背の温もり
ああ、視界がボヤける。頭もクラクラするし、みんなの声が遠い。あれ、なんであやめちゃんこんなに私に向かって凄い怒ってるけど、泣いてるんだろう。はあ、もう。
そう言ってプリンセスは重い瞼を閉じた。事の発端は数時間前に遡る。今夜は定期的に開催される女子会。それは志村家で開催されるもので、新八が、お通ちゃんのライブ遠征でこの家を離れる時に開催される。
メンバーは、お妙、九兵衛、あやめ、月詠そしてプリンセスだった。
「さあ、おしとやかに女子会らしく呑みましょう」
「いや、お妙ちゃん、手に持ってるの日本酒の瓶だから。おしとやかさにそれは無いよ。」
「え?」と笑顔を貼り付けながら、日本酒の瓶を持つお妙にプリンセスは冷や汗を浮かべながらツッコむ。テーブルを囲んで5人は座っていた。一人、一瓶。プリンセス以外、皆それを持って立ち上がる。
「乾杯しましょう。」
「さあ、プリンセスも持って立つのじゃ。」
「そうよ!阿婆擦れ女!銀さんの事誑かして‥今夜は‥今夜は呑みまくって銀さんに抱かれてやるううう!!!」
「これが‥女子会‥」
思い思いに口にする彼女達にプリンセスは引きつった様に笑みを浮かべ、瓶を持ち立ち上がった。
「「乾杯!!!」」
そこからは、もう地獄だ。ただひたすら呑んで呑んで呑んで‥もう無理と言えば無理やり呑まされて、プリンセスは、ただ逃げたいと、ここに朝までいたら死ぬと思った。
お妙と月詠は、競う様に一気飲みを繰り返し、暴れるそれを抑える久兵衛。そして、あやめはひたすら怒鳴っては泣いての繰り返しで、プリンセスは畳に寝っ転がってその様子をボーッとボヤける視界で見ていた。はあ、帰りたい。銀時迎えに来て。そう心の中で懇願し、瞳を閉じる。
「夜、私いないから、ご飯作っとくね。」
ソファに、もたれながらジャンプを読む銀時にそう言うと銀時はジャンプを勢いよく閉じ私に目を向けた。その死んだ様な魚の眼が勢いのある魚の眼に変化した事に驚いて思わず凝視してしまう。
「まさかお前、あれか、妙ん所行くのか?」
「うん、そうだよ?」
「やめとけ」と何回か繰り返す銀時に私は少し鼻で笑い「どうして?」と問う。すると銀時は溜息を吐き「お前あいつの酒癖の悪さ知ってんだろ」と頭をかく。
「知ってるよ?たまには、良いじゃない。女の子同士、羽目を外したい時ぐらいあるの。」
口を尖らせて言うと銀時は呆れた様にまたジャンプを開き、「ああ、行ってこい行ってこい」と手を振る。
「はあ、あの時、銀時の言う事聞いとけば良かった‥」
閉じていた目を開き、そう呟くと、銀時と言うワードに反応したのかあやめがプリンセスにさらに何か言うが聞き取れない。そして、また目を閉じる。
ふと誰かに持ち上げられた気がした。ん。誰だろう、私、おんぶされてる。頬に伝わる暖かい温もり。なんか、またあやめちゃんが泣き叫びながら何か言ってる。しばらくして、馬鹿騒ぎしている声は聞こえなくなり、先程とは全く比べ物にならないくらいの静かな空間にいた。
「‥温かい。」
まだ、頬に感じる温もりに目を閉じたまま言葉を零す。なんだか、懐かしいな。
「‥だから言ったろ、馬鹿」
ふと耳に入るその声にプリンセスは瞼を上げた。そして頭を上げる。ボヤける視界が徐々にハッキリとし、プリンセスの目に映ったのは銀髪の柔らかい、くるくるパーマだった。
「銀‥時?」
「どうして」と予想だにしない出来事に驚きながらも言葉をかける。
「‥なんだろーな。お前に呼ばれた気がしたんだよ」
銀時の言葉に、さらに驚き、言葉を詰まらす。目には微かに涙が浮かび、微笑む。
「‥うん、呼んだ‥来てくれてありがとう。」
