戦闘種族”夜兎”


…あぁ、ふかふか。ん…

「やぁ、おはよ、プリンセス」

目の前にいたのは第七師団団長神威だった。
プリンセスは朝から大きな声を出すわけでもなく冷静に

「なんで、いるの??」

とりあえず、頭の中でおそらく昨日であろう、昨日のことを思い出した…

(そうだ、あたし昨日こいつに殺されかけたんだ…ぁあ、また殺されそうになるかもけど今頭が働かないよ…てか、なんでいつもこんな笑顔なの)

布団の中でジッとしているプリンセスに
心の中で喋りすぎだと言って神威は部屋から出ていった。

「なんで、いたの??」

独りで呟いていると…

「朝ごはんださぁ、食べに行こう」

ひょこっと顔を出し、またすぐに立ち去った。


………


「お前さん、見かけによらずよく食べるな」

と目の前にいる阿伏兎に言われ、

「だって、昨日夜ご飯食べてないし」

ぁあと阿伏兎は納得した。

「阿伏兎、プリンセス、またあのアホ… 阿呆長官に星を1つ壊してくれと頼まれたよ♪」

突然現れたのは、神威だった。

「またかぁ〜、まぁそれが俺らの仕事かぁ…このすっとこどっこい」

だるそうに返事をする阿伏兎。

「プリンセスは初めてだね、楽しみ??」

笑顔で問いかける神威にプリンセスは

「ごちそうさまでしたぁ」

それだけ言い席をはずした。
その後ろから、

「ありゃ??俺やっぱり嫌われてる??」

プリンセスはそれが聞こえたが無視をした。

(星を壊す??…それって、ヒトが住んでいるの?それとも住んでいない星?もし、住んでいる星なら殺さなきゃいけないってこと…??)


「そんなこと…していいの…??」

そう、独りでに呟いた。


…ここ、太陽の光も当たらず、時が止まったかのように、しかし、微かに風は吹いている。
今、この星を第七師団は滅ぼそうとしているのだ。


「さぁお前たち、好きなように暴れていいぞ」

第七師団団長神威の声に、総員が動き出した。
生物(ヒト)の、血の雨が降り注いだ。
プリンセスはその血を浴びた。
その時、プリンセスの中で何かが騒ぎ始めた。

(あの時と同じだ…神威の…あの時と同じ感覚…)

そう、夜兎としての本能が出始めていたのだ。

(…あたしも…殺りたい…)


「プリンセス…俺にはわかるよ…殺りたいなら殺ればいい…」

……

一罪のないものを殺すのは良くないことじゃ、プリンセス…ぬしはそれがわかるか?一

その時、プリンセスの頭の中に月詠に言われた言葉が聞こえた。

プリンセスは、耳元で囁いてきた神威をキツく睨んだ。

「あたしはあんなことしない!!同じ夜兎でもあんなことはしない…!!」

その声に神威は驚き唖然としたが、すぐ笑顔になり

「そうかぁ〜、まっ、殺りたくなった時に殺ればいい」

と言い、生物(ヒト)に飛びかかった。
ハアと一つ息を吐きプリンセスは
あたりを見渡してみると小さな生物(ヒト)、子供が泣いて叫んでいた。

(まだ、あんなに小さいのに、あの子も殺すの?)

まだ希望があるのだからとプリンセスはその小さな生物(ヒト)のもとえ走り出した。


「逃げてっっ!!ここは危ないの!!」

瞬間に、プリンセスはたくさんの血を浴びた。
そう、その血は小さな生物(ヒト)さっきまで泣いていた子の血だった。

「プリンセス…駄目じゃないか…この星を滅ぼすんだヨ?…一匹残らず殺さなきゃ…」

プリンセスの前に神威が現れた。
その神威の手には手首まで血がベトりとついていた。


その時、プリンセスの中でまた何かが騒いだ。瞬間に、プリンセスは神威に殴りかかった。プリンセスのその素早さに神威はギリギリのところでかわし、そして夜兎の本能のぶつかり合いが始まった。

「ぁあ〜、ついに始まったかぁ〜、このすっとこどっこい」

おいっ、お前と…お前!!あとお前さん!!
あれをとめるのを手伝ってくれと指示し神威とプリンセスのもとへ走り出した。


「プリンセス…そろそろ限界だろ??息が荒くなってるヨ「うるさいっっ!!!黙れ!!!」

と神威の拳がプリンセスにあたりそうになった。
その時…

「もう、やめろ、このすっとこどっこい」

と神威に3人の夜兎が掴み取り押さえ、阿伏兎がプリンセスを掴み取り押さえた。


「なに!?阿伏兎!?どうして!?「落ち着け、プリンセス…」

「…阿伏兎、どうしてとめるのさ…殺しちゃうぞ??」

笑顔を向けながら、腕を取り押さえられていたのでそれを振りほどいた神威。そして、ちらっとプリンセスをみて小さく笑った。


「もう終わった??ん?まだか後、数百匹??…意外と手こずるなぁ〜」

そう言い神威は生物(ヒト)に飛び掛ろうとした時、
誰かに腕をとられ、

「誰だ??俺の邪魔をするのは…殺しちゃうぞ?」

腕を掴んだ人物を見ると、それはプリンセスだった……


「…あたしが…殺るから!!」

そこには、夜兎の本能むき出しのプリンセスが獲物を狙う様な目を輝かせながら言い、その獲物に飛びかかった。

……誰もが思っただろう。

生物(ヒト)の血を浴び、春を待ち構えていた蝶の様に華麗な動きで倒していく姿に、美しいと、そして、何よりもその姿をみて周りの夜兎達の血が騒いだだろう。

「団長〜、かなり厄介なのがここにきたなぁ、このすっとこどっこい」

「そうかい??俺には、プリンセスの居場所はここが合うように思えるよ…」


(…ごめん、月詠、あたしの本能はそれを理解できない…)

プリンセスは、本能のままに暴れた。