重なる姿に


「お兄さん、そのまんじゅん貰っていいかしら。」

ふと懐かしさを思わせる台詞が聞こえてきた銀時は、その声がする方へ目を向ける。墓に寄り掛かかる華奢な身体。その姿に昔の自分が重なり合う。

「ねえ、聞こえてる?」

ぼーっと見ていると、その女が自分の方を見る。少しはだけた着物の胸元から覗かれる膨らみを持つ乳、上目遣いにこちらの瞳を捉えている。その瞳が、またどこか懐かしい。昔の自分を思わせる。

「こりゃ、とあるババァの旦那のもんだ、だから旦那に聞いてみろよ」

女の目線に合わせる様に、しゃがみ込み口元を微かに歪ませる銀時。すると、女は銀時へと距離を詰めまんじゅんを口にした。その行動にさらに口元が緩む銀時。女はそんな目の前で笑う男を横目で見て、空っぽな胃の中に物を流し込む。

「‥なんて言ってたよ、旦那は。」

銀時はまんじゅんを貪る女に問う。すると女は咀嚼を繰り返すのを止め、ごくん、と喉の音を鳴らし指を唇に触れさせる。

「んふふ、そんなの知らないよ。‥死人が口を聞くわけないじゃない。」

どこか艶かしい笑みを浮かべ、自身の瞳を捉えるその女に、ついに銀時は口を大きく開け笑う。全てが昔の自分と重なる。この世に絶望した様なうつろな瞳もすべて昔、ここでお登勢と出会った時に似ていると。

「バチ当たりな奴がいたもんだな、たたられても知らねェぞ」

女、お前はこの台詞には何て答えるんだ。少し面白くなってきた銀時は、あの時お登勢に言われた言葉と同じ言葉を女に投げかける。すると、女は何か考えるかの様に頭を少し下げる。それを黙って見つめるだけの銀時。しばらくして女は顔を上げ少し口元に笑みを浮かべ涼しげな表情で口を動かす。

その言葉に銀時は口元を歪ませ、その女の手を取った。