしの…せいで…)

ただ唖然とするプリンセスに

「一緒に日輪さんのところに行きましょう!」

そう言われ、プリンセスは立ち上がり眼鏡の、新八に近づいた。プリンセスの気が伝わったのか1歩後ろにさがる新八。

「月詠さんから…プリンセスさんのこと聞きました!」


新八の言葉に眉をひそめ新八に目を向けるプリンセス。

「どういうこと…??」