冒険記録
「こんにちはー!」
カルネと別れてから、プラターヌ研究所の門を抜け、重い両開きドアを押し中へと入ったのだが、大きな声が響くホールがあり誰もいない空気が流れていた。声を上げるも返事は何も帰ってこない。
プリンセスはホールの奥に進んで行く。通路には様々なポケモンの額縁が飾られている。
通路を進んでいると光が差し込む様に窓がいくつか連なっていて、そこを覗いてみると、研究所とは思えない植物園の様な空間が広がっていた。
「凄い‥」
思わず、感嘆の言葉が出てしまう。惹きつけられた様にプリンセスは、外に繋がるガラスの戸を開ける。
木々が伸び伸びと広がっていて、小さな湖もある。
するとプリンセスの足元からポケモンの鳴き声が聞こえて来た。
「あら、コダック?こんにちは。」
プリンセスは、しゃがみ込み、両手で頭を抱えて頭を傾げプリンセスを見つめるコダックに話しかける。
すると 次々とルリリ、マリル、ジグザグマとプリンセスが今までの旅で見たことのあるポケモンや、始めて見るポケモンが知らぬ間にプリンセスを囲んでいた。
「あなたは始めて見るポケモンだわ」
垂れた耳を揺らし歩き回る黄色いポケモン、エリキテルにプリンセスは微笑む。
そんなエリキテルを目で追っていると、エリキテルが誰かの足元に止まり、抱えられた。ポケモン達に夢中で全く気がつかなかった人の存在にプリンセスは顔を上げその人物を見る。
「やぁ、ようこそ、プラターヌ研究所へ」
しゃがみ込んでいたプリンセスに手を伸ばし歓迎の言葉をかけるプラターヌ。プリンセスはその手を取り立ち上がる。少し距離が近くなり微かに甘い香りがプリンセスの鼻をくすぐる。
「すみません、勝手に入ってしまって」
「いやいや、構わないよ」
申し訳無さそうな顔を浮かべるプリンセスにプラターヌは、なんて事無いと言う様に優しく笑む。
そして場所は変わり、室内に入りゆったりとソファにくつろぎお茶を飲むプリンセス。その向かいにはプラターヌが座っている。
「今まで訪れた研究所の中で1番、美しいと思いました」
「それは、嬉しい」
プラターヌもカップを持ち静かに飲む。
「しかし、五冠チャンピオンが次はカロスに」
「いえ、そんな五冠チャンピオンだなんて‥」
「パートナーとの絆、それもあって得られたものだと僕は思う。」
プリンセスの表情は少し悲しそうだった。
「確かに、私もそう思います。‥だからこそ、その五冠チャンピオンと呼ばれるのに‥自信がないんです。」
プラターヌは、ただ静かにその言葉を聞く。
「強さだけを求めてしまったんです。」
眉を下げ、手に持つカップを見つめるプリンセス。
「初めて、ジョウトで各地を回って八つバッジを手に入れリーグに挑んで、そして優勝した時は凄く嬉しかった。もちろんその後に訪れたカントーでもパートナー達の成長が凄く嬉しくて、旅が楽しかった。」
手に持つカップをテーブルに置き、プリンセスは自身の手を包む。その手は微かに震えている気がした。
「カントーリーグでも優勝し、私はチャンピオンになりました。その時に私は思ったんです。こんなにも簡単に王座になることが出来るんだって。それからの私は、ただ無我夢中で各地に赴いてはバトルをして、パートナーの気持ちなんて一切考えずに‥」
惜しそうに眉をひそめるプリンセス。
「そんな時に私は、強さだけを求めて、伸びしろがある子でさえてばなしていました。」
ー弱い子はいらないの。‥さようならー
「今思えば後悔と申し訳なさしかありません。しかし、あの時の私は恐ろしかった。パートナー達も怯えた目で私を見ていました。」
一度息を吐き遠くを見つめるプリンセス。微かにその目は潤いを増していた。
「‥そんな状態でホウエン、シンオウ、イッシュとチャンピオンになってしまいました。」
顔を上げプラターヌを見れば、彼は真剣な顔つきで話を聞いていた。
「イッシュでの旅を終えた時、私が初めて戦ったチャンピオン、ワタルさんに助けられました。‥彼は、私がカントーチャンピオンになった時点で気づいてたみたいなんです。」
ー俺には、わかった。君は、プリンセスはきっと、強さを求めて変わってしまうと。ー
「そうして、ワタルさんと共に過ごすうちに気づいたんです。ああ自分は何をしていたんだろうって。ようやく、自分のパートナーと向き合うことが出来るようになりました。」
そして、プリンセスは一息つき笑顔を浮かべた。
「以上が、私の冒険記録です。」
プラターヌは、プリンセスのその表情に目を離すことが出来なかった。
