◆回想スメル

 スメル=匂い。
 実体が見えないのに、そこにあるもの。
 残り香。もういないはずの者の気配。

 時軸はたぶん3宴あたりなんだと思います。


【夢主】
 
 本能寺の変を生き延びた。
 仕えるべき信長公もいなければ、殺すべき光秀もいないので、仕方なく大坂で燻っている。
 本心では、死ぬべき機会を逃したために死に場所を求めていて、早く大きな戦が起きれば良いのにと思っている。
 
 イメージとしては、三成よりも3〜4は年上。
 年下はみんな餓鬼だと思っていたら、竹千代がでかくなっていたのでほんのり寂しい。
 
 光秀がいなくなったので、性格の悪さがレベルアップしている。このあたりはストレス源への同化欲求によるのかもしれない。
 
 烏城で天海と会って、いろいろと吹っ切れた。主に、三成が用意する大舞台できっと金吾が裏切り、それを斬る名分でこの男と殺し合って死ねる、という楽しみの方向に吹っ切れた。

 一緒に生きるという選択肢がないのは、天海の方から夢主に接触してくることがなかったから。
 あったとしても、小早川の下では満足できない人斬りなのでやっぱり選択肢になかったと思います。

 夢主の首の歯形は、もう豊臣の飼い犬の振りはしないという表れ。
 馬鹿は馬鹿でも、一つ覚えの馬鹿の方。



【サンセイ】

 凶王三成、石田三成。ミツナリの音が似ていてややこしいから呼び間違えたくない、という夢主の我が儘で音読みサンセイ。
 
 夢主からすればまだ20前後くらいの小僧なのだけれど、個人的にはもう少しだけ年上の22とか24とかそのへんがいいです(左近や勝家より2つ以上離れていると見栄えする年齢差なので)(この時軸は二人ともモブ将なのに)

 夢主への淡い恋心と執着心がしっかりと芽を出す前に、夢主自身によって摘み取られたあげく潰されてしまった。
 そういう意味では夢主の被害者だけれど、それまでに夢主ときちんと向き合ってこなかったので、ある意味では無器用な傍観者。
 烏城の帰りの時点ではもう遅かった。夢主が天海と会ってしまった後なので。
 
 

【半兵衛】

 焼け落ちた本能寺で夢主を拾った。
 夢主が三成に懐いてくれれば、きっと自分の亡き後の三成に少しは寄り添ってくれるだろうと期待して三成に預けた(犬感覚)
 
 実際は三成がちゃんと向き合えなかったので、夢主は最期まで三成に気を許すことはなかった。
 馬鹿の思考回路を策中に組んでいなかった賢人の負け。
 
 
 
【吉継】

 夢主のことは、性格の悪いおもしれー女、と思っている。悪巧み繋がりで意見が合うので仲が良い。
 三成が無器用ながら夢主に惹かれているのを感じ取っているので応援したいけれど、性格の悪さで夢主とは馬が合うので三成にほんのり焼き餅を焼かれがち。
 

 
【秀秋クン】

 烏城の金吾。
 最近間男を侍らせているという、あらぬ誤解を受けている。

 本編その後の金吾は、この金吾の記憶が一番濃い。
 
 三成一行が烏城で過ごしたあの晩、夢主が目を覚ましたところを周囲に口止めしながら彼女に鍋を振る舞っていた。
 昼過ぎに夢主の目覚めを三成に知らせに女中をやったのは、昼になってようやく夢主が起きると言ったから。
 
 夜の間の天海と夢主の会話を少しだけ聞いていたので、夢主のことがずっと気懸かりだった。



【天海/光秀】
 
 信長公への謀反を止めようとして結局手を抜いた夢主を殺さなかったのは、あの夜に殺すのは公ただ一人と決めていたから。
 ついでに、夢主が織田家や自分から離れれば少しはまともな方へ歩けるのではないか、というなけなしのいつくしみのつもりだった。

 豊臣で暇をしている噂は聞いていたので、夢主がちゃんと生き残ったことは知っているし、そのことには満足していたので放っていた。
 
 実際の夢主は馬鹿を拗らせていたので、それがほんの少し哀しくもあり嬉しくもあり、馬鹿は治らないことを実感している。
 烏城で昏倒させた夢主が夜のうちに目を覚ましたとき、言葉少なながらいくつかお喋りしている。
 三成が嗅ぎ取った匂いはこのときのもの(その後お鍋タイムになるので、タイミングがずれていたら三成の怒りの鉾先は金吾になっていた)

 最終的には関ヶ原で斬り合うけれど、夢主が咄嗟に天海を庇って死ぬので、この天海もあまり救われないルート。夢主を殺したくなかったし、殺されたくなかった。昔のように昏倒させて戦線離脱させるつもりだったのに死んだ。千々に吹き飛んで死んだ。かなしいね。
 
 

【あとがき】

 図らずもホワイトデーに更新してしまったのは悪手だったなあ、っておもいました。だれも救われないほとんど一方通行のお話。たのしかったです。
 

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