家族


「明日には、此処を出る。」

「………そう……もう2年経ったのね…」


刀の手入れをしている彼から突然ポツリと溢れた言葉。私は、ただ過ぎた日々を思い返す様に彼の背中を眺めた。


「ホロホロホロ〜、私が連れて行ってやるんだ。感謝しろよ。ロロノア」


そう言い飛び回るペローナ。
2年前、突然彼女は物凄い音を立てて空から降ってきた。ここの城の主であるミホークが不在の中、私は泣き叫ぶ彼女を保護した。

「うるせ」

そして何日かしてまた空から降ってきた。それが彼、麦わら一味のロロノア・ゾロだ。ゾロは酷く傷だらけで瀕死状態だった。だから彼の事も保護した。暫くして、この城の主であるミホークが帰ってきた。

「…princess、どういうことだ。」

「あ、その、空から降って来たの。2人共…この子は泣いてて可哀想だったから…それで彼は傷だらけで大変だったから….」

目線を彼方此方に泳がせる私にミホークは溜息を吐き俺の目を見ろと、私は目を向けた。

相変わらず、同じ人間だとは思えない瞳。綺麗。

ジッと目を見つめるとミホークはフッと小さく骨格を上げた。

「ぬしらしいな。」


そしてなんやかんや色々とありそこから私、ミホーク、ペローナ、ゾロとの生活が始まった。
早2年。

明日、ゾロは此処を出て仲間との再開を果たす。


………


「世話になった。」

「…うん……元気でね。」

城の大きな玄関の前に私とミホークそしてその向かいにいるゾロとペローナ。


「princess…お前は俺の命の恩人だ。ありがとう」

「どういたしまして」

今にも溢れてしまいそうな涙。
私は誤魔化そうとなるべく笑顔で答えたが、それに気づいたのかミホークが肩に手を置き自分の方へ引き寄せた。

「…行くぞ!ロロノア!」

ああと一言返事をしてゾロは背を向けた。次第に遠くなっていくゾロとペローナ。それをボヤける視界で見つめる。

「princess、泣きたい時は泣けば良い。」

上から聞こえる声に顔を向けた。するとミホークが眉をひそめ私を胸に抱き寄せた。

「…うん……ありがとう……ミホーク」

自身の体をミホークに預け声を抑え肩を震わせ泣き、ミホークの私を抱きしめる手は背をさすってくれたりと温かさが伝わった。

別に、ゾロに恋をしていたわけではない。
ただ家族が1人、自分の居場所へ帰るだけ。


それだけの事が妙に心に寂しさを与えた。






初短編です。結構シッケアール組好きなんですよね。だから、もし自分がそこに居たらって考えるとお別れがとても悲しいです。