アルトマーレ港から客船に乗りカロス地方ヒヨクシティへ。そこからカロス地方でポケモン研究を行うプラターヌ博士のいるミアレシティに向かうと言う計画を立た。
事前にオーキド博士から彼方の博士に連絡を入れてもらった。

「プラターヌ博士は非常に喜んでおったぞ。あの優秀なトレーナーが遥々、カロス地方に訪れるなんてと」

船に設置されているボックスでテレビ電話をし、画面越しのオーキド博士の言葉に苦笑いを浮かべるプリンセス。

「いやいや、そんな大それたこと‥」

画面に向かい手を右左に動かしながら否定する。

「否定する事ではないぞ。プリンセスくん。カントー、ジョウト、そしてホウエンとシンオウ、イッシュ、五つの地方でポケモンリーグ優勝、殿堂入りを果たしている者など他におらぬ！大それた事じゃ」

実に誇らしいと頭を上下にゆっくり深く頷くオーキド博士にまたも苦笑いを浮かべる。

「もうそんなの何年前の事ですかね」

そこまで言われると照れてしまう。誤魔化す様に髪を触る。

「プリンセスくん。新たな旅を楽しむのじゃ、新たなポケモンとの出会いもある。」

「‥！はい！新たな情報が手に入ったら連絡します。では、また。」

通信を切るのと同時に、船上アナウンスが響く。ようこそ、カロス地方へ、ヒヨクシティヒヨクシティ。流れるアナウンスに、ようやく着いたとこれから始まる旅に心臓が高鳴る。

カロス地方で初めて降り立ったヒヨクシティ。そこは、山と海、そしてモノレールとリゾート地で有名な街だ。

「とりあえず、ポケモンセンターに行こうかな。」

道行く人にポケモンセンターの場所を聞き、教えてもらった通りに街を歩くとすぐにポケモンセンターに着いた。中に入ると、多くのトレーナーが旅の休憩をしている。

するとプリンセスの目に留まったのは、肩にピカチュウを乗せ、赤い帽子を被る少年。見覚えのある後ろ姿にプリンセスは言葉を零す。

「‥サトシくん？」

小さくポツリと零した名前にピカチュウの耳がピクリと反応する。そして、ピカチュウが此方の方へと顔を向け、ピカッと元気に鳴きサトシの肩から下り、プリンセスの腕の中へとダイブした。

「やっぱり！久しぶりね！ピカチュウ」

ピカー、と撫でられるのが気持ち良いのか目を細め喜ぶ。

「プリンセスさん！」

ピカチュウが突然肩から下りたことで振り返ったサトシは、その自身の憧れでもある人物の名を呼び駆け寄る。それに後を追う様に茶髪にピンクのハットを被るセレナ、眼鏡のブロンドヘアのシトロン、ユリーカが近く。

「やっぱりサトシくんだったんだ！久しぶりね！イッシュで会って以来かしら？」

ピカチュウを抱き抱えたまま笑みを浮かべるプリンセスに、久しぶりに会った嬉しさで目をキラキラと輝かせるサトシに、あのー、と遠慮気味にセレナが口を出す。

「サトシ‥どちら様ですか‥？？」

シトロンとユリーカもセレナと同じ様に疑問の表情を浮かべていた。

「彼女は、プリンセスさん。カントー、ジョウトそしてホウエン、シンオウ、イッシュでリーグ優勝を果たした、五つの地方のチャンピオン！俺の憧れのポケモンマスターだぜ」

興奮気味に言うサトシに、嫌々と苦笑いを浮かべるプリンセスだったがセレナ、シトロン、ユリーカは、ただただ驚くばかり。

「昔の話だよ、本当にずーと昔の話」

それでも、と食い気味に圧力をかける4人に引き下がるプリンセスだった。