03
「おれのオヤジは”白ひげ”一人だ‥!」
牢獄の中で響くエースの声。檻の外には、ガープが何食わぬ顔で鎖に繋がれるエースを見つめる。
「んふふ、ガープ久しぶりね。最近全然来てくれなかったから、退屈してたのよ」
沈黙を破る様にprincessの艶かしい笑みが溢れた。ガープは、一度ため息をつきprincessを目に捉える。
「princess、お前さんはいつになっても変わらないなァ」
「‥ありがとう、お褒めの言葉として受け止めるわ。」
どこか二人の親密さを感じられる会話を終え、ガープは一度エースに目を向け立ち去った。
「‥ジジィとも顔見知りなんだな。、」
「ん‥?気になるの?」
ニヤニヤと笑みを浮かべ問うprincessにエースは黙る。そんなエースを見つめていたprincessだったが、エースの表情にそこから何かを考えている様に感じられた。
「princess」
「‥なに。」
その考えてたことがまとまったのか、言葉を発するエース。
「俺は、生まれて来ても良かったのかなって」
エースから出たその言葉にprincessは目を見開きエースを見つめる。その顔はどこか、哀しげで、エースを慈しむ様な表情だった。
「‥私は、一度、生まれたばかりの赤ん坊をこの手で抱いて育てた事があるの。」
エースは、信じられないという顔でprincessを凝視した。そんなエースに頬を膨らませるprincess。
「自分の子じゃ無かったんだけどね。色々あって突然押し付けられたのよ。最初は泣いてばかりだし、言葉は通じないしで厄介に感じたの。けど、この手で抱いてるうちに、何もかもが愛おしくて‥」
言葉を詰まらせるprincess。
「ほんのたったの数年だけだったけどね、その子の為なら、死んでも構わないと思ったわ。」
懐かしむ様にか、涙を流さない様にか遠く上を見つめるprincess。
「だから‥」
そしてもう一度その潤む瞳でエースを見つめる。
「そう想う人がいるから、貴方は生まれて来て良かったのよ」
そして、エースは目を見開き、驚いた。princessは自身の腕につけられていた手枷を外し、鎖に繋がれるエースをその腕で包み込んでいたからだ。
ふと何処か懐かしい気持ちがエースを襲う。そして、遠い記憶が蘇る。まだ母の乳を求め声を上げて泣く赤ん坊をその手に包み込む女の姿。
「…思い出した…」
エースの目から涙が一粒溢れる。
「俺は、princessに大恩があるじゃねェか」
エースの言葉にprincessも溜めていた涙を流す。
「やっと思い出したのね‥」
「すまねェ‥こんな大きな恩、死んでも返しきれねェ」
princessは次々と流れるエースの涙を着物の裾で掬い、顔を包み込む。
「生きて。それだけで良いの。‥それだけが望みよ。」
princessの真っ直ぐな強い眼差しにエースは瞳を晒す事ができなかった。
「だから、私は貴方を命をかけて助けるわ。」
「待て。princess!」
princessの言葉に目を見開くエース。その言葉に良からぬ事を予期し、エースは声を上げる。
しかし、princessの変化によってその言葉も虚しくかき消される。目の前に現れた、巨人と迄はいかないが、それに匹敵する様な大きな、金色の毛並みに九つの尾を揺らすその姿。
princessは、自身の尾を檻に巻き付けそれを力いっぱい押す。
「princess!やめろ!」
エースが声を上げる。しかしprincessはそれを無視してメキメキと音を鳴らす鉄格子を押す。
そして遂に鉄格子は音を立てて外れた。それと同時に牢獄に警報が鳴り響く。princessはエースの鎖を念力の様な力で破壊した。自由に動く事が出来る様になったエース。
「princess、お前だけでも行け。」
エースの言葉にprincessは、エースを凝視する。どこか惜しそうな表情を浮かべるエース。
「俺は、足手まといになるだけだ。今更、命なんか、惜しくねェ」
その言葉にprincessは、ハッと目を見開くが、すぐにその顔は哀しいものを見る様に、どこか慈しむ様な表情をしていた。
すると、遠くの方から銃の様なものがいくつか弾丸を放った。
「princess!」
その弾丸は、気を抜いたせいか交わす事が間に合わなかったprincessに容赦無く当たる。普通の弾丸だったら、特に痛くも痒くも感じないのだがそれは海楼石で出来た玉だった。
至る所から血を流し倒れる狐。その姿にエースは愕然とした。そして狐はprincessの姿に戻り、苦しそうに虫の様な息を繰り返すprincessにエースは近づき膝に抱える。
「お前‥princess!死ぬんじゃねェ!」
意識が朦朧として潤む視界でエースを見つめるprincess。
「ごめんなさい‥ハァ‥助けるって言ったのに‥」
苦しそうに言葉を吐くprincessをエースは抱きしめる。
「私は‥ハァ‥貴方に生きて欲しい‥自分の命をかけても良いほど‥貴方を」
言葉を詰まらせるprincess。princessとエースの周りを囲む看守達など一切目に入らなかった。
「愛してる」
言葉と共に、笑みを浮かべprincessは生き絶えた。それと同時に看守達は動きだし、エースを拘束し、princessと引き離す。princessは看守達に抱えられ何処かに連れて行かれた。
そんな出来事があって数日。火拳のエース死刑間近、エースは公開処刑場所のマリンフォードに連行された。
