真剣必殺
湖を囲う様に連なる山々にある賤ヶ岳。そこで、プリンセス達は、時間遡行軍の襲撃を待ち構えていた。
高い位置から皆、様々な方向に探る様に瞳を動かす。時間遡行軍はまだ現れない。
どの様な敵が来るのかも分からないプリンセスはその恐怖と緊張で少し震えていた。
「プリンセスさんは、元の主が好きだったんですね。」
プリンセスの震える手に気づいた大和守は気持ちを和ませる様に笑みを浮かべプリンセスに問う。そんな大和守の気遣いに宗三と薬研はお互い目を合わせ口元に小さく笑みを浮かべた。
「うん。とても好きだったわ。」
「うん」
「お市様は、とても美しい方だったの。私のことを使うわけでもないのにしっかりとお手入れもしてくれて、それに愛する人の為に命を懸けて‥」
嬉しそうに元の主の事を語るプリンセスに、ふと、大和守は自身の過去の主である新撰組、沖田総司を心に思った。そんな2人を加州は横目にさり気なく耳を傾ける。
「私にとって、憧れの存在よ。」
目を細め笑むプリンセスに加州は、思わず目を離せずにいた。
「来た。奴らが来たぞ!」
偵察をしていた長谷部が時間遡行軍を発見し声を上げる。
そちらの方に目を向けると黒く、人でもない、増して同じ刀剣とも言えるのか、今までに見たことのないその姿に衝撃と恐怖で息を飲むプリンセス。
「皆生の戦闘開始だ」
長谷部の声を合図に、長谷部に続き薬研、加州、大和守が時間遡行軍の元へと向かう。
その後に続こうとしたがプリンセスは恐怖で脚を動かすことができなかった。ふとプリンセスの肩に暖かい手が触れる。
そちらの方に目を向ければ、宗三が眉を下げ、どこかプリンセスをなだめる様な優しげな目をしていた。すると耳元へと宗三の顔が寄せられる。
「プリンセス、貴女は美しく、強い刀剣です。貴女の舞う姿を見せてください。」
プリンセスの耳元で響く、穏やかな安定した音色の声。その声はまるで恐怖や不安を消し飛ばす様な宗三の声だった。
「僕がついてます」
目線を上げて宗三の瞳を見れば、もうプリンセスの心に恐怖など無くなっていた。
時間遡行軍と刀を交わす長谷部達の元へプリンセスも、太刀を持った時間遡行側の一人に剣を構える。容赦無く襲って来る敵にプリンセスは初めての戦闘にしては中々の手前を見せる。
一息つき、一度瞳を閉じる。脳裏に浮かぶのはお市が自身に刃を向ける最後の姿。目を開き敵を目に捉える。
「お市様は愛する人の為、私を使って自害しました。あの方の愛する人の為にとった立派な姿を来世に残したい‥だから‥」
プリンセスは構えを取り、敵を鋭く目に捉える。
「女だからって舐めないで。貴方を斬る‥!」
真剣必殺。その一撃で時間遡行軍の一体は黒く靄と共に消えた。
力を使い果たした様に息を吐きプリンセスはその場に崩れ落ちそうになったが、素早くそれを長谷部が支える。
「プリンセス、よくやった!傷も無くて良かった。」
プリンセスが無傷である事に安堵の表情を浮かべる長谷部。
「やはり僕の言った通り、貴女の戦いは美しかった。」
「宗三!本当に貴方には敵わない‥ありがとう。」
宗三の言葉に笑みを浮かべるプリンセス。薬研も小さく笑みを浮かべ、大和守、加州もお互い目を合わせてから、どちらからでも無く笑みが溢れた。
プリンセスの初陣は、時間遡行軍阻止成功で終わった。
高い位置から皆、様々な方向に探る様に瞳を動かす。時間遡行軍はまだ現れない。
どの様な敵が来るのかも分からないプリンセスはその恐怖と緊張で少し震えていた。
「プリンセスさんは、元の主が好きだったんですね。」
プリンセスの震える手に気づいた大和守は気持ちを和ませる様に笑みを浮かべプリンセスに問う。そんな大和守の気遣いに宗三と薬研はお互い目を合わせ口元に小さく笑みを浮かべた。
「うん。とても好きだったわ。」
「うん」
「お市様は、とても美しい方だったの。私のことを使うわけでもないのにしっかりとお手入れもしてくれて、それに愛する人の為に命を懸けて‥」
嬉しそうに元の主の事を語るプリンセスに、ふと、大和守は自身の過去の主である新撰組、沖田総司を心に思った。そんな2人を加州は横目にさり気なく耳を傾ける。
「私にとって、憧れの存在よ。」
目を細め笑むプリンセスに加州は、思わず目を離せずにいた。
「来た。奴らが来たぞ!」
偵察をしていた長谷部が時間遡行軍を発見し声を上げる。
そちらの方に目を向けると黒く、人でもない、増して同じ刀剣とも言えるのか、今までに見たことのないその姿に衝撃と恐怖で息を飲むプリンセス。
「皆生の戦闘開始だ」
長谷部の声を合図に、長谷部に続き薬研、加州、大和守が時間遡行軍の元へと向かう。
その後に続こうとしたがプリンセスは恐怖で脚を動かすことができなかった。ふとプリンセスの肩に暖かい手が触れる。
そちらの方に目を向ければ、宗三が眉を下げ、どこかプリンセスをなだめる様な優しげな目をしていた。すると耳元へと宗三の顔が寄せられる。
「プリンセス、貴女は美しく、強い刀剣です。貴女の舞う姿を見せてください。」
プリンセスの耳元で響く、穏やかな安定した音色の声。その声はまるで恐怖や不安を消し飛ばす様な宗三の声だった。
「僕がついてます」
目線を上げて宗三の瞳を見れば、もうプリンセスの心に恐怖など無くなっていた。
時間遡行軍と刀を交わす長谷部達の元へプリンセスも、太刀を持った時間遡行側の一人に剣を構える。容赦無く襲って来る敵にプリンセスは初めての戦闘にしては中々の手前を見せる。
一息つき、一度瞳を閉じる。脳裏に浮かぶのはお市が自身に刃を向ける最後の姿。目を開き敵を目に捉える。
「お市様は愛する人の為、私を使って自害しました。あの方の愛する人の為にとった立派な姿を来世に残したい‥だから‥」
プリンセスは構えを取り、敵を鋭く目に捉える。
「女だからって舐めないで。貴方を斬る‥!」
真剣必殺。その一撃で時間遡行軍の一体は黒く靄と共に消えた。
力を使い果たした様に息を吐きプリンセスはその場に崩れ落ちそうになったが、素早くそれを長谷部が支える。
「プリンセス、よくやった!傷も無くて良かった。」
プリンセスが無傷である事に安堵の表情を浮かべる長谷部。
「やはり僕の言った通り、貴女の戦いは美しかった。」
「宗三!本当に貴方には敵わない‥ありがとう。」
宗三の言葉に笑みを浮かべるプリンセス。薬研も小さく笑みを浮かべ、大和守、加州もお互い目を合わせてから、どちらからでも無く笑みが溢れた。
プリンセスの初陣は、時間遡行軍阻止成功で終わった。