その腕で抱きしめて 04


 室内に充満する独特の甘い香り。
 布擦れの音と艶かしい水音。
 五感すべてが刺激されているようで、思考が麻痺していく。
 限界だァ、と言った割に、実弥は隅々までその舌を這わせ、ゆき乃の身体をなぞっていった。
 時間をかけて愛撫されていると、焦らされているようで堪らなくなる。
 何度も肌に当たっている彼のものは、熱くて硬く、その存在を主張していた。


「実弥っ……」


 何度も彼の名前を呼んだ。
 だけど、潤いに到達した舌がそこに侵入してくると、もう声さえも上手く出せなかった。
 出入りする舌と、時折その上の蕾に触れる唇。
 すでに敏感になっているそこを刺激され、昇り詰めるのに時間はかからない。
 頭の中が真っ白になり、嬌声をあげて果ててしまった。
 それでも繰り返される愛撫に、脳までも溶かされていくようだった。


「もうイッたのかァ?」
「だってッ……ダメ、イッたばっか、あぁッ!」


 骨張った指が、溢れんばかりの愛液を掻き回すように入ってくる。
 もう、何もかも我慢が出来なかった。
 手を伸ばし反り立っている大きなものに触れると微かに漏れた彼の声。
 お願い、と懇願すると、「その顔、誰にも見せんじゃねェぞ」と少し切羽詰まったような顔で唇を塞がれた。
 脚を大きく開かれ、そこが少しひんやりとした。
 でもすぐにあてがわれた熱いものに、また甘く溶かされていく。


「ハァ……ンンッ! おっき、い……」
「馬鹿っ、煽んな……」
「実弥ぃ……好き」


 ゆっくり腰を沈める実弥に、自分から唇を押し付けた。
 下半身を圧迫し満たしているものが彼のものだと考えるだけで、潤いが増す。
 ゆるりと腰が動けば、その形が分かるほどに自分の中が彼にまとわりついているのが分かった。


「……ッ、気持ちよすぎだァ、ゆき乃ん中」


 実弥も同じ気持ちだった。
 突かれる度に声が溢れ、ひとつに繋がっている悦びに満たされた。







 微睡みの中、薄らと目を開けると分厚い胸板が目の前にあって、抱きしめられて眠っていたのだと理解した。
 お互い素肌のままだったが、触れ合っている温もりで寒さは感じなかった。
 少し視線を上げると、普段の強面の彼からは想像できないような、まるで赤ちゃんのように愛らしい寝顔をしている彼が寝息を立てている。
 その表情に安堵し、もう一度瞼を閉じようとした時、冷たい感触のものが手首に当たった。
 左手首を見ると、そこには今までに買ったピンクゴールドのブレスレットがついていたのだ。


「……これ、」
「起きたかァ」
「ねぇ、これ! 実弥が?」
「あぁ、大したもんじゃねェが……っうお!」
「嬉しい! 大事にする! ありがとう!」


 実弥に抱きつくと、簡単に抱きとめた彼は、優しく頭を撫でながら、微笑を漏らした。
 どうやってこれを選んだんだろう。
 いつから用意していたのだろう。
 こんな素敵な渡し方を考えたのだろうか。
 聞きたいことは多かったけど、名前を呼ばれて唇に落ちてきた温もりに、静かに目を閉じた。

 この先ずっと、クリスマスイブは二人の記念日。



〜完〜

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