お花見


「イエイ!!カモンベイベー」


ギターを弾き鳴らすブルック。新世界の海に浮かぶサニー号。次のあても特になく落ち着いた海路を辿っている麦わらの一味は、花見パーティを催していた。


「いいもんだな、花見で一杯」

「そうだね、こんなのんびりした航海も良いね」


舞い散る桜の花びらを見上げ酒を傾けるゾロは、側にいたチョッパーを自身の腿の上に乗せるprincessに声を掛ける。ルフィの腹踊りに笑みを浮かべるprincess。そんなprincessの腿の上にちょこんと座るチョッパーも牛乳瓶を片手に満面の笑みを浮かべていた。


みんな思い思いに盛り上がっていた。


そんな中突然チョッパーが牛乳瓶を煽って声をあげる。

「おえっ…!」

「?どうしたのチョッパー??」


舌を出し苦い顔をするチョッパーに心配そうに眉を下げ問いかけるprincess。その後ろからルフィがチョッパーを覗き込んだ。

「どうしたチョッパー??」

「おえっ、毒の臭いがする…!うわァ、これは猛毒だァ〜!」

バタッと倒れたチョッパー。


「チョッパー!!大丈夫??」

すぐにチョッパーを抱きかかえ顔を覗くprincess。そんな二人の周りに何事かと集まる仲間達。

「一服盛られたのか!」

「チョッパー!いったい誰が…!?」

princessの腕の中でだらりとするチョッパーにゾロ、フランキー、は口々に言った。

「毒を盛られた…、思いつきました。」

「心当たりでもあんのか?」

神妙な面持ちでぽつりと呟くブルック。

「聴いてください…"盛られたポイズン"!!」

「歌かよ!!」

そしてまたギターを弾き始めるブルックにフランキーはツッコミを入れる。

「そういえば酒の味も変…。待てよ、これはもともと辛口だからこんな味なのか?」

ゾロは酒瓶片手に眉間に皺を寄せた。

「チョッパー、ちょっと牛乳貰うね」

「わあprincess!飲まねェほうがいいぞォ!‥ああ!」

ゾロの反応に興味を持ち好奇心からチョッパーの牛乳をゴクリと飲むprincess。徐々に眉をひそめprincessは心配そうに自分を見つめるチョッパーに目を向ける。

「大丈夫か?princess??」

「‥‥んー!!!!まずい。」


こんなの飲めないよと舌を出すprincess。

「あ!」

そんな中、隣にいたルフィはくんくんと鼻を鳴らし、毒のような臭いの元が上の花壇から来ていることに気がついた。


「いつも賑やか。ふふ」


その花壇では、ロビンがゾンビ型のジョウロで花に水をあげ、芝生甲板の方をにこっと微笑む。しかしその奥でタンクを背負い、また別の花壇で作業をしているウソップは、植物に水ではなく何かガスの様なものを吹きかけていた。


「さァお前達、ポップグリーンをどんどん生み出すのだ」


「コラ、ウソップ!お前が犯人か!見ろ、チョッパーが農薬入りミルクにヤられちまったぞ!」

ルフィがウソップに怒鳴ると、デッキから身を乗り出してウソップが言い返した。

「これは害虫から植物を守る薬!これでヤられるんなら、お前らが害虫だーー!」

   

「まァそれなら大丈夫だチョッパー。おれたちは害虫じゃねェからなァ。」

「ん!大丈夫かっ!?」

酒瓶を傾け言うゾロの言葉に、チョッパーがパッと顔を上げた。

「舌先が痺れる味がするが…!これはこれで悪くねェ。」

「そうだな、ちょっと苦いけど…、これが大人の味なのかも…!」

ゾロに続いてまた農薬ミルクを飲むチョッパー


「人体にも有害だと思うけど」

「飲まない方がいいと思うんだけど」


冷静に言葉を発するロビンとprincess。
なんやかんやで賑やかに幕を閉じた毒盛り事件。しかし突然一面青かった空が曇りはじめ白い何かが降って来た。


「何かしら」

「雪だ!」

「いや、雪にしちゃ冷たくねェ」

「さっきまでこんなに雲行き怪しかったっけ…?」

様々な言葉が飛び交う中、デッキチェアでのんびりしていたナミもオレンジのニットコートを羽織って立ち上がり、空を見上げた。


「これは、火山灰!」


「「「火山灰!?」」」