ぎゅー


真夜中。一つポツンと光っている見張り台のフロア。今日の見張りは確か‥脳裏に浮かぶ緑頭の彼。私は、ふふ、と少し口元を緩め彼の元へ向かう。

「よっ、来ちゃった!ちゃんと見張りしてる?」

ひょこっと顔を出せば、やはり見張りなんかしてないで、腕立て伏せをしている。一瞬私のことを目に捉えるも特に何も言わず続ける貴方。少しイラっとして私は腕立て伏せをする彼の背に座った。いきなりかかる重みに、声を上げるも続けている。うーん、つまらない。

「ゾロ。ちゃんと見張りしなよ。」

次は、ピターッと背に寝っ転がり耳元で少々、大音量な声で言う。これで私に構うだろう。しかし、うるせぇ、と言葉を吐くだけで続ける彼。もうこうなったら‥

「‥ゾロ。ぎゅーして。」

ポツリと、少し甘えたような声で零してみる。すると、やはり効果的。ゾロは腕立て伏せを止め、むくりと起き上がりその場に胡座をかいた、そして広げられる腕。その行動が嬉しくて私は思いっきりその腕の中は飛び込む。ちょっとゴツゴツしてるけど、優しく包んでくれるこの腕が好き。絶対に離さないだろうこの腕が好き。
もう見張りなんてどうでも良いや。
ずっと今夜はこのままで。