そう言って、プリンセスは、また頬を銀時の背に預け、その温もりを感じる。
そう言ってプリンセスは重い瞼を閉じた。事の発端は数時間前に遡る。今夜は定期的に開催される女子会。それは志村家で開催されるもので、新八が、お通ちゃんのライブ遠征でこの家を離れる時に開催される。
メンバーは、お妙、九兵衛、あやめ、月詠そしてプリンセスだった。
「さあ、おしとやかに女子会らしく呑みましょう」
「いや、お妙ちゃん、手に持ってるの日本酒の瓶だから。おしとやかさにそれは無いよ。」
「え?」と笑顔を貼り付けながら、日本酒の瓶を持つお妙にプリンセスは冷や汗を浮かべながらツッコむ。テーブルを囲んで5人は座っていた。一人、一瓶。プリンセス以外、皆それを持って立ち上がる。
「乾杯しましょう。」
「さあ、プリンセスも持って立つのじゃ。」
「そうよ!阿婆擦れ女!銀さんの事誑かして‥今夜は‥今夜は呑みまくって銀さんに抱かれてやるううう!!!」
「これが‥女子会‥」
思い思いに口にする彼女達にプリンセスは引きつった様に笑みを浮かべ、瓶を持ち立ち上がった。
「「乾杯!!!」」
そこからは、もう地獄だ。ただひたすら呑んで呑んで呑んで‥もう無理と言えば無理やり呑まされて、プリンセスは、ただ逃げたいと、ここに朝までいたら死ぬと思った。
お妙と月詠は、競う様に一気飲みを繰り返し、暴れるそれを抑える久兵衛。そして、あやめはひたすら怒鳴っては泣いての繰り返しで、プリンセスは畳に寝っ転がってその様子をボーッとボヤける視界で見ていた。はあ、帰りたい。銀時迎えに来て。そう心の中で懇願し、瞳を閉じる。
「夜、私いないから、ご飯作っとくね。」
ソファに、もたれながらジャンプを読む銀時にそう言うと銀時はジャンプを勢いよく閉じ私に目を向けた。その死んだ様な魚の眼が勢いのある魚の眼に変化した事に驚いて思わず凝視してしまう。
「まさかお前、あれか、妙ん所行くのか?」
「うん、そうだよ?」
「やめとけ」と何回か繰り返す銀時に私は少し鼻で笑い「どうして?」と問う。すると銀時は溜息を吐き「お前あいつの酒癖の悪さ知ってんだろ」と頭をかく。
「知ってるよ?たまには、良いじゃない。女の子同士、羽目を外したい時ぐらいあるの。」
口を尖らせて言うと銀時は呆れた様にまたジャンプを開き、「ああ、行ってこい行ってこい」と手を振る。
「はあ、あの時、銀時の言う事聞いとけば良かった‥」
閉じていた目を開き、そう呟くと、銀時と言うワードに反応したのかあやめがプリンセスにさらに何か言うが聞き取れない。そして、また目を閉じる。
ふと誰かに持ち上げられた気がした。ん。誰だろう、私、おんぶされてる。頬に伝わる暖かい温もり。なんか、またあやめちゃんが泣き叫びながら何か言ってる。しばらくして、馬鹿騒ぎしている声は聞こえなくなり、先程とは全く比べ物にならないくらいの静かな空間にいた。
「‥温かい。」
まだ、頬に感じる温もりに目を閉じたまま言葉を零す。なんだか、懐かしいな。
「‥だから言ったろ、馬鹿」
ふと耳に入るその声にプリンセスは瞼を上げた。そして頭を上げる。ボヤける視界が徐々にハッキリとし、プリンセスの目に映ったのは銀髪の柔らかい、くるくるパーマだった。
「銀‥時?」
「どうして」と予想だにしない出来事に驚きながらも言葉をかける。
「‥なんだろーな。お前に呼ばれた気がしたんだよ」
銀時の言葉に、さらに驚き、言葉を詰まらす。目には微かに涙が浮かび、微笑む。
「‥うん、呼んだ‥来てくれてありがとう。」
そう言って、プリンセスは、また頬を銀時の背に預け、その温もりを感じる。