「博士、プリンセスさん、おはようございます。」
「ソフィーさんおはようございます！」

朝食を終えて、片付けをしているとプラターヌ博士の助手をしている眼鏡をかけた軽いウェーブのかかる青い髪の女性、ソフィーが出勤してきた。

プリンセスが元気に返事を返せばニコッと笑みを浮かべるソフィー。
プラターヌはコーヒーを飲みながら目で挨拶を返している。

そして、続く様に、ボブヘアーでガーネット色の髪を持つコゼットも出勤し、このプラターヌ研究所で働く全ての研究員が揃い、それぞれ自身の仕事を始めていく。

プリンセスは自分はどうしたら良いか分からず突っ伏していた。
すると、プラターヌがニコッと笑みを浮かべプリンセスに近づく。

「プリンセス、君にお願いしたい事があるんだ。頼んでも良いかな？」
「はい！何をしたら良いでしょうか？」

一歩身を引く様に優しい口調でお願いするプラターヌの言葉。プリンセスは何か仕事を任されるのが嬉しく元気に声を上げた。

「うん！元気な返事だ！…ちょっとついて来てくれるかい」

プリンセスに背を向けるプラターヌ。その後を追う様に歩き始めた。
そしてポケモン達の絵が描かれた額縁の飾られる廊下を歩く。何を任されるのか不思議そうにプラターヌの背を眺めるプリンセス。

すると、突然ある一つの扉の前で止まった。プラターヌは一度プリンセスに笑みそして扉を開ける。中を覗くと部屋の中央に３つのモンスターボールがケースの中に収めされていた。

「その３つのモンスターボールってもしかして…」

プリンセスにとってその光景は懐かしさを思わせるものだった。旅の始まりを思い出させる。

ハッと胸がぞわぞわとなる気持ちでプラターヌを見つめるプリンセス。すると、プラターヌは笑みを浮かべた。

「3日後に新たにトレーナーとなる子供達がここにいる子を貰いに来るんだ」
「はあ！やっぱり…！」

プラターヌの言葉にキラキラと瞳を輝かせどこか嬉しそうに３つのモンスターボールを見つめるプリンセス。

「そこで君にお願いしたい事があるんだ！」

そう言ってプラターヌはケースに収められる３つのモンスターボールを取り出し、カチッとボタンを押した。
同時に光が放たれる。そして光が消えた時には三体の小さなポケモンが床にポツンと立っていた。皆、不思議そうにキョロキョロを大きな瞳を動かしている。

「右から、草タイプのハリマロン！炎タイプのフォッコ！水タイプのケロマツだ」

一体一体、手を伸ばし紹介するプラターヌ。プリンセスは、満面の笑みを浮かべ視線を合わせるようにしゃがみ込んだ。

「この子達は、今ここで始めてモンスターボールの外に出たんだ。」

プラターヌも同じ様にプリンセスの隣にしゃがみ、動じることなく静かに佇むケロマツに手を伸ばす。するとバシッとケロマツはプラターヌの手を叩いた。苦笑いを浮かべるプラターヌにプリンセスも同じ様な表情を浮かべる。

「この子達が旅に出る前に、少しでも外の世界に慣れさせたいんだ。」

ケロマツに叩かれてしまって、虚しく引くプラターヌの手を嬉しそうに掴むハリマロン。どうやらこの子は人懐っこい様だ。

「そこで、3日、プリンセスにこの子達の事を頼みたい！…どうだい？」

プラターヌの言葉にプリンセスは瞳をパッと見開き、パチクリと開閉を繰り返した。

「私が、そんな重大な事を…良いんですか…？」

不安げにプラターヌと三体のポケモンを交互に見るプリンセスにプラターヌは何か察した様に笑む。

「プリンセスだからこそ頼みたいんだ。」

プラターヌに目を向ければ真っ直ぐな瞳をプリンセスに向けていた。しばらく何か考える様に口を噤むプリンセス。

そして、大きく一度息を吸い込みプリンセスはプラターヌに強い眼差しを向けた。

「はい！私に、やらせて下さい！」

期待を胸に込めた様に声を張ると、プラターヌが安心した様に笑んだ。