カルネと別れてから、プラターヌ研究所の門を抜け、重い両開きドアを押し中へと入ったのだが、大きな声が響くホールがあり誰もいない空気が流れていた。声を上げるも返事は何も帰ってこない。
プリンセスはホールの奥に進んで行く。通路には様々なポケモンの額縁が飾られている。
通路を進んでいると光が差し込む様に窓がいくつか連なっていて、そこを覗いてみると、研究所とは思えない植物園の様な空間が広がっていた。
「凄い‥」
思わず、感嘆の言葉が出てしまう。惹きつけられた様にプリンセスは、外に繋がるガラスの戸を開ける。
木々が伸び伸びと広がっていて、小さな湖もある。
するとプリンセスの足元からポケモンの鳴き声が聞こえて来た。
「あら、コダック?こんにちは。」
プリンセスは、しゃがみ込み、両手で頭を抱えて頭を傾げプリンセスを見つめるコダックに話しかける。
すると 次々とルリリ、マリル、ジグザグマとプリンセスが今までの旅で見たことのあるポケモンや、始めて見るポケモンが知らぬ間にプリンセスを囲んでいた。
「あなたは始めて見るポケモンだわ」
垂れた耳を揺らし歩き回る黄色いポケモン、エリキテルにプリンセスは微笑む。
そんなエリキテルを目で追っていると、エリキテルが誰かの足元に止まり、抱えられた。ポケモン達に夢中で全く気がつかなかった人の存在にプリンセスは顔を上げその人物を見る。
「やぁ、ようこそ、プラターヌ研究所へ」
しゃがみ込んでいたプリンセスに手を伸ばし歓迎の言葉をかけるプラターヌ。プリンセスはその手を取り立ち上がる。少し距離が近くなり微かに甘い香りがプリンセスの鼻をくすぐる。
「すみません、勝手に入ってしまって」
「いやいや、構わないよ」
申し訳無さそうな顔を浮かべるプリンセスにプラターヌは、なんて事無いと言う様に優しく笑む。
そして場所は変わり、室内に入りゆったりとソファにくつろぎお茶を飲むプリンセス。その向かいにはプラターヌが座っている。
「今まで訪れた研究所の中で1番、美しいと思いました」
「それは、嬉しい」
プラターヌもカップを持ち静かに飲む。
「しかし、五冠チャンピオンが次はカロスに」
「いえ、そんな五冠チャンピオンだなんて‥」
「パートナーとの絆、それもあって得られたものだと僕は思う。」
プリンセスの表情は少し悲しそうだった。
「確かに、私もそう思います。‥だからこそ、その五冠チャンピオンと呼ばれるのに‥自信がないんです。」
プラターヌは、ただ静かにその言葉を聞く。
「強さだけを求めてしまったんです。」
眉を下げ、手に持つカップを見つめるプリンセス。
「初めて、ジョウトで各地を回って八つバッジを手に入れリーグに挑んで、そして優勝した時は凄く嬉しかった。もちろんその後に訪れたカントーでもパートナー達の成長が凄く嬉しくて、旅が楽しかった。」
手に持つカップをテーブルに置き、プリンセスは自身の手を包む。その手は微かに震えている気がした。
「カントーリーグでも優勝し、私はチャンピオンになりました。その時に私は思ったんです。こんなにも簡単に王座になることが出来るんだって。それからの私は、ただ無我夢中で各地に赴いてはバトルをして、パートナーの気持ちなんて一切考えずに‥」
惜しそうに眉をひそめるプリンセス。
「そんな時に私は、強さだけを求めて、伸びしろがある子でさえてばなしていました。」
ー弱い子はいらないの。‥さようならー
「今思えば後悔と申し訳なさしかありません。しかし、あの時の私は恐ろしかった。パートナー達も怯えた目で私を見ていました。」
一度息を吐き遠くを見つめるプリンセス。微かにその目は潤いを増していた。
「‥そんな状態でホウエン、シンオウ、イッシュとチャンピオンになってしまいました。」
顔を上げプラターヌを見れば、彼は真剣な顔つきで話を聞いていた。
「イッシュでの旅を終えた時、私が初めて戦ったチャンピオン、ワタルさんに助けられました。‥彼は、私がカントーチャンピオンになった時点で気づいてたみたいなんです。」
ー俺には、わかった。君は、プリンセスはきっと、強さを求めて変わってしまうと。ー
「そうして、ワタルさんと共に過ごすうちに気づいたんです。ああ自分は何をしていたんだろうって。ようやく、自分のパートナーと向き合うことが出来るようになりました。」
そして、プリンセスは一息つき笑顔を浮かべた。
「以上が、私の冒険記録です。」
プラターヌは、プリンセスのその表情に目を離すことが出来なかった。