求めて


逃げる様に布団の中から手を伸ばしてもすぐにその手も取られて後ろから強く包まれる。さらに奥へと後ろから良いところを突く貴方。

「ん‥ああ‥」

動きに合わせて微かに漏れる声。耳元で漢の理性を抑えられなくなった、本能的な声にさらに欲情してしまう。
今日の貴方は何だか凄く激しく私を求めてる。それもそうか。長い旅を終えて久しぶりに帰って来たのだから。

「‥もう‥」

貴方の事以外考えられないくらい余裕が無くなってきて、そう吐息と共に零すと貴方の動きもさらに加速する。
あ、この人も同じなんだ。少し口元に笑みを浮かべ、絶頂の直前。貴方の声を意識した瞬間、子宮が、きゅー、と締まるのと同時に快楽に満たされた。ドクドクと中に感じる貴方の欲。

次第に引き抜かれ、今まで中にいた物体が無くなった事に少し寂しく思う。はあ、と息を吐き、そのままシーツに沈み込む。

「‥princess」

やっぱり貴方に呼ばれると心地が良い。そう思いながら顔を上げ貴方の方に顔を向ければ、リップ音を鳴らし軽く触れるだけのキスをして、ベッドの隅に置かれるペットボトルに手を伸ばし、入ってくる液体の流れに合わせて動く喉を見てると、何だか興奮してくる。

「デンジ‥‥好き。」

ぽつりとそう言うと、貴方の鋭い瞳が交わる。誘う様に、いや、誘ってるつもりはないが、いつも以上に甘えた様な目で見てると、ふっ、と口元を緩め笑む貴方。それを見て、はああ、と溜息ではないぐらいの声を上げる。

「‥ずっとここに居たくなっちゃうじゃん。」

そう困った様に眉を下げ言うと、貴方は私と同じ様にベッドに体を預け私を引き寄せる。

「なら、ここに居れば良いだろ。」

「そうなんだけどね‥生憎、うちの子はバトルと旅が大好きでねっ」

とどまれないんだと、まだ旅の始まりの少年トレーナーの様に無邪気な笑みを浮かべるとまた、鼻で笑う貴方。

そうかと少し呆れた様に言う貴方に「寂しい?」と迫ると「当たり前だろ」と意外にも直球で言うものだから豆鉄砲を打たれた様に見つめていると髪を撫で、私の頭に顔を埋める貴方。

どちらも言葉をかける事なく沈黙の空気が流れる。しばらくして私の頭に顔を埋めた貴方は動き出し、私の上に覆い被さる。普段、機械いじりばかりでジムリーダーとしての仕事も放棄、遠くを見つめている様な瞳をしているのに今私の目に映る貴方の目は、どこか真剣で、けど少し寂しそうだった。

ごめんねと言う様に貴方の顔を包み込み少し口元に笑みを浮かべ、キスをする。それが合図かの様に貴方はまた私を引き止める様に、私を求める。