ポートガス・D・エース死す


ズボッと鈍い音を立てて赤犬はエースから拳を抜いた。


「エースがやられたァ〜!!!」

その言葉に信じられないという様に目を見開く。

「赤犬を止めろォ〜!!!」

怒りと動揺を露わに総がかりで赤犬を止めようとするが全く歯がたたない。

「まだ息はありそうじゃのう…」

「やめろォ〜!!!」

「これ以上は…!!!」

追撃をしようとエースに手を伸ばす赤犬をジンベエが体を張って止めた。

「ジンベエ!!!」

「つまらん時間稼ぎはよせジンベエ元七武海だわしの力は充分に知っとろうが…」

「この身を削って…時間稼ぎになるなら結構!!!もとより命などくれてやるハラじゃい!!!」

赤犬へと意志のこもった声を上げる。



「ガープ中将!!!何を!!!」

「何をする気だガープ!!」

その頃ガープは妙な動きを見せ、それを押さえるセンゴク。

「ハァ…!!そうやって…わしを押さえとけセンゴク!!!…!!!でなければ…わしゃァサカズキを…殺してしまう!!!」

「……!!バカめ…!!」

ガープは歯を食いしばり自身の怒りをセンゴクに抑えてもらう。



「“裏切り者”への制裁も必要なようじゃのう!!!」

「ジンベエ伏せろ!!!」

追撃を迫るサカズキにジンベエも限界だった。すると後ろから名を呼ばれた。

「ビスタ隊長!!マルコ隊長!!!」

赤犬に攻撃をするマルコとビスタ。

「く…!!ア〜〜うっとうしいのォ……!!覇気使いか…」

「悔やみ切れん一瞬の抜かり!!」

「“火拳”はもう手遅れじゃとわからんのか」

「何て事に…!!」

二人が赤犬を抑える中、エースはルフィの元へドサッと倒れ込んだ。その横でprincessは地へとドサッと崩れ落ちエースを目に捉えた。

「エース……」

「………!!ごめんなァ…………お前ら」


ルフィがエースを支える様に手を背中に回した。その手には赤黒い血がべっとりと付いていた。

「エース!!!…急いで手当て…」

「ちゃんと助けて貰えなくてよ……!!!ハァすまなかった……!!!」

ルフィの肩に首を預け虚ろな目で言葉にするエース。

「何言ってんだバカな事言うな!!!誰か手当てしてくれ!!!エースを助けてくれェ!!!」

「急げ船医!!応急処置を!!!」

「無駄だ!!!…ハァ…自分の命の終わりくらいわかる…!!!ハァ」

「……………!!」

その言葉に船医は足を止める。

「内蔵を焼かれたんだ…!!ゼェ…もうも゙たねェ……!!!
だから…聞けよ、ルフィ…princess……!!!」


「……………!!!……何言ってんだ…エース死ぬのか?……ぃ…約束したじゃねェかよ!!!…ハァ…ハァお前絶対死なねェって…!!!言ったじゃねェかよォエースゥ〜〜〜!!!ウ…」

「エース…私…嫌よ!!3人で帰ろって言ったじゃん!!まだまだ話したい事伝えたい事いっぱいあるのにエースがいないと…私…」

ルフィのエースを支える手の上に自身の手を乗せエースとルフィを愛おしそうに抱きしめ涙の声を上げるprincess。

「…ハハ…相変わらずオレの事になると泣き虫だな…ゼェ…princess」

「…そうだな…サボの件と…お前らみてェな世話のやける兄弟がいなきゃ…生きようとも…思わなかった…」

微かに笑みを浮かべ言葉を零すエース。

ーゴールド・ロジャーにもし子供がいたらァ?そりゃあ“打ち首”だ!!!ー

「誰もそれを望まねェんだ仕方ねェ………!!」

ー世界中の人間のロジャーへの恨みの数だけ針を刺すってのはどうだ?

“火炙り”にしてよ…!!死ぬ寸前のその姿を世界中の笑い者にするんだ!!みんなが言うぞ……!?”ザマァみろ”ってぎゃははは

遺言はこう言い残して欲しいねェ”生まれてきてすみません ゴミなのに”
まァいるわけねェが

………


エース!!!お前また町で事件を!!!

うるせェ!!力があったらみんな殺してやったとこだ!!

何をォ〜!!?ー



「…………そうだお前らいつか…ダダンに会ったら…よろしく言っといてくれよ…何だか…死ぬとわかったら…あんな奴でも懐かしい…」

「…………!!!」

「…そんな事言わないで…」


ルフィは目を見開き体は震えている。princessは受け入れたくない現実に涙の悲鳴の様な声を上げる。


「心残りが……二つある…一つは…ルフィ…お前の―“"夢の果て"”を見れねェ事だ…ハァ…だけどお前なら必ずやれる…!!!おれの弟だ……!!!」

そこまで言うとエースはルフィと自分を抱きしめ自身の肩に頭をあずけるprincessにわずかに残る力で手を挙げ撫でる。

エースの優しい手の温もりに更に呻きを上げるprincess。エースの表情はprincessを宥めるかの様に穏やかだ。

「…もう一つ……」

エースは呟く。

「”オヤジの実の娘”でもあって大切なprincessを…近くで守ってやれねェ事だ。

ゴメンなァ…ハァハァ…けどprincess、オレは何処にいようとお前を見守ってるからな…
後、お前の”気持ち”ちゃんと届いてるからな
…オレも…お前の事が大好きだ…」


ーprincess!!よく聞け!!オレはお前の兄ちゃんだ!お前の事はオレが守る!!ー

幼き頃の約束が過る。

「うん……うん…!!!…大好き…大好きだよ…!!」

princessはうんうんと頷きながら声にならない声を上げた。

「ハァ…ハァ…princessの事は…ルフィ…お前に任せる…ハァ…」

エースの言葉に耳を傾けるルフィ。


「…昔…誓い合った通り…おれの人生には…悔いはない!!」

「……ウソだ!!ウソつけ!!」

「ハァ…ハァ…ウソじゃねェ……!!

…おれが本当に欲しかったものは…どうやら“名声”なんかじゃなかったんだ…

…おれは“生まれてきてもよかったのか”欲しかったのは…その答えだった」

次第に頭を撫でるエースの手の動きが弱まり頭皮に感じるその手は冷たくprincessは信じ難い現実とエースの言葉に更に抱きしめる力を強くした。

(……どうか神様…もしいるのなら…エースを連れてかないで…!)


「……ハァ…もう…大声も出ねェ……ルフィ…princess、おれがこれから言う事を…
お前ら後からみんなに…伝えてくれ」

「……………!?」


「………!!オヤジ………!!!みんな……!!!そしてルフィ princess……」


ー出て来いおれは”白ひげ”の首を取りに来たんだよォ!!!ー


「今日まで、こんなどうしようもねェおれをハァ……ハァ…鬼の血を引くこのおれを……!!」


ーエース〜必ず助けるぞー

諦めるんじゃねェぞー!!

私は
エースを失いたくない!!!ー


「愛してくれて…ありがとう!!!」


「エース……!!」