牢獄の中で響くエースの声。檻の外には、ガープが何食わぬ顔で鎖に繋がれるエースを見つめる。
「んふふ、ガープ久しぶりね。最近全然来てくれなかったから、退屈してたのよ」
沈黙を破る様にprincessの艶かしい笑みが溢れた。ガープは、一度ため息をつきprincessを目に捉える。
「princess、お前さんはいつになっても変わらないなァ」
「‥ありがとう、お褒めの言葉として受け止めるわ。」
どこか二人の親密さを感じられる会話を終え、ガープは一度エースに目を向け立ち去った。
「‥ジジィとも顔見知りなんだな。、」
「ん‥?気になるの?」
ニヤニヤと笑みを浮かべ問うprincessにエースは黙る。そんなエースを見つめていたprincessだったが、エースの表情にそこから何かを考えている様に感じられた。
「princess」
「‥なに。」
その考えてたことがまとまったのか、言葉を発するエース。
「俺は、生まれて来ても良かったのかなって」
エースから出たその言葉にprincessは目を見開きエースを見つめる。その顔はどこか、哀しげで、エースを慈しむ様な表情だった。
「‥私は、一度、生まれたばかりの赤ん坊をこの手で抱いて育てた事があるの。」
エースは、信じられないという顔でprincessを凝視した。そんなエースに頬を膨らませるprincess。
「自分の子じゃ無かったんだけどね。色々あって突然押し付けられたのよ。最初は泣いてばかりだし、言葉は通じないしで厄介に感じたの。けど、この手で抱いてるうちに、何もかもが愛おしくて‥」
言葉を詰まらせるprincess。
「ほんのたったの数年だけだったけどね、その子の為なら、死んでも構わないと思ったわ。」
懐かしむ様にか、涙を流さない様にか遠く上を見つめるprincess。
「だから‥」
そしてもう一度その潤む瞳でエースを見つめる。
「そう想う人がいるから、貴方は生まれて来て良かったのよ」
そして、エースは目を見開き、驚いた。princessは自身の腕につけられていた手枷を外し、鎖に繋がれるエースをその腕で包み込んでいたからだ。
ふと何処か懐かしい気持ちがエースを襲う。そして、遠い記憶が蘇る。まだ母の乳を求め声を上げて泣く赤ん坊をその手に包み込む女の姿。
「…思い出した…」
エースの目から涙が一粒溢れる。
「俺は、princessに大恩があるじゃねェか」
エースの言葉にprincessも溜めていた涙を流す。
「やっと思い出したのね‥」
「すまねェ‥こんな大きな恩、死んでも返しきれねェ」
princessは次々と流れるエースの涙を着物の裾で掬い、顔を包み込む。
「生きて。それだけで良いの。‥それだけが望みよ。」
princessの真っ直ぐな強い眼差しにエースは瞳を晒す事ができなかった。
「だから、私は貴方を命をかけて助けるわ。」
「待て。princess!」
princessの言葉に目を見開くエース。その言葉に良からぬ事を予期し、エースは声を上げる。
しかし、princessの変化によってその言葉も虚しくかき消される。目の前に現れた、巨人と迄はいかないが、それに匹敵する様な大きな、金色の毛並みに九つの尾を揺らすその姿。
princessは、自身の尾を檻に巻き付けそれを力いっぱい押す。
「princess!やめろ!」
エースが声を上げる。しかしprincessはそれを無視してメキメキと音を鳴らす鉄格子を押す。
そして遂に鉄格子は音を立てて外れた。それと同時に牢獄に警報が鳴り響く。princessはエースの鎖を念力の様な力で破壊した。自由に動く事が出来る様になったエース。
「princess、お前だけでも行け。」
エースの言葉にprincessは、エースを凝視する。どこか惜しそうな表情を浮かべるエース。
「俺は、足手まといになるだけだ。今更、命なんか、惜しくねェ」
その言葉にprincessは、ハッと目を見開くが、すぐにその顔は哀しいものを見る様に、どこか慈しむ様な表情をしていた。
すると、遠くの方から銃の様なものがいくつか弾丸を放った。
「princess!」
その弾丸は、気を抜いたせいか交わす事が間に合わなかったprincessに容赦無く当たる。普通の弾丸だったら、特に痛くも痒くも感じないのだがそれは海楼石で出来た玉だった。
至る所から血を流し倒れる狐。その姿にエースは愕然とした。そして狐はprincessの姿に戻り、苦しそうに虫の様な息を繰り返すprincessにエースは近づき膝に抱える。
「お前‥princess!死ぬんじゃねェ!」
意識が朦朧として潤む視界でエースを見つめるprincess。
「ごめんなさい‥ハァ‥助けるって言ったのに‥」
苦しそうに言葉を吐くprincessをエースは抱きしめる。
「私は‥ハァ‥貴方に生きて欲しい‥自分の命をかけても良いほど‥貴方を」
言葉を詰まらせるprincess。princessとエースの周りを囲む看守達など一切目に入らなかった。
「愛してる」
言葉と共に、笑みを浮かべprincessは生き絶えた。それと同時に看守達は動きだし、エースを拘束し、princessと引き離す。princessは看守達に抱えられ何処かに連れて行かれた。
そんな出来事があって数日。火拳のエース死刑間近、エースは公開処刑場所のマリンフォードに連行された。