丈夫な前歯
ラッタというポケモンはそれはそれは丈夫な前歯を持っていて、もしも噛まれたらひとたまりも無い。そんな丈夫な前歯を維持する為にも、しっりと手入れをしなければならない。princessは、ブラシでラッタの前歯を磨いていた。そのブラシの毛が程よいのか気持ち良さそうに目を細めるラッタ。そういえば、とふとこの子との出会いを思い出してしまった。
いよいよ待ちに待った旅の始まりで、ウツギ博士から貰ったポケモンと29番道路に足を踏み入れ、ご近所のユウキくんがポケモンの捕まえ方を教えてくれてその後にモンスターボールをくれた。
早速、仲間を増やそうと辺りを見回すと少し離れた木に、野生のポッポが1匹溜まっているのが目に入った。これから先ひこうタイプのポケモンは役に立つぞ、とprincessはポッポを捕まえようと足を前に一歩踏み出した。
「ん?重い」
ふと脚が重く感じ、さらに腿を締め付けているソックスの締まりが片方だけ緩く、何だか伸びている感じがして吹く風に微かに冷える。恐る恐る自身の脚に目を向けると、背筋が凍りついた。
「え!?‥ポケモン!?」
そう、princessのニーハイソックスを伸ばしている原因は野生のポケモンだった。それが、コラッタであった。princessは恐怖のあまり「離せ」とその脚を振る。しかし、なかなか手強いコラッタ。その前歯は決してprincessのニーハイから離そうとしない。切れちゃう。
まだ旅の序章の段階であるのにと少々呆れるようにprincessはその場に突っ伏す。そして、あ、と何かを思い出したかのように、先程の野生のポッポがいる木に目を向けた。よし、まだいる。
「もう、貴方が離してくれないならそれでいいもん。私も意地で歩くんだから」
自分のニーハイを未だ噛み続けているラッタに対抗するようにprincessは重い脚を引きずる様にポッポのいる木へと迫る。後少し、後少し。ボールが届く範囲まで後少しとバッグからボールを取り出し構える。すると、先程までそっぽを向いていたポッポと目が合うprincess。交わる視線。ゴクリと息を飲む。するとポッポは一声鳴いてから優雅に空は飛んで行った。
「あああ!!私のポッポ‥」
がくりと肩を落としショックをうけるprincess。脚を見ると未だにニーハイに噛み付いているコラッタ。どちらも災難だと悔しく思っていると、ビリっと布が切れる音がした。
「あああ!!切れちゃう切れちゃう!」
少し縫い目が歪み今にも切れそうなニーハイ。それでもコラッタは離れようとしない。
「どうして、離れてくれないの」
そう呟き、さらなる災難に、はあ、とため息を吐く。ふと、手に持つモンスターボールに意識がいった。捕まえてしまえば良いんだ。ポッポではないけど、こんなに幾ら脚を振っても離れようとしない頑丈な前歯を持つこの子なら旅の中で良い活躍をしてくれるだろう。
「コラッタ、私貴方のこと捕まえちゃうからね!この切れたニーハイの恩はこれから私の旅に付き合うことで返して頂戴!」
真剣な眼差しでラッタを見つめるprincess。交わされる目線。princessはラッタにモンスターボールをかざした。強い光を放って入っていくコラッタ。その勢いでモンスターボールは草の上に落ち、一回二回と左右に揺れる。そして三回と揺れた時、モンスターボールはとまった。
「やった‥ポケモンゲットした!」
草むらに落ちるコラッタが入ったモンスターボールを抱え1人、無邪気に、喜びのあまりはしゃぐprincess。よれよれのニーハイなんてもう気にならなかった。
そんな記憶を思い出して、ふふ、と笑みをこぼすと不思議そうな顔でprincessを見つめるラッタ。もしかして、あの時あなたが私に噛み付いたのは運命だったのかもしれない。ここまで長い旅を続けられるのも、全てに「ありがとう」の気持ちを込めて笑みを浮かべた。
こちら初めてリクエストをいただきました!クラウス様リクエストご提供ありがとうございます。
いよいよ待ちに待った旅の始まりで、ウツギ博士から貰ったポケモンと29番道路に足を踏み入れ、ご近所のユウキくんがポケモンの捕まえ方を教えてくれてその後にモンスターボールをくれた。
早速、仲間を増やそうと辺りを見回すと少し離れた木に、野生のポッポが1匹溜まっているのが目に入った。これから先ひこうタイプのポケモンは役に立つぞ、とprincessはポッポを捕まえようと足を前に一歩踏み出した。
「ん?重い」
ふと脚が重く感じ、さらに腿を締め付けているソックスの締まりが片方だけ緩く、何だか伸びている感じがして吹く風に微かに冷える。恐る恐る自身の脚に目を向けると、背筋が凍りついた。
「え!?‥ポケモン!?」
そう、princessのニーハイソックスを伸ばしている原因は野生のポケモンだった。それが、コラッタであった。princessは恐怖のあまり「離せ」とその脚を振る。しかし、なかなか手強いコラッタ。その前歯は決してprincessのニーハイから離そうとしない。切れちゃう。
まだ旅の序章の段階であるのにと少々呆れるようにprincessはその場に突っ伏す。そして、あ、と何かを思い出したかのように、先程の野生のポッポがいる木に目を向けた。よし、まだいる。
「もう、貴方が離してくれないならそれでいいもん。私も意地で歩くんだから」
自分のニーハイを未だ噛み続けているラッタに対抗するようにprincessは重い脚を引きずる様にポッポのいる木へと迫る。後少し、後少し。ボールが届く範囲まで後少しとバッグからボールを取り出し構える。すると、先程までそっぽを向いていたポッポと目が合うprincess。交わる視線。ゴクリと息を飲む。するとポッポは一声鳴いてから優雅に空は飛んで行った。
「あああ!!私のポッポ‥」
がくりと肩を落としショックをうけるprincess。脚を見ると未だにニーハイに噛み付いているコラッタ。どちらも災難だと悔しく思っていると、ビリっと布が切れる音がした。
「あああ!!切れちゃう切れちゃう!」
少し縫い目が歪み今にも切れそうなニーハイ。それでもコラッタは離れようとしない。
「どうして、離れてくれないの」
そう呟き、さらなる災難に、はあ、とため息を吐く。ふと、手に持つモンスターボールに意識がいった。捕まえてしまえば良いんだ。ポッポではないけど、こんなに幾ら脚を振っても離れようとしない頑丈な前歯を持つこの子なら旅の中で良い活躍をしてくれるだろう。
「コラッタ、私貴方のこと捕まえちゃうからね!この切れたニーハイの恩はこれから私の旅に付き合うことで返して頂戴!」
真剣な眼差しでラッタを見つめるprincess。交わされる目線。princessはラッタにモンスターボールをかざした。強い光を放って入っていくコラッタ。その勢いでモンスターボールは草の上に落ち、一回二回と左右に揺れる。そして三回と揺れた時、モンスターボールはとまった。
「やった‥ポケモンゲットした!」
草むらに落ちるコラッタが入ったモンスターボールを抱え1人、無邪気に、喜びのあまりはしゃぐprincess。よれよれのニーハイなんてもう気にならなかった。
そんな記憶を思い出して、ふふ、と笑みをこぼすと不思議そうな顔でprincessを見つめるラッタ。もしかして、あの時あなたが私に噛み付いたのは運命だったのかもしれない。ここまで長い旅を続けられるのも、全てに「ありがとう」の気持ちを込めて笑みを浮かべた。
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