本能


目の前の光景にプリンセスはもう何も言うことが出来なかった。頭の中で考えることもしなかった。第七師団は1つの星を壊したのだ。

「さぁっ帰ろうか」

血を舐めながら笑顔でいう神威。
第七師団総員は、この光景になれているのか何も言わず宇宙船に足を進めた。
ただ、プリンセスは呆然としていた。何を考えるわけでもなく。

「プリンセスさぁっ帰るヨ??」

神威の声にプリンセスは、うん帰るよと言い宇宙船へ歩き出した。



眩しく明るい太陽の光もなければ、微笑ましい美しい月の光もない、ただ行灯の光に包まれた地下都市、ここは吉原桃源郷。江戸の常識も通用しない、恐ろしいとこだ。
その吉原桃源郷の中でも一番と言っていい、大きな建物、鳳仙の住処があった。そこで今、吉原一の花魁、日輪太夫と吉原桃源郷の支配者、鳳仙が話していた。

「なんで、今更プリンセスをここから出したのさ。」

日輪は鳳仙に問いかけた。

「なぜ、言う必要がある…日輪、お前には関係がない…」

吉原では美しいのだろう、しかし淫らな遊女に酒をつがれながら答える鳳仙。

「あんた…プリンセスをどうする気だい??…プリンセスをきずつけたらあたしはあんたを…」

昔鳳仙に歩くことを許されずきずつけられた足首をさすりながらキツく鳳仙を睨んだ。その時鳳仙は、笑った。

「夜兎としての、自分の本能を出せる場所に行かせただけだ。…プリンセスにとっては嬉しいことだろ?…わかるか日輪。」

あいつは夜兎だ。といい鳳仙は笑いながらどこかへ行った。日輪は、唖然とした。そして、瞳には涙が浮かんだ。日輪は夜兎について知っていたからだ。
戦いを好む種族。生まれてからずっとこの吉原で育ってきたプリンセス。

「…プリンセス…あんなに、そんなことができるのかい…」

プリンセスがいなくなってから、ここ吉原の日輪(太陽)は消えた。

…ぁ、またふかふか。
ここは……

目をあけると、そこは自室だった。
あの後、プリンセスは血で汚れた自分を洗うためにお風呂に入り、それからすぐに寝てしまったのだ。

(あたし…この手で殺ったのか…)

プリンセスには、罪悪感が残っていた。しかし、プリンセスはこれからも殺っていかなければならないのだ。だから、

一この世の中、いつでも会いに来れるじゃろ?一

頭に浮かんだ月詠の言葉。

「日輪…月詠…あたし、会わす顔がないよ…」

プリンセスは、大切な2人にもう会うことはないだろう。会いたい気持ちはあるが、ヒトを殺した自分を、何故か2人には会ってはいけないと、暗黙のルールを作ってしまっていた。
…その日からプリンセスは、たくさんの血を浴び、好きなように暴れた。それが、快感にかわり、クセになっていくのに恐ろしさがあったがそれが夜兎なのだと。あたしは戦闘種族夜兎なのだと。自分にあった居場所はここなんだと。