泣き虫


「ハァ…ハァ…」

看守兵達は少しずつ瞼をあげる。そしてその目に映ったのは息を切らせるprincessだった。


「Ms・D・princess中将!お待ちしておりました…!」

敬礼をする一同。princessはただ息を吐いていた。


「話は全て聞いております!さっこちらへ」

(門が開いていたのも話が伝わっているのも全て黄猿の仕業ね。)

「…感謝しなきゃ」

princessは独りでに零した。



案内をされインペルダウン内部へと足を進めたprincess。そこは捕まった数多くの犯罪者達の唸る声が響き冷たく地獄のような雰囲気を漂わせていた。初めて入ったこの場にprincessはただ黙々と案内人の後を追った。石造りのとても丈夫そうなエレベーターに乗る。ガガガガガと音を鳴らし下り始めた。


「こちらのフロアは地下1階から地下6階まで存在し、順にLEVEL1からLEVEL6の呼び名でランク付けされております。囚人達の危険度、犯した罪の、個人的な強さ、懸賞金の額などによってどのフロア送りにされるか決定され、危険度が高い囚人程地下深くのフロアへと送られます。」

「その中でエースは…どこに?」

「地下6階…LEVEL6の”無限地獄”におります。」

やっぱりと表情を曇らせるprincess。

「そこでは…どんなことをされるの…?」

「…監獄が苛酷な環境下に置かれているわけでも、拷問が行われるわけでもなく、ただ鎖に繋がれ囚人達には”無限の退屈”が与えられのです。」

その言葉に唇を噛みしめ惜しむ。すると、ガッシャンと響く音と共にエレベーターは止まった。

「さあ、こちらです。お気をつけて」

princessは突然の恐怖に襲われ小刻みに手を震わせたそれに気づき深呼吸をする。足を一歩一歩前へ進める。次第に見えてくる鎖につながった人影。
princessの呼吸は乱れ、目を潤ませた。そしてついにはっきりと見えたその姿にぴたっと足を止め信じられないと訴えるように目を大きく見開いた。princessの目に映ったのは太い鎖で腕と足を繋がれ血を流しグダと下に顔を向けるエースだった。


「……エース!!!!!」

princessは勢いよく鉄でできた策に手をかけ必死にその名を呼んだ。

その言葉にゆっくりと顔をあげるエースその目はギロリとprincessを捉えた。

「…エース!!!私よ!princessよ!」

数年振りの再会にprincessはまず認識してもらおうと自らを名乗り出した。すると、エースは無理やりな笑みを浮かべた。

「うるせェ…ハァ…ハァ…わかってる」

静かな空間に響くエースの言葉にprincessはその場に崩れ落ち泣きじゃくる。そんなprincessを見てエースはハハハと微かに喉を鳴らした。

「お前は…昔から…何も変わっちゃァいねェな…俺のことになると…すぐ泣く…泣き虫のまんまだなァ」

エースは過去の思い出に浸りながらポツポツと言葉を続けた。うんうんと頷きながらも涙をひたすら流すprincess。そんなprincessを宥めるかのような表情で見つめるエース。

「こんな形だけどよォ…俺ァ最後にお前の姿が見れて…良かった…!」

頬を歪ませながらはっきりと言うエースにprincessはバッと顔を上げた。

「最後じゃない!!!…私がエースを助けるから…!!!」

冷めた空間にprincessの奮い立つしっかりとした声が響いた。


「princess、ここにいたか」


カツカツとこちらに向かってくる靴音にprincessは目を向けた。

「………ジィちゃん」

princessはポツリとその人物の名を零した。

「おーおー無残な姿に…息はあるかエース…」

「ハァハァ…ジジィ」

淡々と平然に問い掛けるガープにエースは鋭く睨みつけた。

「princess、お前さんは海軍本部へ戻れ。クザンがお前さんに会いたがってる。おつるさんも心配しとる。」

ガープはエースからprincessへと目線を変え表情を変えず言った。

「………どうして…どうしてそんなに平然としていられるの…!?エースが…死ぬんだよ…?」

ガープへと怒声をあげるprincess。ガープは惜しむように唇を噛みしめ拳に力を入れた。

「立場をわきまえろ。その正義を背負ってる以上お前さんは海軍じゃ。」

その言葉に肩を震わせ下を向くprincess。



「……海軍本部に、向かいます。……けど、エースを”助ける”それに変わりはない!!!」

princessの凜とした声がその場に響いた。そして、princessは再度エースを見てからその場を立ち去った。